第3話午前の勉強と昼食と…。

有栖川図書館は、仕切りのあるキャレル席もあるが、ドーンと四人は座れる大机に、椅子がこれまた四つある席もあり、その日の気分によって座席を変えられることが出来る部分は、ありがたい室内構成の図書館だ。

 俺は敏子さんと有栖川図書館で、開館の午前九時よりちょっと前に現地で待ち合わせをして合流し、開館と同時にその大机の席を無事に確保が出来た。


 俺は大学受験のための数学の月刊誌『大学への数学』の増刊号である『数学三の入試基礎/講義と演習』の教材を持って来た。今日はとにかく積分の問題を、図書館の閉館までずっと解こうと、そう決めていたからだ。


 さて肝心の敏子さんが持って来る教材が、当然俺も興味があった。するとどうやら熱のボイラー技士の資格に関するテキストを、持って来ていたようだ。

 

 俺と敏子さんは無言で、それぞれの勉強をしはじめた。敏子さんはひたすら持参してきたテキストを読み続け、俺はひたすらシャーペンを手に持って、収録問題を解きはじめた。


 時間の経過をお互いが忘れるぐらいに、それぞれの勉強課題に集中というか没頭し、お昼は図書館から歩いて五分ほどのそば屋で、俺はカレーを注文し、敏子さんはざるそば大盛りを注文して、これまたそれぞれ二人ともに、もくもくと食べた……。

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