第4話 帝国の日嗣皇子
白地に黒の不死鳥が描かれた旗を掲げた陸上戦艦が、ラインゴルド城へ到着した。黒い不死鳥は、帝国近衛軍の紋章。白地は帝直轄の第1戦団を示す。
陸上戦艦下部の搭乗ハッチが開くと、そこから帝国近衛軍の軍服に身を包んだ女性士官と白い軍服の男性が降りてきた。
その二人を、
わたしとフレイヤ様は、6番機とカイザー隊のB級機体との模擬戦を中断し、ラインゴルド城へ入城した帝国の陸上戦艦の様子を伺っていた。
「あれが帝国の
白い軍服の背には、金で縁取りされた黒い不死鳥が描かれている。多分、あの男性に間違いないだろう。
ラインゴルドの領主様が、帝国の帝と旧友であるのは有名。その領主様が病床に伏しているので、帝の代理として皇太子が見舞いに来訪したことになってる。
しかしながら・・・死期を察した領主様が、フレイヤ様の嫁ぎ先として帝国に打診したらしい。
「父上もいらぬ心配をするものだ」
「で、どうなの?将来、帝国の
美形ではあるが、中性的と言うより女顔だな。髪も肩までのばしてる。身長があるから男性だと察するが、あれで背が低かったら女性としか思われないな。
「私の夫とするなら条件は二つだだな。一つは、私より強いこと」
よくあるネタだから無視。
「もう一つは?」
「
「あー、はいはい」
Cユニットでケラケラ笑う声が通信回線を介して聞こえる。多分、本気で言ってるな。
あの女顔の
「叔母上だ!」
声が響くと同時に、6番機の胸部装甲を開いてCユニットから飛び出て行った。
フレイヤ様に「伯母がいる」なんて話は聞いたことがない。
何時になく大はしゃぎで、走って行くフレイヤ様。ほとんど全力疾走してるぞ。
「叔母上!」
体当たりみたいな勢いで、フレイヤ様は
「あの方、誰なの?」
わたしはフレイヤ様が「叔母上」と呼ぶ女性士官を知らない。
「帝国近衛軍の有馬
え?帝国近衛軍のナンバー2じゃないか!
いや、そんな帝国の大物がフレイヤ様の「叔母上」なのか?
その辺りのことは
それなら、今6番機のSVを務めるわたしの大先輩だ。
「
ルカと言うのが、ラインゴルド傭兵機団の頃の
更に、フレイヤ様とフレイ様に、幼少期から剣と重甲機兵を指南したのも
兄のフレイ様は、病床にある領主様の代理として傭兵機団を取り仕切っている。ラインゴルドにとっては大恩人ではないか。
わたしとフレイヤ様は、城外に広がる演習場に置き去りにした6番機に戻る。
「あれ?」
ふと気付いてしまった。
「どうかしたか?」
わたしの頓狂な声に、フレイヤ様が怪訝に問う。
「フレイヤ様、
「ああ、忘れてたな」
お父上の思いを完全に裏切ってるんだが、いいのか?
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