顔も知らない貴方の無事を、心の底から祈っている。
銀樹
今、貴方は無事ですか。
私をご存知の方も、そうでない方も。
皆さん、無事ですか。
安全な所にいますか。
私は無力です。
こんな時なのに、ここでただ祈ることしか出来ない。
けれど思います。小学5年生の時、全身を襲った大きな揺れを。
足元に確かにあった階段が訳もわからぬまま揺れて、校舎の天井で輝く電灯が大きく右往左往していたことを。
今日のプールは入れるかなとか、少しずつ暑くなってきたかなとか、そんな普通が一変して、そこに存在していたはずの日常が、一気に消えたことを。
けれど今日みたいな日は思い出すんです。自分には被害がなかったとしても、とても怖くて仕方がなかったあの日のことを。
頭が繰り返します。こわい、こわい、こわい。
そんな時は私はただの気弱な小学5年生の少女に戻ってしまいます。
みんな、生きてますか。
私は今、生きてます。
ちゃんと安全な場所にいます。
命辛々逃げ出して登った高台の上は寒いんだろうな。
突如降ってきた瓦礫の狭間は息苦しいだろうな。
街の電気が消えてしまって、寒空に輝く星がやけによく見えるんだろうな。
天を舐める火柱が、だんだんと勢いを増していくのを見るのは、それはそれは怖いんだろうな。
闇夜と瓦礫の間を縫うようにやってきた壁は、臭くて大きくて、とても冷たくて、絶望の2文字しか刻まれないんだろうな。
そうやって想像して、ただ貴方の無事を祈ることしか出来ないのがとても歯痒いです。
どうか、どうか、無事でいて。
これ以上誰も傷つかないで。
もう誰も死なないで。
生きるのも死ぬのも、全て貴方の意思のままにあって欲しい。
こんなのってない。本当に、本当に。
顔も知らない貴方の無事を、心の底から祈っています。
顔も知らない貴方の無事を、心の底から祈っている。 銀樹 @frozen_yzyzx
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