第3話 ちょっとつまみ食い

次郎太の姿が消える。


「フォフォフォフォ。

 次郎太は雑魚じゃが能力は希少!

 ここは引かせてもらうぞ!」


老人の声が響く。


「なんだったんだ?」


「待て!」


六騎が周りを見渡すも誰もいない。


「……あのポチポチキングって?」


那留の素朴な疑問をぶつけた。


「犬だ」


「え?」


「最も強い世界最強の犬だ」


六騎の言葉に那留は無表情で答える。


「そっか、犬ですか」


「ああ。だが油断するなよ。

 ポチポチキングは食えば食うほど強くなる犬だ。

 一匹で街の人間なら一晩で食い尽くす」


「え?」


「ちなみにアースベルガーは女を犯せば犯すほど強くなる。

 しかも対象は人間だけじゃない」


「それはなんか嫌だな」


「そうだ嫌だろ?

 今、こうしている間にも男は食われ女は犯され……」


「そうですね」


苛立つ六騎に対して那留は冷静だった。


「なんか冷静だね」


「はい、僕。

 なんか色々欠損してるんです」


「欠損?」


すると六騎のスマートフォンが鳴る。


「なんだ?今取り込み中なんだが」


六騎が苛立ちながら電話に出る。


「今、アースベルガー前にいるんだけど。

 今から来れない?」


「はぁ?なんでアースベルガーの前にいるんだよ。

 ってかそんな余裕あるんかよ?」


「んー。

 アースベルガーの分体っぽいんだよね。

 あっさり倒せちゃったんだけど。

 女の子たちがえちえちもーどでね。

 ちと男の手が必要なんだけど。

 30人ほど女の子抱いてやってくんない?」


六騎の電話の主はティコ。

ファルシオンの隊長のひとりだ。

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