第37話 社畜、頭のネジが外れている

「ここなん、あしょぼ!」


 俺達の話が終わったら、ゴボタが心菜の手を引っ張って遊びに誘っていた。


 俺以外の人と遊ぶことがないため、心菜のことが気になるのだろう。


 それに俺よりもゴボタの体力についていけるしな。


「はぁー、ゴブリンがこんなに可愛いとは思わなかったわ」


 そんなゴボタを心菜は抱きついていた。


 うちのゴボタは世界一可愛いからな。


 ちなみに心菜に一般的なゴブリンとコボルトを見せてもらったが酷かった。


 ゴブリンは可愛さのかけらもないし、人型をしているだけで醜い姿をしていた。


 コボルトもリーゼントはただの犬だが、どちらかと言えば犬に近い気味の悪い妖怪のようだった。


 あれはただ犬の形をしているだけだ。


 心菜がこのダンジョンに来て驚くのも無理もない。


「俺達はその間に拠点をどうにかするか」


 昨日は急に夜になったため、その場で寝てしまった。


 探索者に壊された拠点を直さないと、俺達は生活できないだろう。


 まずは燃えた木材と使えそうな素材を分けるところから始めた。


「ボスゥ?」


「ん? どうした?」


「ボスはここなんのところには帰らないの?」


「帰るって?」


「ここなんが帰る時について行ったら、ボスはお家に帰れるよ」


「あっ……忘れてた」


 どこか頭の片隅で俺はここから出れないと思っていた。


 だが、心菜がダンジョンに入って出られるということは、俺もここから出ることができるということだ。


 すっかりそのことを忘れていた。


「ボスってどこか抜けてるぞ」


「いやー、そういう日もあるよ」


「ボスはいつもネジが抜けているからな」


 どうやら俺はリーゼントにネジが抜けているやつだと思われているようだ。


「ダンナ様はどこかに行かれるんですか?」


 それを言われたら、何とも言えないのが現状だ。


 心菜の話では20年も経っていると言っていた。


 行方不明扱いで、仕事もなければ俺が戻っても生活ができるだろうか。


 それに社畜生活にはもう戻りたくない。


 今の世の中どこに行っても、同じような気がする。


 それに俺がいなくなったら、ゴボタ達はどうするのだろうか。


 魔物が外に出ただけで騒ぎになるぐらいだから、ゴボタ達を連れて行けるはずがない。


「いや、俺はここに残るつもりだぞ」


「やっぱりダンナ様は私と結婚してくれるのね!」


「それとこれとは別だ。俺は未成年に興味はないからな」


 ホワイトはなんとしてでも俺と一緒になりたいようだ。


 ただ、見た目が子どもだからそういう目で見れない。


「私、立派な大人ですよ?」


「えっ……」


 どうやらホワイトは大人だった。


 大きさ的にはゴボタより少し大きいぐらいだけど、まさか大人だとは思わないだろう。


「俺にロリコンの趣味はないからな!」


 それでも小学生高学年ぐらいの見た目に興味はない。


 年齢がどうかは関係ない。


 関係あるのは見た目だけだ。


「やっぱりダンナ様は私が貧乳なのが嫌なんですね」


「いやいや、そこじゃないだろう!」


 ホワイトは胸のサイズが原因だと思ったのだろう。


「私たくさんお乳を飲んできます!」


 そう言ってホワイトはハナコの元へ向かっていった。


 確かに牛乳を飲めばたんぱく質が豊富に含まれているから、女性ホルモンの働きを活性化させてバストアップになると聞いたことがある。


 ゴブリンも胸を大きくする方法は人間と同じようだ。


「やっぱりボスは頭のネジが外れているね」


「おいおい、今の会話のどこがおかしいんだよ!」


 どちらかと言えばネジが外れているのはホワイトの方だ。


 手元を必死に動かしているリーゼントの頬を俺は掴んだ。


「俺はおかしくないぞー」


「ぼしゅはあちゃまみょ、かおもおかちぃよおおお」


「なんだとー!」


 俺はしばらくリーゼントの頬を掴んでグルグルと遊んでいた。


 ゴボタも心菜と鬼ごっこして楽しそうだ。


 こんな日が続くと良いなと俺は思った。


───────────────────

【あとがき】


「おいおい、★★★を置いていきやがれ!」

「いきやがれ!」

「レビューを書きやがれ!」

「きゃきやがれ!」

((((((((((。・"・。)ノ( っᐡーﻌーᐡ)っパラリラパラリラ


「我が子と犬がご迷惑おかけしてすみません。よかったら★とレビューをよろしくお願いします」


 俺は急いで頭を下げて、ゴボタとリーゼントを追いかけた。

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