応援コメント

「読み合い」って何やの?――【注意喚起】「特定の作品へ誘導している」企画は削除される場合があると、カクヨムのガイドラインに明記されています。(あじさい様企画 2024.1.18)」への応援コメント


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     こんばんは、あじさいです。
     自主企画「【注意喚起】「特定の作品へ誘導している」企画は削除される場合があると、カクヨムのガイドラインに明記されています。」を開催している身なので、僕の考えを述べます。

     ガイドラインを守れと言っている方々には「読み合い企画はガイドライン違反だ」という立場の人が多いのですが、僕の考えでは、読み合い企画は禁止されていません。
     なぜかというと、2023年11月29日のカクヨムからのお知らせ、「【コンテスト応募のルールについて】カクヨムコン9に応募する前にご確認ください」(https://kakuyomu.jp/info/entry/webcon9_notes)という記事の「応募作が自主企画に参加した場合、同自主企画に参加しているユーザーからの作品評価は無効となります」という項目に、次のように書かれているからです。念のため、全文引用します。

    ――――
    コンテスト応募作品では、同じ自主企画に参加している人の評価は除外し、自主企画に参加していないユーザーからの評価のみをランキングに反映しています。これによって、自主企画に参加されている方でも、安心して読者選考のあるコンテストに参加いただけるようになっています。

    自主企画の中にはお互いの作品を読み合って評価し合うといった性格のものがあります。そのため参加作品の評価をそのままランキングに反映すると、自主企画に参加していない作品に比べて過剰に有利に働いてしまう可能性があります。そこでランキングの公平性を期すために、「同じ自主企画に参加している人同士の評価をランキングに反映しない」としています。
    ――――

     2段落目の冒頭「自主企画の中にはお互いの作品を読み合って評価し合うといった性格のものがあります」という1文は、いわゆる読み合い企画の存在に言及していますが、その後、読み合い企画を批判したり排除したりする記述はありません。そのため、カクヨム運営は読み合い企画が存在することを許容していると解釈できます。

     ガイドラインを見ても、「削除する場合がある」と書かれているのは、主催者が「無条件で」評価を与える企画と、参加者同士で相互評価を「確約」している企画です。ここで禁止が示唆されているのは、
    「この企画に参加してくれたら、“作品の中身が良くても悪くても”、主催者がとりあえず応援(♡)ボタンを押しますよ」
    「この企画に参加した人は、“作品の中身が良くても悪くても”、とりあえず応援(♡)ボタンを押してくださいね」
     と言っているような企画です。つまり、評価に関わる数値の“水増し(のみ)”を目的とした企画は、削除の対象になるかもしれないということです。逆に言えば、「無条件」や「確約」、それらに類する文言や事態を避けているなら、読み合いを旨とする企画であってもガイドライン違反にはならない……というのが僕の解釈です。

     ガイドラインの書き方自体が曖昧なので、カクヨム運営の意図を読み取ることが難しいのですが(僕個人としては、運営の意図などどうでもよく、正当に設定されたルールが合理的なものであるなら、それは守られなければなりませんし、守られていない今の状況は「気持ち悪い」というだけですが)、1つ確実なのは、運営はユーザー同士のトラブルを避けたがっているということです。これは、ガイドラインの、
    「他ユーザーに混乱や不信感を与える、コミュニケーショントラブルに発展する恐れがある時には、運営より連絡を差し上げる場合があります」
     という部分によく表れています。
     読み合い企画の中でも、評価を確約するタイプのものは面倒なトラブルに発展する可能性が高いです。なぜなら、他人に差をつけて自分の作品の評価を相対的に高くすることだけ考えると、他人には「応援」させて自分は「応援」しないのが戦略上は「合理的」だからです。つまり、
    「読み合い企画に参加したのに、主催者が俺の作品を読んでくれない(これじゃ俺だけが一方的に評価してバカを見てるじゃないか)。約束と違うぞ、運営、何とかしろ!」
    「読み合い企画に参加して、私は相手の作品を読んだのに、相手は私の作品を読んでくれない(参加者100人の作品を「応援」したんだから私の作品に100人分の「応援」が返ってこないとおかしい)。主催者、何とかしろ!」
     といった話になる可能性が高いわけです。ユーザー間のトラブルを防止する観点から、ガイドラインでそういう企画は「削除する場合があります」としているのだと思います。先ほども書きましたが、「無条件」や「確約」、それらに類する文言や事態を避けていれば、このようなトラブルが発生する可能性はぐっと低くなります。「企画の概要欄にはちゃんと書いてあったのに、高望みした参加者が場違いなクレームをつけている」という話として処理できるからです。

     以下、野栗さんが挙げてくださった①~⑥までの事例について、僕の解釈を述べます。

    ①→「企画に参加して下さった作品は全部目を通し、読んだという痕跡(たぶん♥のことですね)を必ず残します」の「全部目を通し」はセーフ、「読んだという痕跡を必ず残します」という部分がアウト。「面白ければ評価します」など条件付きの書き方であればグレー寄りのセーフ。グレー寄りなのは、主催者が参加作品の中身を吟味しているか不明で、評価されなかった参加者に不満が残りそうだからです。

    ②→「自分の代表作を貼り付けます」、「お読みいただいた方の参加作品は、必ず読み返しに行きます」のそれぞれが、「特定の作品へ誘導している」ことになるのでどちらもアウト。ガイドラインには「特定の作品への誘導を“目的としている”」という書かれ方はされていないので、概要欄での文字数や割合にかかわらず、「誘導している」という事実がある時点でアウト。野栗さんがおっしゃる、
    「もしも運営側が望ましくない、と判断するならば、「特定の作品へ誘導している」という漠然とした表現ではなく、もっと具体的に指摘すべきだと思うのです」
     という意見には僕も完全に同感ですが、その件で過去に何度かカクヨム運営に問い合わせても、明確な返答は得られませんでした(返答自体はあったのですが、転載禁止とのことなのでここに引用することができません)。
     ガイドライン違反の疑いがある読み合い企画全般に言えることですが、自作のエッセイや近況ノートでなら、自作の宣伝や誘導をいくらやってもいいんです。ですが、数値の水増し(を疑われるような行為)を自主企画という場でやるのは、ガイドラインを素直に読めば違反になるはずです。

    ③→「企画主の代表作を貼り付けます」、「必ず読み返し」、「レビュー(orフォローor応援コメント)を返します」がどれも「特定の作品へ誘導している」ことになるのでアウト。参加者同士の相互評価(数値の水増し)を誘発している点でグレー。先述の通り、そういうことはエッセイか近況ノートでやりましょう、という話です。

    ④→「必ずコメントします」という部分が、「主催者が参加作品に無条件で応援を与える」(抜粋)行為になるのでアウト。「気に入れば」、「可能であれば」、「何か思いつけば」などの条件付きであれば、「無条件」ではなくなるので、グレー寄りのセーフ。
     作品の募集はエッセイか近況ノートでやりましょう、というのは先述の通りですが、それに加えて、面白くない作品に無理にコメントを書いたところで真っ赤な嘘になるか、トラブルになる可能性が高いと思います。作品が面白い場合であっても、何も書けない(語彙力を奪われる)、何も書かない方が良い、といった状況が考えられます。そういった観点からも、自主企画という場で「必ずコメントします」なんて軽々しく約束すべきではない、と僕は思います。

    ⑤→「コメントを残すことをルールとします」が、「参加者同士で相互評価・ギフトの贈り合いを確約している」ことになるのでアウト。「企画主は可能な限り皆様の作品を回り、刺さった作品には★レビューします」は「無条件」ではなく条件付きなのでセーフ。「企画主の作品にコメントを寄せて頂いた方の参加作品は、優先的に読ませて頂きます」は「特定の作品へ誘導している」のでアウト。
     「必ず/絶対」ではなく「優先的に」であればセーフなのは、ガイドラインの「主催者が参加作品に無条件でおすすめレビューや応援やフォローを与える」企画は禁止という部分に限っての話です(たとえば、現代ドラマの作品を募集する企画の概要欄に、「××の要素があるものを優先的に読みます」と書いているのはセーフ)。「企画主の作品にコメントを寄せ」ることに言及されている時点で、「企画主の作品にコメントを寄せ」てくれなければ後回しにする(読まない)と言っているに等しいので、参加者は主催者(企画主)の作品に誘導されます。これは企画として「特定の作品へ誘導している」ことになるのでガイドラインに違反している、というのが僕の解釈です。
     なお、「最初からルールとして「企画内容」に明記され、それを納得の上参加する分には基本的に問題ない」というのは、数値の水増しで得をする主催者と参加者だけの話です。自主企画による無条件の評価や確約された相互評価、それによる数値の水増しによって作品が埋もれてしまう「読み合い企画に参加せず正々堂々と勝負しているユーザー」は、利用規約やガイドラインの精神を堅実に守っているにもかかわらず、「不利」な立場に置かれてしまいます。だからといってユーザー間のトラブルは発生しないかもしれませんが、ガイドラインを守らない方が「有利」という状況は、ガイドラインの存在意義から言って不適切なので、言及されるまでもなく禁止されていると解釈すべきだと思います。

    ⑥→グレー。「読まれたら、必ず相手の参加作を読み返す」とありますが、応援(♡)やレビューがない場合、特定の参加者に「読まれた」と判断する手段、「相手の参加作を読み返」したと証明する手段がありません。そのため、参加者が企画の内容を達成するためには、応援やレビューのやり取りが必須になります。これは実質的に(作品自体の良し悪しに関わらない)相互評価の確約のようなものなので、ガイドライン違反の企画と判断されてカクヨム運営に削除されても、文句は言えないと思います。しかし、ガイドラインを文言通りに読めば、削除される場合があるのは“参加した時点で何かしらの評価が約束されているような企画”のはずなので、「読まれたら」という但し書きが付き、なおかつ、(評価やレビューを与えるのではなく)「読み返す」のがルールということなら、相互評価の確約とまでは言えず、セーフと判断されるかもしれません。
     トラブル防止の観点で言えば、先に他の参加者の作品を読んだユーザーが、「俺はあのユーザーの作品を評価したのに、あいつは俺の作品を評価してくれない」と不満を言うことがあるかもしれませんが、企画でルールとされているのは「読まれたら読み返す」ことだけであり、「評価されたら評価し返す」ことではないので、「このユーザーの不満は企画の趣旨をきちんと理解していないものであり、的外れだ」、という話として処理できる、ということですね。
     野栗さんの疑問、「企画参加の段階でこのルールを了承しているならば、目くじら立てる必要ある?」に関しては、先述の通りです。主催者と参加者ではなく、参加していない人、もっと言うと、カクヨムという場全体の公正さに関わる問題なので、「ガイドライン違反の方が有利になる状況」は言及されるまでもなく禁止されている、と解釈すべきだと思います。

     繰り返しになりますが、ガイドライン的には読み合い企画は禁止されておらず、数値の水増しを目的としているような、「無条件」や「確約」、それに類する文言や事態が削除の対象になる場合があるだけだ、というのが僕の解釈です。
     文芸作品を書いたからには読まれたいのが人情なので、自主企画で「こういう作品を読み合いましょう、私も読みます」というのが全部ダメということはないはずです。ただ、中身の良し悪しを判断せずにボタンを押すだけの企画は(トラブル防止のために)やめましょう、そのためにこういうルールを設けます、ルールを守るためにこれこれの企画はカクヨム運営が「削除する場合があります」、という話でしょう。内面的な姿勢を守らせるものであっても、文言としてのルールはどうしても形式に頼ることになるので、杓子定規だったり言葉選びの問題に見えたりすると思います。ですが、無いよりマシというか、ルールを守ることでみんなが気持ちよくカクヨム・ライフを過ごせるはずです。その意味で、自主企画に関する現在のガイドラインは合理的なものであり、守られるべきと考えるのに充分なものだと思います。

    ※このコメントは長すぎて返信するのが大変だと思いますので、返信不要です。他の読者やユーザーの方々と議論するときの叩き台の1つにしていただければ幸いです。

    <追記:2024年1月24日18時20分>
     誤字がひどかったので修正し、分かりにくい部分に加筆しました。また、一息に書いて変な勢いがついていたせいか、野栗さんに対して(理由もなく)攻撃的になっていると受け取られかねない箇所があったので、修正しました。申し訳ありませんでした。

    作者からの返信

    丁寧なコメント、ありがとうございます。
    助かります。
    カクヨムに作品をupすることで何らかの収益を上げるとか、書籍化やコンテスト入賞などメジャーになることを目指すとか、そっち方面には全く関心がなく、十分理解できていなくてすみません。
    「続編」(笑)を先ほどupしました。
    ご覧いただけましたら幸いです。


  • 編集済

    興味深い記事をありがとうございます。
    「特定の作品へ誘導している」の一文に関して。企画内容欄にリンクが貼れるようになっている仕様上、主催者特権というか、「良かったら読んでね」くらいの宣伝は問題はないのかなと思ったりもしています。はっきりはわからないのですが、問題なのはそのリンクが作品の一ページ目に設定してある(開けば自動的に1PV増える)場合、というのをどこかで見かけたことがあります。
    グレーな部分はいっぱいありそうですが、基本的な部分はしっかり守ったうえで気持ちよく楽しく読みあいができたらいいよね、と自分は思います。

    作者からの返信

    さっそくお読みいただきありがとうございます。
    リンクを作品1ページ目(1話完結ですと、ダイレクトに本文が出るという感じですね)にするのは、相手がワンクリックでスムーズに作品を見られるようにとの配慮だとずっと考えていたのですが(自分もリンクを貼るときはそうしています)、「PVがつく」こと自体を狙っているケースもある、ということですね。本当に、どうしたらいいかわからないけど、そもそも読む気にならなければリンクを踏むこともないので、私は深く考えていません。
    おっしゃる通り、気持ちよく楽しく読み合って交流できるといい、と強く思います。人の作品をつかまえて「あんなひどいシロモノが、★もPVもめちゃくちゃ稼いでいる、おかしい!」と憤激するのは自由だし、一理あることだと思います。個人的にはそういうことを気にしたところで、いたずらにストレスをためるだけなので、極力考えないようにしています。こういう態度がいいのかどうか、わかりません。
    今後もよろしくお願い申し上げますm(__)m