過ち

@arone

声劇台本 過ち

実際に起きた事件を元に執筆した台本です、ネット配信者の楓とそんな彼女に恋をする健二、初めての彼氏という存在に浮かれる楓だったが、そんな彼女の想いは悲惨な結末を迎える事になる。


登場人物

0:楓…大学生、21歳、女性、ネット配信者。

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0:健二…35歳、男性、会社員。

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楓:はーい!みなさんこんちゃーす!メープルでーす!

楓:メープルのー?…シロップラジオ!!!開場でーす!!

健二:【M】初めて見た彼女は、とても輝いていて、眩しくて、魅力的で…僕は初恋のような高揚感で満たされていた。

健二:【M】そっと、その配信にコメントを送ってみた。

楓:お、けんじ…さん!初見さんですね!初めまして!コメントありがとうございます!

楓:よかったら、簡単な自己紹介してってくださーい!

健二:【M】彼女に、認知されてしまった。認知…してくれた。

健二:【M】それからは早かった

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楓:こんちゃーす!メープルです! あっ!けんじさん1コメだー!待機してくれてたんですか?

楓:ありがとうー!折角だから、そんな1コメのけんじさんの質問に何でも一つ答えちゃおっかな!

楓:けんじさん、なにか私にこたえて欲しい質問ありますか!?

健二:「好きな人はいますか?」

楓:ええー!?好きな人ー!?うーん、ひ・み・つ・!って言いたい所だけど、折角の1コメさんだからね

楓:好きな人は………居ません!

楓:んふふ!安心した?

健二:【M】安心…?そうだね……うん、良かったよ。。僕は嫉妬深いから…

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健二:【M】それからというもの、僕は彼女の配信に足繁く通うようになった。

健二:【M】意識し始めると止まらなかった、いつも彼女の事ばかり考えていた。

健二:【M】どうすればもっと仲良くなれるか、どうすれば彼女に好かれるか。どんな所に住んでいて、どんな職業で、どんな友達がいて…

健二:【M】彼女のSNSを探ってみた…やはり今どきの子だ。それらは案外簡単に探る事が出来た。

健二:【M】今どきの若い子はネット上に何でも載せたがる、、いい時代だ。

健二:【M】彼女は、県外の大学に通う大学生だった。歳は21、趣味は地下アイドルの追っかけ。

健二:【M】2月15日生まれ、父親は会社員、母親は専業主婦でスーパーのレジ打ちのバイトをしている。

健二:【M】一人っ子、部活はなし。家に一人でいる時間が多く、友人の勧めもあって配信を始めたようだ。

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健二:【M】ここまで調べればもう十分だ、同じ趣味、同じ境遇を装い、少し年上の優しい男を演出しよう。

健二:声は…地声だと歳が離れてるのがバレるな。(咳払い)あー…あー…

健二:こんにちは!…こんちゃ!…うん、こんなもんか。

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健二:【M】そうこうして、僕らは付き合うべくして付き合った。ネット恋愛というやつだ。

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健二:【M】幸せだった、幸せすぎるくらい。

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健二:【M】だから怖くなった、この幸福が無くなるのが。

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健二:【M】所詮はネットだし、あんな可愛い彼女がリアルで他の誰かに言い寄られない訳がない。

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健二:【M】もし、他の誰かに取られたら………!!!!

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健二:【M】嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だいやだいやだいやだいやだいやだいやだ!!!!!!

健二:【M】………あぁ、そうか。

健二:【M】誰かに取られるくらいなら、、、

健二:【M】うん、そうだ。そうすればずっと一緒だし、取られる心配もないや。

健二:【M】七輪と、炭と、一応着火剤も買っとくか…

健二:【M】あー、辞表、書いとくか。

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0:朝8時、電話する2人

健二:おはよー…

楓:おはよー!

楓:けんくん眠そうだね笑

健二:そりゃそうだよ〜昨日落ちたの6時とかでしょ?2時間も寝てないじゃん俺ら笑

楓:そうだよね笑、でもけんくんが寝かせてくれなかったからじゃん!

健二:は〜!?それこっちのセリフだから!

楓:いやいやいや笑…あ、ごめん講義遅れる!!またお昼にラインするね!

健二:はいはーい!またねー!

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健二:【M】あぁ、幸せだなぁ。配信者デビューした当初から好きだった楓とこうして付き合えるなんて

健二:【M】ほんとに夢みたいだ…早く会って、一緒になりたいな

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楓:【M】朝からけんくんの声…!寝ぼけちゃってほんと可愛いなぁ…も〜、早くけんくんに会いたいなぁ

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0:昼

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楓:【M】もうお昼だ!けんくんにライしなきゃ!

楓:けんくーん!起きてる?

健二:おきてるー…

楓:文面からもう眠気が伝わってくるwww

健二:でも楓のラインで目覚めたよ。

楓:ほんと?

健二:ほんとほんと!

楓:ねぇけんくん

健二:何ー?

楓:会いたい

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健二:うん、俺も会いたいって思ってた。

楓:会おうよ!

健二:じゃあ、会おっか…

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楓:【M】今にして思えば、それが間違いだった。

楓:【M】いや、もっと前から…

楓:【M】もっと慎重に、もっと警戒心を持って行動していれば…

楓:【M】でも、もう後の祭り。

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0:当日、電話する二人。

健二:もしもーし、駅ついたよー!

楓:私もー!

健二:どんな恰好してるー?

楓:黒のブーツにベージュのコート着てる!そっちは?

健二:ジーパンに革ジャンだよー

楓:なに、キメてきたの?笑

健二:うるせWWW

楓:あ、わかったかも! 

健二:まじ?どこどこ?…って、もう切ってるし。

楓:だーれだっ!

健二:おぉっ!、って!楓でしょ?

楓:あったりー!!

健二:もう…人違いだったらどうすんだよ笑

楓:この辺でその恰好してるの、けんくんだけだったもん。

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楓:【M】あれ、なんか思ったより…いや、気のせいかな。

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健二:ん?どうかした?

楓:あ、ううん!何でもない!行こ?

健二:だね!、とりあえずご飯かな。お腹すいてるでしょ? 何食べたい?

楓:うん!んーとね…ピザがいい!

健二:ピザかぁ、それなら…

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健二:【M】こうして、僕らは初めて出会った。初めはお互い緊張していたけれど、すぐに打ち解けた

健二:【M】3年も付き合っているのだから当たり前かな。

健二:【M】早く、僕の気持ちを伝えたい。言って楽になりたい。

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楓:ねえ見てけんくん!チーズ凄いよ!ほら!こんなに伸びる!!

楓:はむっ、(咀嚼)ん~…美味しい!

健二:食べ物で遊ぶなよ笑

楓:ほら、けんくんにも食べさせてあげる!

健二:いや自分で食べるからいいよ~!

楓:まあまあそう言わずに!あ~ん!

健二:あ、あー…ん。(咀嚼)うん、美味い!!

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楓:【M】こんな時が、こんな日がずっと続けばいいと思ってた。

楓:【M】大好きな彼とこうして美味しいものを食べたり、笑いあったり…

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健二:この後、どうしよっか。

楓:うーん、任せるよ。 

健二:じゃあ、カラオケ…とか?

楓:おっけー!

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健二:だめだわー、どこも埋まってるみたい…

楓:あー…どうする?

健二:あ、待って。俺の地元のカラオケ空いてるっぽい!

健二:ちょっと遠いんだけど、車ならすぐだよ

楓:車あるの?

健二:実は、今日車で来ててさ、近くに止めてるんだよね。

楓:なら行こうよ!

健二:いいの?、じゃあいこっか。

楓:うん!

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0:長い間

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楓:ね、ねえ。ほんとにこっちで大丈夫?…山道みたいだけど。

健二:…

楓:え、ねえけんくん?

健二:…

楓:ね…ねえってば。。。

健二:…

楓:ねえ、けんくんちょっと怖いよ?

健二:…

楓:けんくんっ!ねえ何か言ってよ!、私何かした?

健二:…

楓:けんくん、ほんとに怖いよ!もういいから帰らせて!!!

健二:だめだよ、楓。

楓:…え

健二:これから、やっと一緒になれるんだ。帰るなんてそんな寂しいこと言うなよ。

楓:なに…言ってるの

健二:この山ね、俺のおじさんの持ち山なんだ。だから誰にも邪魔されないよ。

楓:ねえ、怖いよ…いい加減にしてよ…、いいからもう帰して!

健二:ふふふふ、大丈夫だよ?僕らはこれからずっと一緒だよ。

健二:うん、この辺でいいかな。

楓:え、なにここ…真っ暗で何も見えない。ねえドア開けてよ。

健二:楓

楓:な、なに…?

健二:あいしてるよ。

楓:ひぃッ!!!やめて!近寄らないで!!

健二:さぁ、いっしょになろうねッ!!!(楓の首をしめる健二)

楓:ッ!!!!!(苦しむ楓)

健二:ふふ、ふふふふふ!ははははははははは!!!!!

健二:いっしょ!!いっしょ!!!ずっといっしょだあ!!!!!!

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健二:はぁ…はぁ…はぁ…

健二:いま、迎えにいくよ、楓…

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