ESH 燈火
ロールクライ
終焉が嘆くその日まで
とあるカフェにて若い男が二人いた。
そこは静かで昔のようおなレトロな雰囲気を醸し出していた。
静寂の空気を破ったのは千夜という男だった。
「・・・なんでこんなところに呼んだんだ?しかも、わざわざ予約席まで用意して。」
それに答えるように竜玖という男が反応する。
「機械を使っての通話は話を盗聴されている気がしてね。」
千夜は内心少し驚いていた。なにせこの竜玖という男は常にテンションが高い男というイメージがあったからだ。別に所かまわずはしゃぐデリカシーのないやつというわけではない。だが、普段の日常においてはそのほとんどがテンションが高かったためそのイメージがついていた。
「また、アニメとかにはまったのか?」
「正解!よくわかってんじゃん!」
千夜がそう聞けば竜玖の素の状態に戻ったようだった。
「それでなんで呼んだんだ?その様子じゃアニメや漫画を勧めるとかそういうのじゃなさそうだけど。」
竜玖は一見テンションが高めでも案外その中にある感情は複雑だ。
千夜は長い付き合いだからわかるものの知らない人だとただただテンションが高い人というイメージになるだろう。実際長い付き合いの千夜でもそうなのだから。
「・・・
この世界をパラレルワールドだという人もいれば、未来の世界だという人もいる。
さらにいえば名称もどこの誰がつけたのかが謎なのだ。
まるで最初からあったようにみながそう言っていた。
ホープそれは希望だ。希望の世界なのか?
だがそこには化け物どもがうろついておりそう簡単に出入りできるものじゃない。
「興味はあるけど・・・どうやっていくんだ?軍にでも入る気か?それなら断らせてもらうが。」
「待った待った!もう少し話を聞いてくれ!」
竜玖は立ち上がる千夜をとどまらせるように言う。
「なんだ?国の関係者以外であそこに入れる手段でも?」
「その通りさ。これには狐々露だって賛同してくれている。」
狐々露・・・それはもう一人の親友だ。
千夜と狐々露そして竜玖の三人でよく遊びよく学んだ。
「まだ、国に見つかってないゲートを見つけたんだ。」
それに対して千夜は少し笑顔になっていた。
「立派な犯罪だな。」
「今更だろ?!この国にいる時点でそんないい奴は少ねぇよ。」
そう今千夜たちが暮らしている国ラフは治安がいい国とはいえない。
そもそもゲートを管理するのは国だけのはずだが犯罪組織なんかはそのほとんどが一つのゲートは所持している。
「立派な犯罪だけど、立派な利益のある話だ!そして何より面白そうだろ!」
「利益はともかく面白そうでいくところじゃないと思うんだけど・・・。」
おそらくは竜玖なりに考えたのだろう。
竜玖にも狐々露に将来の活路はあっただろうにわざわざ千夜とともに犯罪仲間になるなどと。
千夜は将来の夢がない。
現在は適当にためたお金を使って一人で暮らしている。
趣味、特技さえあれど経歴はあまりよくはない。
だが、趣味のおかげでなんとか生きながらえているということだ。
そしてその趣味は兵器開発。正確には機械開発だ。
親の関係もあり機械に関わることが多かった千夜はその作り方を知っていた。
オリジナルのものも複数作り闇市で売る。
そんな生活だった。
もちろん、単純な日常用途の機械はともかく兵器を売るなど立派な犯罪だ。
「いいよ竜玖。君の提案に乗る。でも三人だけ?少し少ない気もするけど。」
「今のところはな。もしかしたら増えるかもしれないけど今はこれでいいだろ?」
千夜は自分が楽しい道を行きたいとそう考えていたからこの竜玖の提案にはすごく興味をもった。
「そもそもゲートに入れるやつは限られてるしな。俺の知っているかぎりじゃ千夜と狐々露しか思い浮かばなかった。」
そう崩壊世界には選ばれた人しか行けない。
未知の毒があるのかわからないがその世界に行ける人を適応体質という。
適応体質の人間は他の人より身体能力が高かったり五感が優れていたりするのだ。
千夜と竜玖と狐々露はその適応体質者であり全員が崩壊世界にいける人間であった。
「じゃあ、いくか!」
「いくってどこに?まさか崩壊世界じゃないだろうな?せめて準備がいるぞ。」
「安心してくれ。俺の家だよ。」
竜玖はそう言った。
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千夜は竜玖の家に来ていた。
そこには動物の耳が生えた人が一人おりその耳は狐のような動物に近い。
「狐々露!実際に会うのは久しぶりだな。」
千夜は狐の耳をもつ人にそう話しかけた。
「久しぶり。千夜。」
ちなみに狐々露は狐の獣人だ。竜玖も純人ではなく竜人だ。
つまりはこの三人の中で純人は千夜だけになる。
付け足しておくと差別などはない。
昔は人至上主義みたいなのがあったらしいが今では非常に仲がよくなっている。
補足すると狐々露は名前から勘違いする人が多いのだが男である。
男三人の親友関係というやつだ。
「じゃあ、準備しますか!」
竜玖がそう言った。
「いつ出発だ?できれば家にとりに帰りたいものがあるんだけど。」
千夜は竜玖に対してそう言った。
「出発は明日の早朝だ。それでいいよな?狐々露。千夜。」
「「わかった。」」
二人の声がたまたまハモリ笑いを作り出す。
「じゃあ、準備開始!」
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「・・・ここは?」
千夜は見知らぬ世界に来ていた。
そこは真っ黒な世界だった。真っ黒とはいえ暗闇というわけはない。
あくまで黒い部屋にいるようなものだった。
千夜が前を向くとそこには少女がいた。
身長が150そこらの少女だった。
少女の服は千夜の世界の化学繊維でできた服とは少し異なり数十年前どころか数百年ほど前によく使用されていたの黒い布の服のようだった。
その黒い少女はこちらを見ると同時に近づいてくる。
だが千夜は動かなかった。否、動けなかった。
まるで金縛りを受けたようなそんな感覚だった。
少女らしき人物は千夜に近づいて口を開く。
【まだ・・・足りない。■■が始まる。全てが終わるその日まで私はあなたを導く。】
この少女はまるで全てを見透かしているようなそんな目をしていた。
次にまばたきをした瞬間に部屋が変わった。
そこはベッドの上で先ほどの空間は夢のようだった。
「あれ?・・・どんな夢を見たんだっけ?」
夢のことについて頭の中で考えようとしても何も浮かばない。
思い浮かぶのは夢を見たという漠然として何かだけだった。
「まあ、すぐに忘れるってことはそこまで重要じゅないってことだよな。」
千夜はそう決定付け、竜玖と狐々露の元へと向かった。
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