14

夕方




先輩から渡された契約書、そこに社判と認印を押印し1部を返信用封筒で返送するだけでいいと言われたけれど・・・。




私は認印をなかなか押印出来ずにいた。




何分経っても押印出来なくて、契約書を見下ろし長い時間固まっていた。




そしたら・・・




「国光ちゃん、固まってどうしたの?」




ペットボトルのコーラを飲みながら元気さんが声を掛けてくれた。




「これをココに押印しようとしているんですけど。」




「うん、会社の印鑑押したことない?

たいした契約書じゃないと思うしパパっと押しちゃえば大丈夫だよ。

曲がっても大丈夫だし、認印が欠けた状態になったらすぐ横にもう1つ押印しておけば?

もしもダメだったら後で向こうから連絡くるでしょ。

パパっと押せばいいよ、パパっと。」




そう言われたけれど、私は押印出来ずにいて。

働いていて私にはこういうことがたまに起きる。

だから職場で私の扱いに困らせてしまい、派遣やバイトで職場を転々としていた。




「でも・・・なんとなく押せなくて。

代わりに押してくれませんか?」




私が元気さんに契約書を渡すと、元気さんは少し考えた顔をしていたけれどすぐに受け取ってくれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る