神様が配信をする時代、底辺配信者は配信外で取れ高を連発している。バトル、ハーレム、現代ファンタジー。

三流木青二斎無一門

第1話


「今日も配信視聴者は3人程かぁ…」


肩を落として歩く男。

手に握り締めるナイフを手から落とす。

すると、ナイフは地面に衝突するよりも早く、粉々になって消えた。


「配信ってこんなに難しいのか…」


自分の技量が悪い事は承知だった。

それでも、此処まで人が自分を見ないなど思わなかった。

だから、男は自信を無くしている。


「はぁぁ…辛い」


後ろを見る。

この地帯では、多くの怪物が出現する。

禁忌域と指定された住宅街。

入る事が出来るのは、拝神者と認定された者だけだ。


「…今日は頑張って、百体討伐したのになぁ」


背後に詰まれる多くの死体。

それは、嘗て神と呼ばれた生物であった。

その神を、男は容易に殺し尽くしている。


男の名前は神守かみもりクロウ。

神と契約し、神を天上へと押し上げる為に配信を行う者である。



過去。

電子社会であった当時の世界。

空間が震撼すると共に、数多くの星が地上へと降り注いだ。

その星は光を纏い、地面に衝突すると共に消えていき、人の姿となった。


『私達は、神です』


天から零落した神たちは、現人神として人間性を得たのだ。

人の心の数によって、信仰心を得た神は誕生する。

それは八百万の神と称され、同族・同族性の神が存在した。

だが…神を複合する事無く、有象無象に増えた為に天は膨大な神に耐え切れず、処理を行った。

それが、天から地へ、神を落とすと言う行為である。

これにより、天には一種類の神しか存在しなくなった。


だが、落とされた神は、再び天へ昇る事を望んだ。

その為には、再び神としての神性を得なければならない。

神性は、人々の信仰心から生まれる。

より多くの人間に支持される事で、天に至るのだ。


故に、現人神たちは、この地上で効率良く信者を集める事にした。

過去とは違い、現代は電子社会。

一人の神が、電脳世界を作り替え、神の配信サイト『Yaoyorozuヤオヨロズ』を作成。

配信を行う神のチャンネルを登録すると、信仰心として加算される様になった。

そして現在。

多くの神が配神者として活動し、配信サイトの利用者数は20億人を突破している。


神守クロウは、神と契約した拝神者はいしんしゃだ。

彼の功績は全て、契約した神に直結するのだが。

彼の登録者数は、僅か7人程だった。

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