俺のメイドとの生活習慣びょう

@11277loxy

ディスク1 俺のメイドさん

 羽ペンを握った手が白紙の上を気付けば数時間置かれていた。

 今日は全然書けない……。

 そこそこ大きな館の中にある特別小さく作られた部屋の中、俺は酷く困っていた。

 俺は若くして有名作家になった。あまりに若く、あまりにいい本を出してきた天才作家だ! だなんて言われたりする。

 俺は幼い頃から字を使った表現が天才的だった。だが逆に口を使っての表現が壊滅的になってしまった。

 そんな俺はもうすぐ21歳の誕生日を迎える。21歳になると言うのに人と話す事がままならないコミュ障引きこもり作家になった。

 だがこの歳で作家として売れて館も買い、メイドも雇っている。

 そう、この物語の2人目の主人公と言っても過言ではない人物がこのメイドさんだ。

 コンコンッ!

「失礼します」

 そう言って俺の部屋に入ってきたメイドさん。

 ちなみにここで俺はきちんと「あ、どうぞ」と声を出したのだ! まぁ小声すぎてメイドさんには聞こえてないんだけど。

「あ、あの! お部屋のお掃除をしに参りました!」

 緊張してるのか変に声が高くなっている。

 早歩きで水の入ったバケツを重そうに俺の机の方へ向かってきた。

 まさか……違うよな?

 まさかそんな事はしないよな?

 おいおいメイドさんこっちへ向かってきては……

「よいしょっ! よいしょっ!」

 そしてメイドさんはその重たそうな水入りバケツを……

 バッシャーン!

 予想通り、俺のデスクの上を水溜りにした。

「あいたたたたた!」

 はぁ……やっぱりこうなるか。

「あ、ごごごごごごめんなさーーーーい!」

 メイドさんは大慌てでデスクの上の水を取り綺麗にしてくれている。

 いや絶対主人である俺を先に拭くべきだと思うけどやっぱ俺はコミュ障だから言えないよメイドさんよ……。


「いや、本当に申し訳ございませんでした!」

 デスクの上と俺を綺麗にし終わった後、俺はデスクの上にある紙はなんも書いてないし特に大事な物があるわけじゃないから大丈夫ですよ。と紙に書いてメイドさんに伝えた。

 コミュ障な俺はこうやって紙に書いて会話をしている。じゃないと話せないからね。コミュ障だから。

 それを知ったメイドさんは深くため息を吐き、胸を撫で下ろした。

 いやそこで安心しきっちゃだめだよ! と言う言葉は出したくても出ない。恥ずかしくてろくに会話もできない人だから。

「ほんとう、そういう大事な書類とか無くてよかったですね!」

 「あ、うん……」

 絶対そんな事言っていい立場じゃないしなんか失礼だし! 頭文字も口から出る事はない。コミュ障だから。

「じゃあ私は床にまだ水が残っているのでそちらも拭き取りますね!」

「うん……」

 そして膝を床に突き四つん這いなり雑巾で床を懸命に拭いている。

 懸命に拭いているところ悪いのだがメイドさんのスカートが水に濡らされ少し透けてきていてメイドさんの下着ラインが見えてきている。

 俺は顔が熱くなりすぐさま目線をずらした。

 やめろ! 主人である俺がメイドのそんな姿を見るでない! ぬおおおおお!

 

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