うたかたのビッグドラゴン
はくすや
1
鮎沢家の正月は
祖母が家を出たのを機にしばらく封印されていたが孫の
ただ、生真面目な
その家族麻雀が今年は新たな局面を迎えていた。きっかけは昨年五月
「お前、泥沼にはまる覚悟があるのかよ」
「
またかと
楓胡は祖父
学園の連中が知ったら天地が引っくり返るくらい驚くだろう。現生徒会長が祖父の家で家族麻雀に打ち込んでいる。誰も想像できないに違いない。一部知っている者もいるがそいつらも火花は取り込んでしまっていた。
今夜の麻雀も祖父晴明が寝床につき、叔父歳也が酔いつぶれ、叔母玲子が介抱に呆れてしまうと火花たち四人の勝負になった。
雷人と飛鳥も寝てしまっている。
「ただじゃ面白くねえから今月の晩飯当番を賭けねえか」
この四人で何度も卓を囲んでいる。それぞれの性格も把握済みだ。何か賭ければ
しかし、甘かった。
何だ、こいつら上手くなってねえか。
ただでさえこの三姉妹は優秀な上に性格が特徴的だ。
優等生の
そうして、気づいたら
このままでは晩飯当番が月十六回も回ってくる。これは悪夢だ。
何とか最後に挽回して三位には上がらなければならない。三位には楓胡がいたが、いかに火花に甘い楓胡でも自分が最下位になって夕食当番を半分以上受けるなどあり得ないだろう。
「もう最後なの? つまんない」楓胡が可愛い子ぶって言う。
「親の俺が勝ち続ければずっと楽しめるぞ」
「あら、そうね」
「手加減したらダメよ、楓胡」泉月が強い口調で言う。
「こいつが勝ち続けたらあんたが最下位に落ちるんだよ」桂羅も声を上げていた。
「そう言うお前が勝ちたいんだろう」火花は桂羅に向かって悪態をついた。
現時点で桂羅がトータルで一位。二位泉月とは三千くらいの差だ。三翻3900で逆転可能だった。
そして北家火花が親のオーラスが始まった。
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