第2話 防衛ーはじまり2

翌日。今日は2月初旬の火曜日。

掃除アルバイトが無いので、鍛錬を行う。

まずはランニングからだ。

昨日確認しておいた地図データでランニングルートを時計端末に共有し、ルート案内に従ってランニングをすることにした。下見も出来るので一石二鳥だろう。

ランニングシューズに履き替えタオルを首に巻き外に出る。まだ太陽が出ていなく薄暗い。目を凝らすと、早晩の隊員達が街内を巡回しているのが見える。


緑獣リョクジュウが出現してから150年経つ今、砦の外は森林が広がっており、コンクリートジャングルと呼ばれていた一世紀前の光景はなく遺跡と化して青々としている。時折戦闘音が聞こえていたりと、砦の外は危険区域となる。

だが砦の中にも稀に緑獣が生まれたりする事もあり警戒する必要があるのだ。




「よし、まずは10キロだ。」

ストレッチを終えた梅は深呼吸をスゥっと一回行い、走り出した。


次を右折して下さい。とルート案内指示が出る。


梅は従い、右折し周囲地図を頭に入れながら進んでいく。まだ朝の5時、空いている店はコンビニぐらいだ。だがその静けさが贅沢で心地いい。


どんどん進んでいく。


すると徐々に見えてきた。遠くに見えていた巨大な建物、近づくにつれ大きくなり威圧感すら感じる。しばらく進むと入り口、大きな門が目の前に。


「ふぅ…ここが日本最大防衛機関、富士防衛基地…か。流石にでかいな。」


深呼吸を何回か行い、梅は握っていた拳に更に力を込めた。


「まずはお金持ち!そして夢の食べ歩き!」


ガッツポーズを門の前でかまし、来た道とは違うもう一本大通りへと体を向け颯爽と走って行った。






そんな梅を上から覗く影が一つ


「ん?なんだ?子供か。まだ薄暗いっちゅうのに見物か、仮入隊希望の子が昨日来て、興奮抑えられなく朝一で来てみたって所だろうな…なんかガッツポーズしてるし。…いいねぇ。ってあれ、うちのヒヨッ子も、そろそろ歳なんじゃないか?ん?」


そう言い、大男は頭をかきながら、大きな銃を担ぎ基地の中へと消えて行った。




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