第23話

「行きましたね」


「そうだな」


「・・・本当に置いていきましたね。」


「そうだな」


二人は泣いた。余りにも残酷な選択だった。


ここまでの状況で娘を思って一度帰るなんてことはしないだろう。


仮に理由があるなら、銀行口座とか何かしらの理由があるなら分かる。だがそれは話して良い筈だった。


これは完全に娘を置いて、DVの父親を優先した育児放棄だ。


「私、許せないです」


「俺もだよ・・・」


「優さん・・・優」


「・・・あ、あ」


「私たちで守ろうよ。この子を」


「・・・絶対に」


そして、二人は本格的に動き出す。もう会話の録音はある。


別にこれは犯人の証拠を集める必要があるわけではない。ただ春とあのゴミが親とて不適切だと認められばいいのだ。

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