第120話はっちーと面会

 今日はぽかぽかだなぁ。花粉がすごい。へっくしゅ、といいながら、てくてく歩いて、ショートステイにいく。

 面会票をかいて、父と面会室にはいると、もう、はっちー(母)がいた。車イスに乗っていたので、あせって、「なんで、車イス乗ってるの?」と聞くと、付き添いの介護士さんが「ここまで遠かったので、載せてきただけなので、ご安心ください」と言ってくれたのでほっとする。

 いや~、一瞬あせった。

 はっちー、満面の笑顔で話す。「ここ、楽しいのよ~」、やっぱりお気に入りらしい。「今日は晴れていて外はきれいね」などと情緒あることをいう。はっちー、調子よさそうだ。

 父が「お母さん、もう帰りたいかい?」と聞いたら「う~ん、できれば帰りたくない」と言った。私は笑ってしまったが、父はかなりショックだったらしく、しばらく落ち込んでいた。

 そりゃ、父よ、いつも介護する時に怒鳴っていたら、誰だって嫌われるさ。自業自得だな。施設の職員さんの介護はプロなので、うまいのだろう。

 いい施設にお世話になって本当によかった。感謝、感謝です。

 帰り際、はっちーに手を振って「バイバイ、またね」というと、にっこりして手を振ってくれた。

 ご機嫌はっちー、あと5日で帰ってくる。帰ってきたら、また駄々をこねなければいいのだが。ちょっと心配は残るんだよなぁ。

 

 

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