【SF短編小説】永遠の命を探求する者、花宮あかりの遺した世界――魂は複製し得るか?――
藍埜佑(あいのたすく)
プロローグ
花宮あかり。
彼女ほど聡明で、歴史に残るであろう女性はこれまでもいなかったし、これからもいないであろう。
何しろ彼女は、世界で初めてその人格と記憶を完全に備えた自分のクローンを作り上げたのだから。
そして彼女はそれにとどまらず、自分の意識をスーパーコンピューターにブレインアップロードすることにも成功した。
まさに稀有の存在だ。
そしてその彼女が今、末期のすい臓がんと診断され、余命半年と告げられている。
これは彼女と、彼女のクローンと、彼女のPC上の意識との、魂の対話の記録である。
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