二、秋田英治への応援コメント
こんばんは。
エピソード「一、青木智子」を読んでから、これはまた重いテーマの話だな、と大変興味を持ちフォローさせていただきました。
「一」の母娘のやりとり、なぜ「臓器を(しかも卵巣を)」売ると決意できたのだろうと、やはりそこに刮目したのですが、「二、秋田英治」で医師側の話になり、また違ったところで胸を掴まれました。
秋田と伊藤の話はプロ意識と良心などが交じっていて、実際のプロが聴いたらどう思うか知りませんが、患者の立場である私からすると、こういう真剣な会話を交わしてくれる事自体がうれしかったし、「さすが、いいぞ」と思いました。医療に関わる人間として、現在の仕事に関して、毎日心の中でいろんな問いを自分でもしていたのだろうな、と感じました。
>体だけを見なくてはならない
>僕の存在意義は手術のクオリティだけだから
秋田の腹のくくり方というか、自分で出した答えはすごいなと思います。
実は私も人間相手の仕事をしていて、ときどき仕事という乾いた関係でなく、その人に踏み込んでしまうときがよくあるんですね。これは私の甘さや弱さ、職年数の少なさから来ているものかもしれませんが、先輩から「会社の利益だけを考えて、用がなくなったら(お客さんとは)さっさとおさらばしなきゃ」とよく言われます。今日もあることで少しがっかりして、精神が疲れてしまったので、やはりこういう生ぬるいやり方では自分がやられてしまうな、と感じました。
>――僕達が見てはいけないのは被術者の気持ちではなく、僕達の気持ちの方なのだろう。
このセリフを読んだときに、ショックでした。ただ、秋田は多大な緊張を抱えているからこそ、自分の中でこの仕事を続けられる「最適解」を見つけることにも力を費やしたんだろうな、と思いました。私ももう少し個人の情は抑えて、私なりのクオリティとお客さんの利益を大事にしようと思い直しました。
物語の大事な部分とは関係ない話をしてしまったかもしれませんが、今後、物語はもっと深いところまで描かれていきそうで期待に満ちています。
心とまるで切り離されているような「体(臓器)」をテーマにしながら、体だけと割り切れない……引き続き楽しませていただきます。
作者からの返信
崇期さん
こんばんは。
フォローありがとうございます。興味を持って頂けたこと、嬉しいです。
秋田はプロフェッショナルの一つの極致だと思っています。
私も人間相手の仕事をしているのですが、秋田のようにはなれない。
むしろ、情がびゃんびゃん入るような仕事の仕方をしています。
人体を診る、手術をする、のと、人間をみるのは違うのかな、と思います。
私見ですが、情と仕事のクオリティには、その人その人の最適なバランスの位置があるように思っていて、情がない方がクオリティが高くなる人と、情がある方がクオリティが高くなる人、及び、職種があるのではないかと思います。秋田は前者ですよね。
私は後者なのではないかな、と思っています。
これからの展開、楽しませられるか、がっかりさせるか、乞うご期待。
読んで頂きありがとうございます。
真花
八、神屋創太(後)への応援コメント
卵巣を売るという、かなりインパクトのあるエピソードから始まった物語で、社会派ミステリーのような展開を想像してしまいました。それが途中からまさかの展開でした。淡々と手術をし、遺体を焼く、流れ作業のような仕事の描写が、それがこの作品世界の普通の日常なのだと主張されているようで、そしてその行為は「人為進化のためにたくさん産んでたくさん殺す」という後の言葉に直結するように思いました。後半は人魚が中心の物語になりますが、そのファンタジックな物語内容が日常の丁寧な描写と医学的な説明で、リアルに繋ぎ止められていて奇妙な現実を突きつけられるようでした。医学の知識はありませんが、「人魚化することを阻害する遺伝子」という言葉がとても気になって、MMD1の正体を解明するという別の物語が出来上がったらおもしろそうなどと妄想しました。とてもおもしろく読みました。
作者からの返信
@sakamonoさん
「この作品世界の『普通の日常』」と伝わったのは嬉しいです。明かに異常な世界をリアリティのあるように描けたのかな、と思います。もしかしたら本当にやっているところがあるんじゃないかと自分でも思ってみたりして。
MMD1への妄想、ありがとうございます。作品の枠の留まらずに思いを馳せて頂くことはとても嬉しいんです。
「とてもおもしろく読みました」とのこと、この上ない喜びです。
読んで頂きありがとうございます。
真花