第4話 新居到着

陽子さんと会った翌日、朝起きると仕事に行くお父さんに会った。いつもは夜早く帰ってくるために早朝から出社するので朝会うことはないのに居て驚いていると

「優花、おはよう。今週末に引っ越すことになったからよろしく。

それじゃあ、いってきます。」

と言って出ていった。

あれ?今週末にって言ったけど今日は3月22日(水)だよ。あと2、3日の間に準備をしないといけないのかな?確かに中学校の卒業式も終えて、今家で暇しているけど、私1人でどうすれば良いのだろうか?とりあえず、今日の分も入れて4日分の着替え以外を全て詰めておこうかな。後は私でも動かせそうな物を詰めていくとしよう。昨日の寝る前にはなかった段ボールが大量にリビングに置いてあるし、これに詰めたらいいでしょう。

そんなこんなで引っ越し準備を終えて週末を向かえた。


「ねえ、お父さん。ここなんだよね。」

私たちは表札が1つで玄関扉が2つある家の前に立っていた。ここが今日から私たちが住むことになる家のはずだ。

「そうだよ。」

「左右どちらの扉から入ったら良いのかな?」

つい5分ほど前にもうすぐ着くことを陽子さんに連絡すると、玄関のカギは開いているので入って来てもらって構わないと伝えられた。私たちは普通の1軒家だと思っていたのでそのまま了承したがまさかこんなことになっているとは思わなかった。

「さあ…。今、陽子さんに連絡しているから少し待ってね。」

お父さんは少し考える素振りを見せるとすぐにスマホを取り出した。そして、そのまま連絡をしようと操作をしていると左側の玄関が開いて中から凌空くんが出てきた。

「あ、凌空くんこんにちは。その扉から中に入ればいいの?」

お父さんが凌空くんに聞くと、凌空君はうなずいた。

「ありがとう。」

お父さんがお礼を言うと再び凌空くんはうなずいて中に入っていった。

再び2人っきりで放置されてしまいどうしたらいいのだろうとお父さんの顔を見ていると

「優花、とりあえず入ろうか。」

と言ってきた。

「そうだね。」

私はお父さんについて玄関扉を開けて入った。

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