君の隣で息を吸う

かんな

第1話

――学校はつまらない。みんなと同じ制服を着て、みんなと同じ授業を受けて。みんなと同じ意見に合わせる。自由を軸にしているくせに、その実自由は全然ないし。



だから私は学校が好きじゃない。だから私はぼっちだったし、友達もいなかった。否、いた時期も確かにあったけど、友達と呼べる人はもういない。だって私が拒絶したから。



だって意見を合わせてまで一緒にいるなんてただの〝仲良しごっこ〟でしかないじゃん? それにそんなことをしても、結局は私から離れていくんだから。どうせ離れるなら最初から一人でいいってそう思った。……そう、思っていたのに。



「あーんなー」



声が聞こえてくる。その声は私の唯一の親友だ。この親友の存在がいなかったら、きっと私は一人ぼっちのまま卒業していただろう。



「沙織。……何?」



清水沙織。それが彼女の名前だ。綺麗な黒髪ロングヘアーが特徴であり、顔立ちも整っている。身長は高くてスタイルも良い。完璧と言ってもいいほどに。



運動神経抜群で、誰とでも仲良くできるような人懐っこさがある。正に、人気者という言葉が似合う人だ。羨ましいくらいには。そして彼女はいつも私と一緒にいてくれる。私を孤独から救ってくれた大切な存在だ。



「お昼一緒に食べましょ」



笑顔で言う彼女に対して、私は特に断る理由もない為了承する。これがいつもの日常なのだ。彼女と過ごす時間はとても楽しい。それは間違いない。今日もまた、彼女が隣にいるというだけで、とても安心感を覚えていたのだけど……。



「ねぇ。杏奈。……私杏奈に言いたいことがあるの」



「…‥何?改まって……」



真剣そうな表情を浮かべながら言う彼女に、思わず息を飲む。一体何を言われるのか全く見当がつかない。



「……あのさー。実はね。私彼氏ができたんだよね」



沙織の言葉を聞いて私は思わず――。



「はぁ?!いつの間に?!」



大きな声で叫んでしまった。

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