十節〈記憶の彼方に〉

 あの騒動から半年が経った。

 町はすっかり元通りになって、騒ぎの見る影もない。

 勿論、あの騒動を憶えている者もいなかった。



「レイくん、大丈夫? 辛くない?」

「大丈夫だよ。そこまで弱くないって」

「そうですよテオ。

 レイフォード様はもやしですけれども、ずっと外を歩く練習を頑張って来ましたから!」

「いつも一言余計なんだよ、セレナ」



 幼い子ども二人と若い女性一人。

 子どもの一人は杖を付き、もう一人はそれを心配そうに気に掛けている。


 現在、レイフォードとテオドール、セレナの三人はクロッサスの町へ買い物に来ていた。


 




 ユフィリアへの贈り物を選びたい。

 豊穣の月も中旬を過ぎた頃、レイフォードがそう言った。

 

 二人の文通も半年が経って手紙も大量に出していたものの、面と向かい合ったのは怪我を見舞いに来た日以外ついぞなかったのだ。


 そして一週間後、漸く会う都合が付いた。

 ほぼ半年振りに会うということで、何か贈り物を。


 しかし、今の自分には贈れるような物を持っていない。

 ならば、どこかに買いに行けば。

 そこまで考えてから、レイフォードは気付く。


 世間知らず過ぎて、何が適しているか全く分からない。


 欠陥も欠陥。

 論文ならば根拠すらないような状態だった。


 

「……セレナ、仕事中にごめん。

 相談したいことがあるんだけど」

「レイフォード様が? 珍しいですね」



 この屋敷の使用人で一番若く、気心の知れているセレナに相談を持ち掛ける。

 揶揄われることは承知の上だった。



「……なるほど、それなら私が適任でしょう。

 この不肖セレナ、レイフォード様の初恋相手に相応しい贈り物を見つけて見せます!」

「だから初恋じゃないんだって!」

「……初恋……?」



 背後から聞こえた声に振り返る。

 そこには銀の差し色が入った黒髪の少年、テオドールが居た。



「ねえ、レイくん。俺何も知らないんだけど。

 初恋って何? レイくん、好きな人がいたの?

 誰、どんな人?」



 逃げられないように正面から肩をがっと掴み、前後に揺さぶって尋問する。

 鬼気迫るテオドールに気圧されつつ、レイフォードは誤解を解こうと必死に弁明した。



「誤解、誤解だから!

 ユフィのことだよ、友達の!

 そうだよね、セレナ!」

「そうですね、お友達で『初恋』のユフィリア様です。

 という冗談は置いておいて。

 テオ、レイフォード様は今度、ユフィリア様に会う際に贈る物について悩んでいたのです」



 セレナの冗談で一層強くなった揺れが、ぴたりと収まる。

 油の切れたブリキ人形のように首を傾げるテオドール。



「本当に?」

「本当です。私、嘘吐きません」



 元々の原因はセレナだろう。

 そうツッコミを入れたくなるレイフォードだったが、揺らされたことにより受けた傷が思いの外大きかった。



「……それで、町に買いに出掛けようとしたんだけど、僕だけじゃいけない。

 だから、セレナに手伝って貰おうとしたんだ」



 納得したらしいテオドールは、レイフォードの肩を離す。

 安堵して胸を撫で下ろした。

 

 が、依然テオドールは離れようとしない。

 今度はレイフォードの脇下に手を回し、後ろから抱き着くように拘束する。



「それ、俺もついて行きたい」



 予想通りの言葉が彼の口から飛び出した。


 テオドールがこの屋敷で過ごすようになってから、特に彼が自分付きの従者となってから。

 彼は、レイフォードを過保護なまでに守護していた。


 虫が出ればレイフォードの半径六・六尺二メートル以内に近寄らせず、暑い日は逐一体調を確認し、咳でもしようとものならば寝具ベッドに強制送還しようとする。

 過保護を通り越して最早恐怖でしかないのだが、レイフォードもどこか螺子が外れているので『何か申し訳ない』くらいしか思っていなかった。

 類友である。



「仕事の方は大丈夫?」

「終わらせる。間に合わせる」

「私も問題ありません。

 主任に伺って参りますので、少々お待ちください」



 そうして十分後、許可をもぎ取って来た二人と共に、レイフォードは町に繰り出したのであった。






 機能回復リハビリテーションを初めて三ヶ月。

 懸命に努力した結果、レイフォードは杖の補助があれば歩行ができるようになっていた。


 まず巡るのは市場だ。

 秋も深まってきた豊穣の月。

 実りの秋とも云われるこの月は、果物や山の幸などが豊富であった。



「果物なら林檎、梨、柿、栗。葡萄もあるね」

「ただの食材ではあちらにもあるでしょうし、珍しい物のほうが良いと思います」



 物珍しいもの。

 周りを見渡して普段見ないものを探してみる。


 しかし、レイフォードの目に映るのはどれも珍しく、どれが皆にとって珍しいのか分からなかった。



「食品は難しいかもしれませんね。

 装飾品や雑貨の方向にしましょうか」



 繋いだセレナの手を、離さないようにしっかり掴む。

 反対側の杖を付いている方にはテオが控え、二人に挟まれるような形だ。


 前に来た時は馬車であったため、こんなに混むものだとは思っていなかった。

 すれ違う人の多さに“眼”が眩みながらも、レイフォードは進んでいく。



「セレナさん、少し休んだ方がいいかも」



 レイフォードの不調に即座に気付いたテオドールが、セレナに進言する。

 それは、セレナも承知していたことだった。



「休んでいただきたいのは山々なのですが、ここは些か人が多過ぎます。

 下手に立ち止まると波に飲まれて逸れる可能性があるため、もう少し密度が下がるまで歩く必要があるのですが……レイフォード様、いけますか」

「……勿論、心配いらないよ」



 それが虚勢であることは直ぐに分かった。

 二人にとっても、レイフォードにとっても。

 彼が吐くには、下手過ぎる嘘だった。


 長く広い大通り。

 人混みで前に余り進まない。

 流れ込む大量の情報に脳が悲鳴を上げている。


 少しずつ削られていく意識の中、誰かの泣き声が聞こえた気がした。



「────あそこ、か」



 ある路地裏の壁の下側、そこに座り込む幼い少女。

 丁度レイフォードやテオドールと同じくらいの。

 レイフォードは手を離し、少女に歩み寄る。


 するりと抜けた手に、油断していたセレナは直ぐに反応できなかった。

 彼女が手を掴み直そうと伸ばす前に、レイフォードは人混みの中に消えていってしまう。



「レイフォード様……?! クソ、私の馬鹿!」


 自身の失態へ悪態を付きながらも、人の流れを掻き分けて小さな少年を探す。

 もっと早く気付いたあの過保護鳥テオドールがレイフォードをとっ捕まえていることを願って、セレナは走り出した。






 一歩、二歩、三歩。

 踏み出す度に視界が揺れる。

 指先の感覚も足先の感覚も、無くなっていく。

 

 それでも、あの少女は助けなければいけない。

 泣いている子に手を伸ばさないなんてできない。


 そうして、もう一度杖を付いた瞬間だった。

 第三の足ともいえるそれに入る力もなく、身体がが崩れ落ちて地面が急接近する。


 あともう少しなのに。



「全く、無茶するんだから」



 激突寸前で抱き留められる。

 聞き慣れた声の主は、肩を貸すように腕を回した。



「……ごめん」

「謝るのは後で良い。叱るのもそこまで待ってあげる」



 だから、やりたいことをやって。


 言外にテオドールは伝える。

 君の行く道に着いて行ってあげるから、と。


 四歩、五歩、六歩。

 人が押し寄せる中を掻き分けて行く。


 七歩、八歩、九歩。

 少女との距離が縮まっていく。


 十歩、十一歩、そして十二歩。



「どう、したの?」



 少年は、少女に手を差し伸べる。






 とある路地裏。座り込む少年と仁王立ちする女性。

 


「レイフォード様」

「……はい」



 ────あれほど町中では手を離さないでくださいねと言っていたのに、何故離したのですか。

 仮に誰かが困っているとしても、自身を鑑みない勇気は蛮勇と言うのです。

 周りに相談できる人がいるのですから、相談してください。


 等々、レイフォードは正論によるお叱りを受けていた。



「ですが、私も至らぬ点は多くありました。

 今回は大事にならなかったことと、その行動理由により不問としましょう」



 溜息混じりに微笑んだ────ように見えるセレナは、レイフォードの体調を確認する。



「お怪我はありませんか?

 それと“眼”の調子はいかがですか?」

「どこにもないよ。

 こっちも落ち着いて来たから、大丈夫」



 情報過多により熱を上げていた脳は、小休憩によって通常へと回帰していた。

 再び加熱する可能性は大きいが、こまめに休息を取ることで、先の様にはならないだろう。



「……取り敢えず信用いたしましょう。

 人通りの少ない道を選び、的に休息を取りつつ露店街に向かいます。

 お二人もよろしいですね?」



 セレナがそう声を掛けたのは、背後に居た二人だ。

 片方はテオドール。

 もう片方は先程泣いていた少女、ローザ。

 どうやら迷子らしい。


 ローザは、共に来ていた両親と市場で逸れてしまった。

 原因は珍しい商品に気を取られて、繋いでいた両親の手を離してしまったからだった。


 レイフォードは降り注ぐ視線に堪えつつ、少女に初めて会った振りをした・・・・・・・・・・・


 彼女は憶えていないのだろう。

 あの夜空の下の攻防を。

 レイフォードとテオドールが立ち向かったことを。


 それは、忘れていなければいけないことである。

 忘れていた方が幸せなことである。


 それでも、憶えられていないというのは、些か堪えるものがあった。


 ローザと直接話したわけではないから、ぼろはまだ出ていない。

 現に、彼女はテオドールと仲良く談笑していた。

 取っ付きにくい印象のあるレイフォードよりも、テオドールの方が打ち解けるには適任だったのだ。


 ローザ曰く、両親は雑貨店に行くと話していたらしい。

 行き先も被っていることだから、親探しも並行してやることになった。


 前後二人ずつ別れ、大通りから外れた小道を歩く。

 入り組んでいるが、人はあまりいない。

 潤滑に進んで行くと、ぱっと拓けた場所に出た。

 装飾品や雑貨店の露天街だ。



「どうですか、ローザ様?」

「……分からない」



 少女の背丈では見渡せないから、とセレナはローザを肩車し持ち上げた。

 幾許か高くなった視界の中少女は両親を探すが、見当たらないようだ。


 ローザの言葉からすると、別れてからあまり時間は経っていない。

 セレナのような慣れているものでなければ、人の波を掻き分けるのは難しい。

 逆走するのであれば尚更だ。


 市場の人混みの一部は、辿っていくとここに着く。

 この町出身でないローザの両親は、ほぼ確実にこの辺りにいるはずだった。



「もっと別の場所も探しましょう」

「……それなら、提案があるんだけど」



 テオドールが手を挙げる。

 彼がが提案したのは、『空』から探すことだった。


 テオドールは、今はある術具を使って《人族》と大差ない容姿となっている。

 当然、二対の翼もない。


 彼が主張したのは『術具を外し本来の姿になった上で、隠蔽術式を掛けてローザと共に上空から彼女の両親を探す』ということだ。



「隠蔽術式はセレナさんに掛けてもらうことになるけど、これが一番早く見つかると思う」

「……そうですね、レイフォード様はいかが思いますか?」



 レイフォードは逡巡する。

 セレナの隠蔽術式は目を見張るものがある。

 並の者では気付くことはできない。


 また、上空から探す、というのも理に適っている。

 唯一の懸念点は『ローザの安全と精神の保護が不安定であること』だった。



「ローザちゃん。

 貴方さえ良ければテオ……あの子と一緒に空から探せるんだけど、どうかな?」

「わたし、は……」



 不安そうに服の裾を掴む。

 それはそうだ、ローザにとっては空を飛ぶということは未知の恐怖である。

 神秘に馴染みのない者が選ぶのは難しい。


 レイフォードが別の方法を提案しようとした、その時だった。



「やる、わたしやる!」



 翡翠色の瞳を目一杯見開いて、少女は啖呵を切る。

 レイフォードは、再度ローザに確認した。



「危ないかもしれないし、怖いかもしれないよ」

「それでもやる!

 テオくん、手伝ってくれるんでしょ?」



 勿論、と背後の少年は拳を差し出す。

 勇気があるなら、それを挫くのは無用だろう。



「任せたよ、テオ」

「任された」



 テオドールは、下げていた首飾りをレイフォードに手渡す。

 瞬間、腕が翼になり、腰から二対目の翼が生える。

 瞳は猛禽類の様な鋭さを宿し、手足も鋭利な爪が目立つ。


 テオドールはローザを背負い、翼を伸ばした。

 殆ど同じ体躯であるというのに、彼は体制を崩すことはない。



「セレナさん、お願いします」

「承知いたしました。頑張ってください」



 セレナにしては長い詠唱だ。

 余程念入りに掛けているのだろう。


 最後の一節、そして《鍵句》を詠み終われば、レイフォードのような特殊な“眼”を持っている者でなければ見えないほどに存在が希薄になった。


 ふわりと風が巻き起こる。

 足は地を離れ、身体が宙に浮く。

 夜空の翼は、正反対な青い空へと羽撃いていった。






 露店街は二つの列が向かい合い、間を人が通るような形で作られている。

 列の端から端は約一六五尺五十メートル

 その中でも雑貨店ならば、いくつかに絞られる。



「ローザ、あそことあそこ辺りはどう?」

「……違う」



 どれも違う、と少女は言う。

 もしや、もう既に移動してしまったのだろうか。

 その可能性を念頭に置きながらも、テオドールは飛び続ける。


 ふと、視界の端に目が止まった。

 灰青の髪、翡翠の瞳。

 不安そうに、何かを探すように周囲を見渡す男女。



「ローザ、あの二人!」



 背の少女は、途端に喜ぶ。

 お父さんとお母さんだ、と。


 ただ、ローザを下ろすにしても場所がない。

 拓けた場所に下ろしてそこから歩いてもらうにしても、また人混みに呑まれれば意味がない。


 どうするべきか。

 一度落ち着くために、テオドールは屋根に降り立つ。

 ローザもそのことについては理解しているようだった。



「動いてくれるといいんだけど……」



 しかし、この人混みの中だ。

 迂闊に動くことはできない。

 一番人の多い昼時であるのが難点だった。


 ここに居てもどうにもならない。

 そう考え、二人は一度レイフォードとセレナの元に戻る。

 だが、その心は晴れやかだった。






 頭上から影が落ちる。

 二人が帰ってきた合図であった。



「お帰り、どうだった?」

「見つけた。けど、俺達二人じゃ辿り着けそうにない」



 ローザを背から下ろしたテオドールに、首飾りを投げ渡す。

 成果はあった。

 見つからない、という最悪の事態にはなっていなかったようだ。



「ならば、行きましょうか。

 テオ、先頭は任せました」



 四人で、件の二人が居た場所に向かう。

 逸れないように、今度はしっかり握り続けて。



「お父さん、お母さん!」



 人混みを抜けた先、立ち往生する男女二人に向けて、ローザが飛び出した。

 彼女の声が聞こえた瞬間、二人の表情はぱっと明るくなる。



「……良かった、本当に。

 怪我はない?」

「大丈夫!

 あのね、あそこの人たちが助けてくれたの!」



 母親に抱き締められるローザ。

 彼女がレイフォードたちを指し示すと、両親は彼らの存在に感謝を述べた。



「ありがとうございます。僕達では見つけられず……」

「本当にありがとうございます!」



 ほぼ直角というほどに、美しいお辞儀をする。

 年上に頭を下げられる経験などなく、セレナは普段見れない慌てようだった。



「顔を上げてください、私は二人の手伝いをしただけです」



 セレナは、レイフォードとテオドールの肩に手を添える。

 二人がいなければ、ローザを見つけることはできなかったと加えながら。



「きみ達が……ありがとう。こんなに小さいのに偉いな」

「ほんの少しのお礼なのだけれど……」



 視線を合わせ、ローザの両親は再び感謝を述べる。

 お礼として手渡されたのは、とある劇場の入場券だった。



「私達、劇団をやっているの。

 今度の劇、見に来てくれないかしら」



 券には『劇団パンタシア』と書かれている。

 演目は『永遠の生命』。

 この国では有名な童話であった。



「来月シューネで演るのですが、都合が合うのでしたら是非よろしくお願いします」

「これはこれは……ありがとうございます」

「いえいえ、これくらいしかお礼ができずすみません」



 大人が大人で話している間、子どもは子どもで話していた。



「今日はありがとう!

 テオくん、レイフォードちゃん!」

「ちゃん……まあいいや。

 もう逸れないようにね。

 ……テオは笑わない」

「……ごめん。

 ローザ、ちゃんと手繋いでおくんだよ」



 輝くような笑顔で少女は頷く。

 セレナと彼女の両親も話し終えたようだった。


 またね、と手を振ってローザたち三人は人混みの中に消えていく。

 きちんと両手を両親と握り合い、今度は手を離すことがないように。



「さて、問題も解決したことですし、本来の目的に戻りましょうか」

「そうだね、近いところから回っていこう」



 レイフォードたちは本来の目的である、ユフィリアへの贈り物を選びに行く。

 最終的にレイフォードが選んだのは、白い糸で花の刺繍が入った空色の平紐リボンだった。






 後日、ユフィリアから届いた手紙には『劇団の入場券を貰ったの。見に行くが楽しみ!』という一文が書かれていた。

 レイフォードの手紙にもほぼ同一の文が書かれている。

 再び会う日は近かった。






 馬車に揺られ、数時間。

 アーデルヴァイト伯爵領の南西に位置するレンティフルーレ侯爵領は商業中心に栄えており、シューネはクロッサスとは比べ物にならないほど発展していた。 

 東部の最大都市はイカルスノート公爵領のティムネフスだが、二番目はシューネと言う人もいるらしい。


 そんな大都市は、レイフォードの想像以上の賑わいだった。

 どこを見ても人、人、人。

 大人から子供まで、老若男女が練り歩いている。


 昼の鐘は既に鳴り終わり、晴れた空と高い太陽は絶好の外出日和だ。

 今日が休日なのもあって、普段より人は多いのだろう。


 今回はいつもと違い、お忍びということで貴族用の馬車ではなく、乗り合いの馬車で向かっていた。

 あの日、入場券を貰ったテオドール、セレナの三人で上映される劇場へと足を運ぶ。


 待ち合わせの立像前。

 月白色の髪と菫青石アイオライトの瞳を持つ少女が立っている。

 ユフィリアだった。


 彼女はレイフォードたちを認識すると、控えめに手を振る。

 いつものように元気いっぱいではないのは、周りの目があるからだろうか。



「こんにちは、ユフィ。今日はよろしく」

「こんにちは。こちらこそ、よろしくね」



 ユフィリアの背後に控えていた男性とセレナは、互いに礼をし合う。

 手紙には彼女の両親も行くと書かれてあったが、その姿はどこにもない。


 レイフォードがそのことについて訊くと、ユフィリアは仕方ないと目を伏せて答えた。



「お父様とお母様、外せないお仕事が入ってしまったみたいで。

 私とユミルだけなの」

「ユミルと申します、お見知りおきを」



 ユミルと呼ばれた初老の男性は、先日彼女の屋敷に訪れた時案内を担当していた者だった。

 所作の一つ一つが美しく、使用人としても、護衛としても熟練であることが見て取れる。


 揃った五人は、劇場の内側へ足を踏み入れた。

 受付は劇を見に来た人で溢れており、長蛇の列となっている。



「私が列に並んでおきましょう。

 ユミル様、レイフォード様とテオをお願いいたします」

「承知いたしました」



 セレナが列に並び、他の四人は人口密度の小さな場所へと避ける。


 『劇団パンタシア』は王国最大級の劇団だ。

 演技力もさることながら、小道具や演習までも洗練されている。

 劇を見るためだけに、西部から何十時間も掛けて来る人もいるくらいだった。


 レイフォードたちの席は最前列正面。

 劇場において、一番良い席である。

 その知識に疎いレイフォードは、後にセレナから聞いて随分驚いたものだ。


 これだけの人数が劇場にはいるのだろうか。

 そう思って、人気の多い方を向く。



「そっちは人がいっぱい居るから見ちゃ駄目だよ、レイ」

「その通りだよ、レイくん」



 背後から小さな手に目を覆われる。

 ユフィリアだ。

 テオドールもユフィリアの言葉に同意し、レイフォードの味方はいない。


 先日、レイフォードがユフィリアの屋敷に訪れた時、テオドールも共に連れて行った。

 初めは険悪と言えるほどいがみ合っていた二人だが、レイフォードを一時退席させて二人で話し合った後は、何故か驚くほどに仲が良くなっていた。

 にっこり笑って、手を固く握り合う姿は目新しい。


 彼らの忠告に従い、大人しく人の少ない方を向く。

 正直なところ、レイフォードは人の魂を見ることが好きだった。

 人によって異なる魂は、いくら見ても飽きない。

 人のごった返した場所は、レイフォードにとって博物館のようであったのだ。


 しかし、依然情報過多により不調になってしまうことは間違いなかった。

 見たい、だが見れない。

 思い通りに行かない世の中だ、と天井を見上げる。

 そこには術式が張り巡らされていた。


 この国では、建築の際に精霊術による加工を施す。

 これによって、ただ建てるより耐久力が大幅に上がるのだ。


 基本、術式は形式立てられており、簡潔に組み上げられるようになっているのだが、この劇場に掛けられている術式は少し違う。

 もっと複雑に、いくつかの術式を混合させているように思える。


 確かにこの組み方ならば源素の消費を抑えられるのだろうが、何分綱渡り過ぎた。

 一歩間違えれば術式全体が成り立たなくなる。

 それを可能にするのが職人技、というのだろうか。


 この劇場ほど大きな建物ならば、源素の消費は果てしないものになる。

 かつかつな源素を少しでも浮かせるための工夫なのだ。


 劇場でも使われるほどならば、王城はもっと複雑になっている可能性がある。

 一度、目にしてみたい。

 何度か王都に行く機会はあっても、王城は入ったことがなかった。


 レイフォードがそう考えている内に、セレナが受付を終え帰って来た。

 手には千切られた券の一部を五枚分持っている。



「席番号、連番でした」



 一人ずつ席番号の書かれた紙を受け取る。

 レイフォードの席はユフィリアとテオドールに挟まれるところだった。

 横一列で並べるのは、偶然の幸運だ。


 上映時間も迫りつつある中、五人は席に着く。

 最前列というのは舞台が一番良く見える位置であり、即ち劇の気迫を最も強く受ける位置だ。

 まだ幕が降りたままだというのに、雰囲気に呑まれてしまう。


 劇が始まれば、どうなるのだろう。

 レイフォードの心は躍っていた。


 開演の合図が鳴る。

 鼓膜を震わす音が劇場に響いた。

 平坦な声による演目名告知タイトルコール

 からりからりと歯車が回って、赤い緞帳が上がっていく。


 ────永遠の生命。






 あるところにひとりの精霊がいました。

 精霊は美しいものに目がなく、世界中から集めていました。


 特に、生命の輝きを放つものを好んでいました。


 しかし、ある悩みがあったのです。



「ああ、どうしてきみは消えてしまうのだろう」



 精霊が愛するものは、どうしても消えてしまいます。

 花も、動物も、人も。

 ほろりほろりと朽ち果てて、風に吹かれて散っていく。


 それは当然でした。

 生命あるものは、決して永遠には生きられないのです。


 どれだけ愛を与えても、壊れたものは元には戻らない。

 朽ちていくのを止められない。

 精霊は、永遠の美を手に入れることができなかったのです。


 ある日、精霊は友の精霊に相談しました。



「わたしは、ずっと美しいままのものが欲しいというのに、彼らはそれに応えてくれない。

 全く哀しいことだ」

「それが、定命のものの運命さだめなのさ」

「しかし、わたしは永遠が欲しいのだよ」



 精霊は空へと手を伸ばしました。



「この蒼い空も、わたしが立っている地も。

 彼方に広がる海も永遠だというのに、どうしてそこに生きるものは永遠でないのだね」



 不条理でないだろうか。

 そう付け足して、精霊は伸ばした手を握り締めます。



「君はあるじの意思に逆らうとでも言うのかい?」

「いいや、逆らうつもりはないよ。

 わたしは神を敬愛しているさ。

 神は美しいからね」



 精霊の、創造主たる神への忠誠心は本物でした。

 この世界の法則を、決まりを受け入れているのです。


 それでも、精霊は嘆かずにはいられませんでした。

 どれだけ美しいものを見つけたって、いずれは消えてしまうのですから。



「どこかに永遠に美しい生命ものはないのだろうか」



 ぽろりと呟いた精霊の言葉に、友ははっと何かを思い付いたのです。



「ならば、人の世に紛れてみてはどうかな?

 彼らは時に、突飛な考えで我らを驚かせる」

「人の世に?

 ……いや、でもいいかもしれない。

 定命の視点からしか得られない景色もあるだろう」



 そうして、精霊は人の世に紛れることにしました。

 ある時は元気な子どもとして、ある時は優しい青年として、ある時は厳格な翁として、長い時を過ごしました。

 

 松の花が再び咲くような月日が過ぎ、精霊はまた新たな姿となりました。


 しかし、何度も何度も繰り返しても。

 精霊は永遠の美を、生命を見つけることができませんでした。


 もうこれで終わりにしよう。

 精霊は、その年を最後の一年とすることにしました。


 春が過ぎ、夏が過ぎ、秋が過ぎ、そして冬の終わりが近付いて来ます。

 雪が解け、花々が顔を出し、動物たちが目覚め、人々が賑やかになる春。

 一年で最も生命が輝く春は、明日へと迫っていたのです。



「明日の夜までに見つけられなければ、わたしはこれから先、『永遠の生命』を見つけることなどできないのだろう」



 精霊は夜空に手を伸ばします。

 天には爛々と星月が煌めいていました。

 まるで、精霊を励ますように。


 月が沈み、太陽が顔を出し、朝がやって来ます。

 精霊が、人として生きる最後の日でした。


 今日も今日とて町を歩みます。

 降り積もる雪も、凍える風も、曇天の空も。

 もうどこにもありません。

 青々とした緑と、暖かな風と、晴天が人々を包み込んでいました。


 笑い声が聞こえます、話し声が聞こえます、生命の声が聞こえます。

 精霊は不思議と笑顔になりました。

 見つからなくて哀しいはずなのに、彼らの声を聞いていると笑顔になってしまうのです。


 本日は春を迎える日、春を喜ぶ日。

 あちらこちらで祭りが催され、どこも賑やかでありました。


 精霊はふと、ある店の前で立ち止まります。

 売られていたのは作り物の花、造花でした。

 ただの造花でなく、針金や宝石を用いて作られたものでしたが、とても精巧な出来でした。



「やあ、お嬢さん。これ一つくださいな」

「あらあら、本当?

 あなたが初めてのお客さんなの。とても嬉しいわ!」



 店番の少女は代金を受け取り、精霊に商品を選ばせます。



「全て渾身の出来よ!

 なんたってこの私が丹精込めて作ったものなんですから」

「これを全て? 凄いな、君は。

 今まで見たことがないよ」



 少女は精霊の言葉に飛び跳ねるように喜びます。

 しかし、哀しそうに目を伏せました。



「……どれだけ頑張って作った品だとしても、売れなければ意味がないわ。

 今日これを売り切らなければ、私はこれを作れなくなってしまうの」

「……それは何故だい?」



 精霊は疑問に思いました。

 どうしてこれだけ美しいものを作れるというのに、それを作らなくなってしまうのだろうと。



「お父さんやお母さんを、手伝わなければいけないの! 『そんな金にも成らないものを作るくらいなら、お店を手伝いなさい』って言われちゃった」



 精霊は悩みます。

 少女が作り出す花々は美しく、この技術が失われるのは不本意でした。


 しかし、全てを買い取れるだけのお金は持っていません。


 ぐるぐる悩み続け、とある解決策が浮かび上がりました。



「────わたしに、きみの花を売る手伝いをさせてくれないか?」



 周りには沢山の人々がいるのです。

 彼らが一人一つでも買ってくれれば、目標を達成するのは容易でした。


 精霊は長く人の世に紛れていた経験を活かし、造花を宣伝しました。

 商人をやっていたこともある精霊にとって、売り出すことは朝飯前だったのです。


 一本、また一本と花は売れていきます。

 少女の前で孤独な花畑と化していた花々は、本物の花のように生き生きとしながら買い取られていきました。


 そして、最後の一本が買い取られ、あんなにあった花々はあまりなく売り切れてしまったのです。



「あなた、凄いのね!

 今までこんなに売れたことなんて、他のお店でもないわ!」

「きみの技術ちからが素敵だったからだよ。

 陽の目を見なかっただけで、素晴らしいものだったんだ。

 わたしは覆いを退けて、光を当てただけさ」

「それでもあなたのお陰なのは変わらないわ!」



 夕暮れが差し込み、茜色に染まる道で少女は精霊に訊きました。



「素敵なあなた、どうか名前を教えてくださる?」



 ────ローザ、わたしの名はローザ



「……ええ、いい名前ね。ぴったりだわ。

 私は美をユフィ織るものセテス

 どう、私もぴったりでしょう?」



 少女はそう言って、にこりと微笑みました。

 夜の帳も降り始めた世界で、少女の笑顔は太陽のようだったのです。



「……最後に一つきみに訊きたいことがある」

「何でもどうぞ」



 ────永遠の生命とは、あるのだろうか。


 ローザはついぞ見つからなかったそれについて、ユフィセテスに問い掛けました。

 悩む素振りを見せず、ユフィセテスははっきりと答えを出します。



「そんなものは無いわ。

 生命ある限り、永遠なんてあり得ないんだもの」



 落ち込むローザ。

 でも、とユフィセテスは言葉を繋ぎます。



「生命は永遠に続くわ。

 途切れることなく受け継がれて、世界が終わるときまで生き続けるの」



 右手を空に掲げ、ユフィセテスは叫びました。



「永遠の生命はない! けれど、生命は永遠なの!」



 星と空が見守り、地と海が育てた生命。

 生は死に、死は生に。

 途切れることなく廻り続ける円環。



「わたしは永遠になんて成れない。

 皆も永遠に成れない。

 だって、生きているんだもの。

 でも、過去から未来まで一つに結んだ人類わたしたちは永遠よ」



 ────ねえ、ローザ。あなたが欲しい答えだったかしら。



「ああ、そうだ。そうなんだ。

 それこそがわたしの追い求めた『美』、『永遠の生命』」



 百年の旅路、最後にやっと答えが見つかりました。



「ありがとう、ユフィセテス」

「礼には及ばないわ」



 宵闇の中、二人は別れていきます。

 ローザが人でいられる最後の日。

 その日に、『永遠の生命』を得ることができたのです。


 それから幾つもの年月が流れました。

 何度も春が過ぎ、夏が過ぎ、秋が過ぎ、冬が過ぎました。


 それでも、人は生き続けます。

 『永遠の生命』は生き続けます。


 誰も彼も忘れてしまったとしても、精霊は今も美しいものを見守っているのです。






 そうして、緞帳が降りる。

 夢中で見続けていたレイフォードは、舞台が隠されたことでやっと現実に引き戻された。

 技量の高い演者というのは、観客を演劇の世界に引き摺り込むことができるらしい。


 思わず溜息を吐いた。

 演技も、演出も、全てが素晴らしいものだったのだ。

 臨場感に溢れ、美しさに呼吸が止まってしまうほどだった。


 拍手喝采の中、役者や裏方が次々と壇に上がる。

 各々手を振ったり、お辞儀をしたりする。

 その一挙手一投足でも歓声が上がるものなのだから、流石国内最大の劇団である。


 その中に、見覚えのある顔がいた。

 ローザの両親だ。

 上演中は夢中になっていたため、レイフォードは分からなかったが、彼らも演者として参加していたようだ。


 やがて、舞台挨拶カーテンコールも終わり、観客は席を立ち始めた。

 係員の誘導に従い、劇場の外に出る。

 昼頃から始まったため、日は既に傾いていた。

 

 まだ夢見心地という雰囲気で、興奮収まらぬ口調のままユフィリアが話し掛ける。



「凄い面白かったね! あんなに綺麗な劇、初めて見た」

「うん、僕も夢中になっちゃった。テオはどうだった?」



 レイフォードは左にいるテオドールに感想を求める。


 しかし、彼はある一か所を見つめるばかりで、レイフォードの質問に答えない。


 不審に思ったレイフォードとユフィリアがテオドールの視線の先を辿ると、そこには灰青色の髪の少女が像の台座に隠れながらじっとこちらを見つめていた。



「……ローザちゃん、だね」

「……どうしたんだろう」



 レイフォードたちがローザの存在に気付いたことを察したようで、彼女は駆け寄ってくる。



「また会えたね! テオくん、レイフォードちゃん!」



 『レイフォードちゃん』という言葉が聞こえた瞬間、ユフィリアが物凄い速度でレイフォードに詰め寄る。

 そして、ローザに聞こえないような距離で耳打ちした。



「どういうこと?」

「……女の子、だと思ってるみたいで」

「訂正しないの?」

「面倒くさいなあ……って、ごめんなさい」



 実際、誤解を解くときは結構な時間が掛かる。

 男だと言っても、信じてもらえないときだってある。

 勘違いされていても問題がないのならば、訂正しなくても良い。

 そう胡座をかいていたのだ。



「ねえ。レイフォードちゃん、どうしたの」

「何でもないよ。ちょっと叱られてるだけだから」



 不思議だ、という顔をして問うローザをテオドールは窘める。

 彼の背後ではレイフォードがユフィリアに額を指で弾かれていたデコピンされていた



「今日会いに来たのは……これ、渡したくて」



 少女が肩に掛けた鞄から取り出したのは、針金と精霊石でできた手作りの指輪だった。



「助けてくれた時、お父さんとお母さんはお礼渡したけど、わたしは渡してなかったから……。

 でも、一個しか作れなくて」



 ローザの手にできた傷をテオドールは見逃さなかった。

 一生懸命作ったことが伝わってきたのだ。



「それ、テオが付けて。テオが一番頑張ってたから」

「……レイくん、いいの? 二つの意味で」

「いいのいいの。セレナは?」

「ええ、レイフォード様に同意します。テオがお付けください」



 後ろからユフィリアの圧を受けながらも、レイフォードはテオドールが受け取ることの許可を出す。

 レイフォードもセレナも許可を出せば、断る理由などなかった。



「ローザ、それ俺が貰っていいかな」

「……うん、もちろん!」



 小さな精霊石を嵌め込まれた銀の指輪を、テオドールは受け取る。

 大きさがぴったり合う指、左手の薬指・・・・・に付けた。



「……綺麗だね。ありがとう」

「どう、いたしまして」



 少し頬の紅潮したローザは、吃りながらもテオドールのお礼に応える。

 そして別れもおざなりに、逃げるように来た方向へと走り去ってしまった。


 手を振りながら、惚けてローザの走り去った方向を見つめるテオドール。

 薬指には、指輪が嵌まったままだった。






 劇場からの帰り道、レイフォードたち三人とユフィリアたち二人は別れるところに差し掛かろうとしていた。

 すっかり空は暗くなり、星々が輝き始めていた。



「劇の最後みたいだね」



 ユフィリアが呟いたように、空はあの劇の中で見た星空と同じくらい美しい。

 今日の空は満月で、いつにもなく夜道が明るかった。

 手を伸ばしたら届きそうなほど大きな月。


 だが、それが絶対に届かないことをレイフォードは知っている。



「……変なこと、聞くんだけど」



 レイフォードは、ユフィリアにしか聞こえないように一つ問いを投げ掛ける。



「そう、だなあ……」



 月を見上げながら、ユフィリアは答えを探す。

 どうして、レイフォードがそんなことを訊くのか検討は付かないが、大切なことであるのだろうとは何となく解った。

 その上で、心からの答えを出す。



「そっか……ユフィらしいね」



 レイフォードはユフィリアに微笑む。

 そこにはどこか諦めたような、哀しむような、そうな感情が滲んでいた。


 それは、ほんの一瞬だった。

 気のせいだったのだろうか。


 そこからは、他愛もない会話をする。

 最近寒くなってきたとか、この前食べた夕食が美味しかったとか、次会えるのはいつになるのか、とか。

 話しているうちに、別れの時は来てしまった。


 手を振り合って、三人と二人は別れる。

 街頭に照らされた道は、あの日と違ってまだ騒がしい。

 別の町であるのだから、比較にはならないかもしれないが。


 クロッサスに帰る頃には、完全な夜になっているだろう。

 そんなことを考えながら馬車に乗り込む。

 秋の風は少し冷たかった。





 

 喩え、君が忘れたくないと、憶えていたいとしても。

 哀しむ未来があるならば────何を犠牲にしても、君が笑っていられる世界にしてみせる。


 少年は、月にそう誓ったのであった。

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