18 空にそびえる鉄(くろがね)の城
MP 200/200
これでようやく――忘れられた遺跡――に挑戦できる準備はできた。しばらくは勉強すると言って家で引き籠るふりをしながら遺跡に挑戦する形にできる!
「母さん、ボク……古代語の本を勉強したいんだ」
「そう、母さん少ししか読めないわ。うちにいい本があればねぇ……」
「母さん、ボク実はハンイバルさんから本を借りているんだ」
「あら、いつの間に。ハンイバルさん元気だった?」
「うん、でも母さんがハンイバルさんと知り合いだったって知らなかったよ」
「ずっと昔の話よ……あの人とハンイバルさんは同じ部隊にいて、母さんは魔法使いとして一緒に活躍したのよ。懐かしいわね」
やはり母さんは凄腕の魔法使いだったんだ。私はさっきの会話でそれを確信した。
「それで、部屋で勉強するから……集中したいから鍵を開けないでね」
「……わかったわ、ルーフにはお兄ちゃん大変だからお友達と外で遊ぶように言っておくから。根詰めすぎちゃダメよ」
これだけ理解が早いとやはり何か感づかれているようなのはもうバレバレである。それでも母さんは協力してくれるようだ、これはできるだけ早く遺跡を攻略できるようにしなくては!
その次の日から私の遺跡攻略が始まった。まず朝、家で朝食を食べてから部屋に入り鍵を閉める。
「家の床をワープ床にチェンジ!」
そして私は忘れられた遺跡に戻ってきた。遺跡の中は初めて来た時と何も変わっていない。やはりここには誰も来ていないようだ。私は遺跡の剣を構え、入口のホールからドアを開けた。遺跡の中はシーンと静まり返っている。モンスターコアが破壊された事でここにはもうモンスターは存在しないのだ、辺りは静寂に包まれている。
私はハンイバルさん達にもらった遺跡の見取り図を元に遺跡の奥に向かった。×印が付いているのはモンスターがいたであろう部屋のようだ、広めのホールや通路には焼け焦げた壁や地面に残ったすす、壁に入った爪痕や斬撃の痕、弓のめり込んだ穴や血痕の痕等があちこちに見られた。かなり激しい戦闘だったのだろう……。
そのおかげで私は一切戦闘をせずに遺跡の外環を進んだ。大きなホールが四か所にあったがどれも戦闘の痕だけが残り、ボロボロの壁や通路がどこまでも続いていた。そこを抜けるといくつものワープ床のあるフロアに出てきた。これがどうやら入口に強制的にワープさせる罠の床のようである。しかしワープ床の移動順は見取り図に書かれていた。
異世界の言葉だが、これをあえてアルファベットにすると
A→C C→F F→G G→J J→K K→N N→Q Q→T T→W W→Y Y→Z
となっていた。これ以外の床を踏むと即入口へ強制送還されるってわけだ。見取り図がなければ私も何度同じ道を迷い続けただろうか、私はハンイバルさん達に改めて感謝した。
ワープ床の次に出てきたのは即死級トラップのオンパレードである。槍衾、落とし穴、重みで落ちる天井、電撃床、猛毒ガススイッチ、釣り天井、水牢、ウォータースライダー、弾き間違えると床が抜けるオルガン、どれもが一つ間違えただけで即死確定のトラップばかりだった。ここで私は片目を隠して当たり判定を確認してみた。
0000000000000000
最初からの通り道がない、つまりは床を普通のものにしてしまえばこれらの罠は全て無効化できるわけである! ここで私の能力が本領発揮できる事になるのだ!!
「槍衾を普通の床にチェンジ!」
「電撃床を普通の床にチェンジ!」
普通の床へのチェンジはやはり消費MPが10だった。しかしその範囲は1メートル四方、これは一日5メートルしか作れないという事になる。私は何日もかけて地道なマップメイクを繰り返し、二週間後ついに私は遺跡の最深部に到達する事ができた。水を湛えた泉はあるがモンスターは存在しない。そう、これで遺跡の最深部の秘宝を手に入れたらこれでミッションコンプリートなのである!
だが、世の中そうは甘くはなかった。遺跡の最深部で私は奥の階段にクリスタルの中に眠る美少女を見た。その近くに寄ろうとした時……遺跡最深部の泉が真っ二つに割れ、中から鉄で出来た巨大な魔神が姿を現したのである!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます