015
だが、ルシフの力は重力操作だろ?だったら地獄からでも出て来れるんじゃねーの?
訊ねようとしたら死神が俺の肩を叩いた。
「なんだ?」
「アンタ冥界を案内して貰いたいんでしょ。エントリーもしたいし、早いとこ17区に行った方がいいんじゃない?」
そうだったな。しかしだ。
「こんな暗い所、足元も見えん所なんだぞ?最下層って事は階段か何かで上がっていくんだろ?その階段がどこにあるのか解らんぞ?」
方向もよく解らん所なのだここは。地場が歪んでいるというか。そんな所を歩けるのか?
「だから私達の後ろに付いて来るしかないでしょ」
それもそうだな。つか、案内が先に行かないでどうすんだ。
「……大丈夫です旦那様。私が手を引きますので」
言われたと同時に握られた手。セレスと恋人繋ぎばっかしていたが、やっぱドキドキするもんだな。
「そうなる?まあ、ルシフの愛玩奴隷だからね。じゃあ私の後ろに着いてきて」
多分呆れたんだろう。手を繋いだ事に。声の質で見切ったのだ。つか、いいじゃねーか繋ぐくらい。
そして真っ暗の中歩き出す。さっきは部屋から漏れ出ていた明かりによってどうにか見えていたが、今は本気で何も見えなくなった。
「あいて?」
何かに躓いてこけそうになった。ルシフが手を引っ張ってくれたおかげで倒れる事は無かったが。
「なんだ?なんかあるぞ?」
「そこらには蓋があったはずだから、それじゃない?」
蓋?なんでこんな所にそんなもんが?
「お鍋の蓋じゃないよ言っておくけど。地獄に通じる蓋。今は使われていないから撤去してそのままだったと聞いたけど」
そんなヤバそうなもんを放置!?不味くない!?
「……今は99から地獄に堕とす為の縦穴が施されましたから撤去されたんです。天使、死神に拘わらず、亜人や人間の数も多くなりましたので、小さい蓋では心ともないとの理由で」
「小さいって、どのくらいなんだよ?」
「……旦那様の知識から引用すれば、マンホールと同じくらいですか」
そりゃ確かに小さい蓋だな。沢山堕とすとなれば穴が小さい。
「んじゃ今は?」
「じゃあもうちょっとまっすぐ行こうか?」
そんな訳で少し進んだ。そしたらルシフが手を引っ張って止めた。
「なんだ?」
「……手を前に出してください」
言われたとおり前に出すと、壁のようなものに触れる。
「それが今の地獄の穴。99区に繋がってんのよ、それ」
「この壁が穴!?」
「……半径約1キロメートルの巨大な筒が99区から0区に向かって伸びている、と思っていただければ想像しやすいと思います」
マンホールなんかと比べ物にならねーな!!巨大すぎて想像が難しいぞ!!
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