【毎日投稿失敗】【25万PV感謝!】転生したら好きなゲームの嚙ませ犬筆頭の悪役貴族だった為、一番目立たず過ごしたい ~それなのになぜか主人公よりも注目されて、ヒロイン達も僕の方にくるんだけど~

さっきーオズマ

序章

第1話 好きだったゲームの世界

「おぼっちゃまがこんなにも大きくなって、私め共は感激です…!!!」

「そ、そんな大げさな。涙拭いてよナイパー」

「ありがとうございます、お坊ちゃま」


 僕はクライト・フェルディナント・レンメル。よわい十五歳の子爵家の普通の三男だ。ただ、一個変わってることは僕には前世がある。簡単に言ってしまえば僕は異世界転生した人間だ。そして僕が転生したのは前世で僕が大好きだったゲームに出てくる、主人公に割と序盤じょばんでやられるませ犬的キャラだった。


 前世の意識が覚醒かくせいしたのは4歳の頃、本を開いた時だった。悪者わるもの正義せいぎの味方に倒されるという子供向けの本。でもそれが余りにもゲームの中の僕ことクライトにそっくりで、それで思い出したんだ。

 そこから僕は子爵家という事もあり、そこそこの英才教育えいさいきょういくを受けることになった。ただ、知識系ちしきけいの話は前世で僕が不登校の中覚えたものがほとんどで、わりと簡単だった。あとは戦闘技術せんとうぎじゅつみがくだけ、前世では体をあんまり動かさなかったのもふくめて中々に楽しい時間を過ごすことが出来た。


「おぼっちゃま、この邸宅ていたくをしばらくはなれるという事ですので料理長りょうりちょうが焼き菓子がしを作りました。どうぞお食べください。それとメイドの中から従者じゅうしゃなども連れていきますか?」

「ナイパー、別にそんなに心配しなくても大丈夫だよ。焼き菓子ありがとう。それと、いつも言ってるけど敬語けいごは使わなくていいのに」

「お坊ちゃま!そんなことをおっしゃらないでください。おぼっちゃまのように高貴こうきかたくだけた口調くちょうなど、使えるわけがございません!」


 まあそういうもんかぁ。この世界で15年間過ごしてきたけど、やっぱり自分より年上の人が懇切丁寧こんせつていねい態度たいどで敬語使うの慣れないなぁ。

 でもナイパー達がこんな丁寧ていねいな態度をとるなんて、本来のゲーム内だったらあり得ない状況なんだ。設定資料集せっていしりょうしゅうに書いてあったのは、『クライトは己が持ち合わせている〈属性ぞくせい〉のようにとても傲慢ごうまんだったため、使用人や周りの人間たちも彼を好いていなかった』という文章だったから。


「お坊ちゃま、何か忘れ物はございませんか?」

「うん、大丈夫。ナイパー、それと他の皆も。ありがとね」

「いえいえ、これが使用人としてのつとめです。おぼっちゃまはお気になさらず」


 使用人たちが心配そうな顔で僕を見つめる、そんな顔しなくても大丈夫なのに。だってそのために今日の今日まで鍛錬たんれんしてきたんだから。すべては悪役貴族あくやくきぞくとして勇者に殺されないように、万が一接触せっしょくしても簡単には死なないようにね。

 今の僕は正直言って結構強い。でもこれから行く学園では絶対に目立たないようにする。授業以外じゅぎょういがいりょうの部屋に閉じこもっていようか?案外あんがい魔法陣まほうじんの勉強なんかも楽しいし、何よりかくれて強くなれるから。


「それじゃあ行ってくるよ!」

「行ってらっしゃいませ、お坊ちゃま!このナイパー、もしもお坊ちゃまが望むならば遠い学園へも直ぐにさんじます!」

「大丈夫だって、ありがと。それじゃあ!」


 僕はいそいそと馬車に乗り込む。これから学園か、ゲームで散々見た最早もはや聖地せいちのような場所でもありながらこのクラインにとっては勇者のとの因縁いんねんが出来た最悪の場所。楽しみだけど同時に少しの不安もある。だけど、前世の知識もかしながら主人公達をできるだけ避けていけば殺されるなんてことはまず無いだろう。


 さて、暇だし学園へ着くまでに少しこの世界のおさらいをしようかな。万全を期した方がいいの当たり前のことだ。



 まずこの世界は前世に好きだったゲームの世界。風景としては中世ヨーロッパにかなり近いような気がする。剣術けんじゅつなんかもさかんだ。そして空気中や人間の体内には魔素まそがあって、それを使う事で魔法まほうを行使できる。ここまではよくあるゲームの世界観。

 だけどこのゲームには一つ、面白い要素がある。それが〈〉だ。


 属性というのは主に〈大罪属性たいざいぞくせい〉と〈美徳属性びとくぞくせい〉の二つがあって、一つづつの要素を人間は生まれながらにして持っている。そして、僕ことクライトが発現している属性は大罪属性たいざいぞくせいが〈傲慢ごうまん〉、美徳属性びとくぞくせいが〈寛容かんよう〉だ。

 だから何?って思うかもしれないが、この属性には結構重要な役割がある。まず、属性を発現しているかどうかでステータスの基準値きじゅんち大幅おおはばに違う。そして、どんな属性を持っているかで基準値の高いステータスの種類が違ってくる。


 例えば、僕の持っている〈傲慢ごうまん〉と〈寛容かんよう〉はそれぞれ次のような効果がある


〈傲慢〉…レベルアップ時に貰えるステータス値が上昇する

〈寛容〉…レベルの上限値が無くなり、レベルアップ時の必要経験値量が下がる


 因みにだが、普通の人の場合レベルに上限値がある。人によって個人差はあるものの、平均すると約レベル99まで。でも、〈寛容〉はレベルの上限値を消す。つまりは、ステータスが理論上無限に増やせる。まぁ、実際の所経験値が大量に必要だからレベル99を超えてから中々気持ちの良いように上がっていくなんてことは稀だけど。


 僕の属性の効果を簡単に言うと、レベルが上がりやすくてレベルアップの恩恵が大きいってこと。属性は人によって違っていて、攻撃力特化こうげきりょくとっかの人とか魔法特化まほうとっかの人とか。結構ゲームとしてはやり応えのある要素だった。

 属性は人によって発現できる数は決まってて、最大は7個まで。大罪属性と美徳属性で対になっている属性は同時に発現することはない。例えば、僕の持っている〈傲慢〉と対になる〈謙譲けんじょう〉は発現することがない。


 ただ、基本1個で少し強くなってくると2個発現する。幸い僕は小さい頃から鍛錬たんれんしてきたからか属性は2個発現している。


 。まぁ今ここで使えるようなものじゃないから、それは使える時が来てからかな。


「お、あそこに魔物まものがいる」


 いのししがた魔物まものが3匹いる。魔物の中では全然強くない部類ぶるい個体こたいだろう。近くにあった石を宙にかして魔物に飛ばす。魔物は石に当たって倒れる。どうやら正確に石を投げることができたようだ。


「んーいい感じ」


 今のは風魔法かぜまほう。魔法は体内にある魔素を様々な性質せいしつり上げて体外に排出はいしゅつする技術。魔素っていうのは空気中に含まれているもので、空気をすることで自然に取り込める。魔素の体内にため込める量は限りがあって、上限を超えたら自動的に超えた分は体外に排出される。

 それと魔法は攻撃魔法こうげきまほう生活魔法せいかつまほうっていうのがあって、今のは攻撃魔法。でも普通に生きてるだけなら生活魔法の方が便利だし良く使う。例えば少し暗い時にフワッとした光をだしたり、れてるものを温風で乾かしたり、とにかく種類が多くて使いやすい。

 でも、学園で必要とされるのは基本的には攻撃魔法だけ。学園は将来の王国の騎士きしだったり研究者を養成ようせいする機関きかんだから、生活魔法は覚えてもあまり意味がない。それでも大体の人は使えるけど。


序列試験じょれつしけんどうしようかなぁ」


 学園ではたちの悪いことに成績順せいせきじゅん学籍番号がくせきばんごうが決まる。1つの学年に生徒は300人いるけど、1~300までの番号が一番最初に分かってる状態で入る。成績上位の子にとっても下位の子にとっても、悪目立ちしすぎるのであまりうれしくない制度せいどだ。

 だから僕は100番くらいをねらおうと思ってる。あんまり下位なのも嫌だし、かといって上の方に行ったら勇者に命を狙われる可能性があるからね。


「う~ん、楽しみだなぁ」


 あーだこーだ言っているが、結局のところ学園に行くのは楽しみだ。自分が好きだったゲームの主な舞台ぶたい、ワクワクしない訳が無い。どんな人たちが待っているんだろう。僕の知ってるキャラはいるかな?


「よし。学園のある王都に着くまでお昼寝しよ〜」


ガタンッガタンッ


「んん、れすぎじゃない?」


 結局、学園に着くまで馬車が揺れすぎて全然寝れなかった。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




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