第2話

 おかしい。学園がはじまって3ヶ月も経つというのに。

 殿下とヒロイン、リアさんとの好感度があがっていない。

 

 そろそろ、2人で一緒に過ごす姿を見てもいいのに。

 殿下は私ばかりかまうし、リアさんはお近付きになろうと近寄ってはくるけど、殿下にスルーされている。


(ゲームの通りなら、ひと目見たとき2人は恋に落ちるんじゃないの?)

 

 この前なんて。


「きゃっ、転んじゃった」


 リアさんは殿下のそばで転んだのだけど。殿下はヒラリと避けて、彼の側近がリアさんを助けていた。またある日、リアさんは尚も奮闘するも、殿下の近衛騎士によって遮られた。


 なんど挑むも、リアさんは上手くいかず。

 いい加減、頭にきたのか。


「またアンタ達なの? あたしはフォックス様に用があるの、邪魔しないで!」


 いくら、リアさんが声を荒げても彼らは冷静に。

 

「リア嬢には何度も申し上げております。フォックス殿下にご用があるのでしたら、事前に申し出てください」

 

「フォックス殿下には婚約者以外、誰一人、近付かせるわけにはいきません」


 殿下はグレイスの第一王子、怪我をさせるわけにはいけない。……わかるけど、彼らも攻略対象なんだけど。

 


 ❀



 まあ、そんな日々が続きましたが、ついに来ました。

 リアさんと、フォックス殿下のイベントの日が。


 そのイベント内容はといいますと。学園のテラスで私とフォックス殿下がお茶をしているところに、リアさんが授業の内容がわからないとやってくる。


「何故あなたが?」


 嫌がるラビットを無視して、フォックス殿下はリアさんをお茶に誘い、2人で横並びに座りノートを見ながら教えはじめる。そこに運ばれてくる苺のケーキを殿下は、リアさんに食べさせるのだ。


(フォックス殿下は幸せそうで。リアさんは可愛くて、私の好きなイベント)


 そんな場面を見せられたラビットは、怒りをあらわにして立ち去ってしまう。

 

(悪役令嬢のラビットは可愛いそうだけど。噛ませ役の悪役令嬢だから……仕方がない)

 

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