第48話 文化祭前日
◇優視点◇
「……えっ?私が優さんの学校へ行ってもいいのですか?」
文化祭を明日に控えた日の夜、アルフィリアに文化祭を見に来ないかと誘った。
「ああ。明日うちの学校でやる文化祭に家族を3人まで呼べるんだ。いろんな出し物があって楽しめると思うぞ」
「ぜひ行きたいです!」
アルフィリアは興奮が抑えきれないといった感じで目を輝かせながら返事をする。
ここまで喜んでもらえるとは思わず、つい苦笑してしまう。
「すごい嬉しそうだな」
「あっ……す、すみません」
「いや別に謝る必要はないんだけどな」
いきなりはしゃいだからなのか、少し恥ずかしそうに頬を染めるアルフィリアを可愛いと思いつつ、用意していた明日の文化祭で学校に入るために必要なものを取り出す。
「……これは?」
「これはバングル……明日学校へ入るための許可証みたいなものだな」
うちの学校の文化祭に家族を呼ぶ際には、ウチの学校の名前が書いてあるバングルを身に着ける必要がある。
これがない人は中には入れないようになっている。
「明日これを手首に付けて、入り口の受付で見せれば学校に入れるから」
「わかりました」
軽く説明しながらバングルをアルフィリアに渡す。
無事誘うこともできて一安心といったところで、リビングでのんびりテレビを見ていた母さんが食卓の方へとやってきた。
「あらあら……お母さんたちは誘ってくれないの?悲しいわぁ……」
「……そういう面倒くさい感じで来るなら呼ばないな」
「面倒くさいなんてひどい言い草ね」
「はいはい」
酒を飲んだわけでもないのに、なんだか酔っぱらっているときみたいな絡み方をしてくる母さんにため息を吐きつつも、アルフィリアに渡したものと同様のバングルを二つ、父さんの分も母さんに渡す。
「明日開場は朝の10時からだから、母さんたちと一緒に来れば問題ないはずだ」
「はい。すごく楽しみですね」
「そうね」
アルフィリアも嬉しそうでよかった。
以前学校のことが気になっていると話していたことがあったので、今回誘ってみてよかった。
「それじゃあ、俺は明日ちょっと早いからもう寝る」
「あ、はい。おやすみなさい」
「おやすみ」
「はーい、おやすみ~」
軽く母さんたちに挨拶をして、俺は自室に戻った。
―—さて、明日頑張るだけだ。
◇アルフィリア視点◇
優さんが自室へと戻った少し後、愛さんと明日の出かける時間などを話してから、私も休むために部屋に戻った。
軽くストレッチをしてからベッドの中に入るが、明日のことが楽しみでまったく眠気を感じない。
優さんと一緒にお出かけする前日も、明日が楽しみでなかなか寝付けないことはあったので、今日も同じようだ。
我ながら子供っぽいと思うものの、楽しみなのだから仕方がない。
じっくり眠気が来るのを待ちながら、明日のことを想像する。
「……優さんの通う学校、どんな感じの場所でしょうか」
買い出しにも行くようになって、この家の近辺の地理は少しずつ把握もしてきて、遠目からではあるけど学校も目にしたことがある。
ただ、見れたのは外観だけで中までは見れず、どういったことをしているのかも見ることはできていない。
スマホを使って調べることもできたが、いつかの楽しみにと調べたりはせずにいたので、明日は本当に楽しみだ。
興奮が鳴りを潜めないまま十分が経った頃、突然ベッドの横においたスマホが震える。
なにかメッセージが届いたようだ。
スマホを確認すると、二菜からのメッセージが届いていた。
『やっほー久しぶりー。明日の文化祭来るわよね?ウチのクラスは4階の1-Bってところだから、必ず来なさいよー』
というような内容が送られてきていた。
どうやら優さんたちの出し物は4階らしい。
私も二菜へ返事のメッセージを送るためにスマホを操作する。
『お久しぶりです。先ほど優さんから招待していただいたので、明日行きますね』
メッセージを送信して既読が付くと、またすぐに次のメッセージが届く。
『明日時間が出来たら一緒に回りましょ!休憩時間になったら回れると思うから、そのときにまた連絡するわ』
『わかりました!すごく楽しみです!』
『それじゃ、おやすみ!』
『はい、おやすみなさい』
二菜とのメッセージのやり取りも終え、再びベッドに身を預ける。
「二菜と文化祭回り……楽しみが増えました」
余計に楽しみになり眠気からどんどん遠のいていくが、しっかり寝なければ明日に支障が出かねないので、そろそろ電気を消して瞼を閉じる。
――明日が待ち遠しい。
落ち着かない気分でいつもより寝付くまでに時間が掛かりながらも、なんとか眠りにつくのだった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
皆様お久しぶりでございます。
実家に帰っていたり、長い間風邪をこじらせていたりとなかなか書く時間が取れなくてこんなに遅れてしまいました……。
一か月近く更新が空いてしまい、申し訳ありません。
この物語もあと半分もないので、最後まで引き続きよろしくお願い致します!
もし面白いと感じて頂けたら応援や☆などよろしくお願い致します!
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