裏切られた善良領主は転生し悪役領主となる
ナナシの文字
悪役領主になる前のお話
「私」の始まり
第1話 転生
side ???
私は貴族の男爵だった
貴族のいう称号以外何も目だつことはなかったであろう私は
貴族の権力争いに巻き込まれてその称号すらなくなる
妻も子もいないので荷物を整理したらなるべく目立たないようにすぐに出て行くつもりだった
そのこの地を後にする日が今日だった
「しかしどうして......どうしてこんなことに......」
私はまるで日の渦のように燃えている部屋を見てそう呟いた
男爵の地位はなくなってしまったがこれまで住んでいたまだ屋敷には、当分の間住んでもいいことになっていた。
なのに......
「領主はどこだ!こそこそ隠れずに姿を見せろ!逃げたのか!」
「どこでもいい。すでにいなくなっても探せば痕跡ぐらい見つかる!とにかく手当たり次第探せ!!」
火を灯した松明を持った領民の怒号が遠くのようでよく聞こえる音の大きさで聞こえる
(なぜだ.......なんでなんだ.......)
私は貴族だが領民に寄り添っていたと思っていた
領内の政策も交流もしっかりやっていたはずだ
「外に出たようすはないようです。」
「そうか!......ならここにいる他ない!わかったか!この屋敷の隅々まで見ろよ!」
ドン ドン
そんな足音が大きくなっていき
こちらに近づいてくる気配が前から感じ取れる
「いたぞ!みんなこっちだ!早くこい!」
そうして私がかくれていた部屋のドアを乱暴に開けて一人の男が現れ睨むような目でこちらを見つめた
「......やっと、やっと見つけたぞ!苦労かけさせやがって。いや、やっとこの重みから解放されるんだ。」
しかしなぜこんなことをするかわからなかった私は今にも枯れそうな声でこう言う
「......何で......私が何をしたと言うんだ。」
「はっ......何を言っている貴様は、俺たちの税金を横領して懐に入れたらしいじゃないか。」
「なにを......」
すると目の前の男は赤い一枚の紙を持ちながらこういった
「しらばっくれるな!しっかりと横領の証拠があると言う書状が王都から上がっているんだよ!これでも違うというのか!」
「......」
この言葉とその赤い紙で大体わかった
つまり嵌められたのだ多分権力争いに負けた領主が暴動を起こさないように領民の信頼を得ている私が当て馬にされたのだ。この状況じゃ王都に確認も出来ない。
そう思っていると目の前の男が持っていた剣を私に向ける
(なぜだ......領民たちは王都からの書状を疑って最後まで信じてくれなかったのか.......)
男が私に向かって剣を振り落とし
ザシュ
そんな音がしてから辺りに赤い血が飛び散る
そのまま肩から崩れてそこに沈む
「ガハッ.......」
「おお!見つけたか!......こんなところに空間があるなんて.......」
「はい!こんなところにいやがって.......この通りこれまでの恨み晴らしてやりました。」
「よくやった!おまえは英雄に.......」
......私の人生はここまでか
そう思いながら自分の意識が薄れていくのがジワジワ感じた......
***
「イッツッッ......」
うん?
なんでこんなにも痛いんだ?
いや、そんな絶叫するような痛さではなく
じーんとした人がおもっきり振り回せるような長さの固い木の枝に頭に当てられたようなそんな痛みが感じられた
「だいじょうぶ.......ですか?」
たしかあのとき.......
そう私はたぶんあの時領民たちに暴動を起こされて......死んだんだ。
「.......」
体の正面は?......異常なし
剣の切り傷とうなどは?.......特になし
なんで生きているんだ?
「いや......そういえば少し前.......」
確か領主となり受け継いだ屋敷にあった
地下の隠し部屋の机の上に変な石があった......
その名を『転生石』と言うものが......
石見つけたときはそこに石と一緒に添えられていた紙にその石の説明が書いてあったが
説明の意味が
なにかに乗り移るなど.......もう一度機会が与えられるなど
よく分からないものだった
「.......すっかり今の今までこの状況になるまで忘れていたからな.......」
まあ、あの石が何かときれいというか
「あの.......」
何か心というか本能が惹かれるものがあったのでポケットの中にいつも
「.......」
まさかあの石が原因?
いやそんなことが現実にあり得るのか?
とにかく現状確認が必要になる
「.......だっ大丈夫ですか!」
急にあらわれた女の人が必死に謝っている
「だ、だれだ!まさか.......」
あのときの残党か?
それにしては身軽な......まるで使用人が着ているようなメイド服を着ている
その服の中にナイフや武器が隠されているのか.......
私は頭を前に曲げようとするその手練れに向かって警戒を......
「申し訳ありませんリク様!ぶつかってしまって本当に申し訳ありません!」
「だれのことをいっているんだ。」
「え.......それは......え?」
「.......」
私は向けられた視線の先.......つまりいうと私ということになるのだが
視線をよくよくみるとある異変に気が付いた
私は良く見ていなかったすぐに気づくべきだったのだ
部屋......この様子だと廊下が燃えていないことや
体の大きさとそしてその体の異変があるか調べた手の大きさを.......
その視線が私から見て上から見下ろらせていることに
そう、客観的に見て体の大きさが目に見えないような昆虫と人間を見比べるように
あきらかに小さくなったのだ
--------------------------------------
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます