第3章 王都攻略大作戦
第24話 グロリア様、出陣
夏休みもそろそろ終わり、ぼつぼつ王都に帰らなければならない。ここでグロリア様ともお別れ、と思いきや、
「
と、結局また帯同することとなった。秋は社交シーズン、辺境伯も年に一度は上京しなければならない。いつもは
一応大名行列には、通り道の領地の様子を視察することと、街道沿いの街々にお金を落とす意味合いもある。今回は行列は夫一人に任せ、「妾は先に王都で待っておりますゆえ」と言い放った。もちろん辺境伯の答えは、「はい」か「イエス」である。
今回も、途中まで辺境伯家の馬車で送ってもらい、そこからゴーレム馬車に
気が重い。非常に気が重い。
なぜかというと、近々王宮主催の舞踏会に参加する羽目になったからだ。グロリア様のご命令…もとい、ご提案なので、断るわけには行かない。
話は属性ダンジョンの攻略まで
午前と午後は迷宮攻略(という名の一方的ジェノサイド)、夜は砦でまったりタイム。何度も言うが、さながら修学旅行のようであった。かつて私たちと同じく学園に通っていたとはいえ、グロリア様は筆頭侯爵の令嬢、寄り子の太鼓持ちはいても、ご学友というものは居なかったらしい。いち早くタメ口を聞くようになったブリジットを
自分の
彼女の話をまとめるとこうである。
筆頭侯爵家の長女として生を受けた彼女。長らく彼女以外の子に恵まれず、かといって夫婦仲は良いので、貴族界の慣例である側室などは取らなかった。とりわけ母親が厳しい人で、このまま行けば
ところが学園入学とほぼ同時に、歳の離れた弟が生まれる。彼女の縁談は、
不幸なことに、産後の
あれだけ母を溺愛していた父が、母を亡くした悲しみからか、未亡人に入れ込むようになり、やがて未亡人は後妻の座に収まった。義母には連れ子がおり、なんと彼女と同い年。微妙に誕生日が後になるので、期せずして義妹ができることとなる。何を思ったか、父は義妹を正式に養女に据え、中途入学という形で学園に送り込んできた。そして紆余曲折は省くが、その義妹があれよあれよという間に王太子の
次期女侯爵として厳しい教育を受けて、突出した才気と美貌を兼ね備えた彼女。しかし、男の庇護欲をかきたてるばかりの平凡な母娘がやってきて、全てを奪って行った。幸い、学生の頃から高嶺の花の彼女に憧れていた次期辺境伯ことダニエルが、これ幸いに猛烈なアタックを仕掛け、周囲からは熱烈に愛される花嫁として
「ごめんなさいねぇ?お
「なんか、あらゆるネット小説を
とは
で、この話がなぜ舞踏会へ繋がるのかというと、「全員で属性装備を着て出席して、義妹の度肝を抜いてやる」ということなのだそうだ。何それやめて。巻き込まないで。
「ほほほ、なぁに、一張羅で挨拶しに
あの後、盛大な結婚式を催し、大々的に王妃の座に収まった義妹。王妃としての資質を疑問視する声も少なくはなかったが、何しろ筆頭侯爵家の後ろ盾があり、最終的には王家が決めたことなので、誰も表立って異を唱えるものはいなかった。
義妹は、社交の時期には必ず招待状を送りつけてきた。半ば貴族の義務であり、全て無視するわけにはいかないので、何度かは渋々参加したものの、毎回何かと恥をかかせ、
「ならば行ってやろうではないか、
その一族郎党に、私をカウントしないで欲しい。まあ私やブリジットは寄り子の娘なので仕方ない部分はあるのだが、
なお、当の
「私、お城で舞踏会なんて、心細くて…」
とエリオット
「だ、大丈夫です。
へどもどしながら、エリオット氏が
かくして、既に魔王を倒して、物語が完全に終わったところで、乙女ゲーが始まっていたのであった。
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