第187話老夫婦、なんとか落ち着く

 父と私で夕食を食べていると、はっちーが起きてきて「ポンポコ君、なにか食べるものある?」と聞いてきた。おお、父がそばにいても、不機嫌にならない。これはいいことだ。

 はっちーを椅子に座らせると、コロッケだとか、ポテトサラダとか見せてみる。「ああ、これ食べたい」というので、さっそくコロッケをレンジでチン。

 はっちーの前にコロッケ置くと、ちゃんと「いただきます🍴🙏」と言った。おお、はっちー、まだ礼儀をわきまえているな。いいことだ。

 はっちー、ニコニコして、コロッケを食べる。コーンが入っているのだが、そのコーンを見ると、はっちー「ポンポコ君、これなんていうんだっけ?」と嬉しそうに聞く。「コーンだよ」というと、ああそうだ、といい、嬉しそう。なによりである。

 父とも仲直りしたらしく、はっちー、楽しそう。ああ、ほっとした。

 家族三人で「さざえさん」を見つつ、歓談。う~ん、やはり家族はいいもんだ。

 はっちー、コロッケとポテサラを食べると、次にフルーツゼリーを要求。ああ、買っといてよかった。

 ゼリーを食べ終わると、今度は最後のシメでヤクルトを飲む。うん、美味しそうに飲むなぁ。

 父、ちょっと遠慮して、はっちーに話しかけないが、まぁ、はっちーの機嫌がいいので、父も安心したようだ。

 久々の家族三人の夕食会、こうして今日は無事に終わろうとしている。ふぃ~、介護生活、次から次へと問題が出てくるが、それなりに、楽しいもんだなぁ。

 認知症とはいえ、母は母である。我が家の一家団欒、よき時間である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る