Fic Esc.
Garm
視野欠損
銀座を行き交う数多の人通りの中で、三輪の花を持って立っていた。
花を添えるべき知己の墓は
……正直、心当りはないでもない。記憶に
そのうち時間を無為にするのに嫌気の差した俺は、花を残らず屑籠に放り投げてから煙草を取り出した。そもそもこんなところで暇を潰している場合じゃない。俺に無駄にできる時間なんぞそう無いはずだろうが。そう独りごちてから、吸殻を靴底で磨り潰してから立ち上がった。
──────────────────────
煌めき揺らめく枝垂桜の前、薄く
鼓膜に届く前に潰えた声。符合する記憶。酷く痛む頭。
網膜の中に届かない姿。瞬間爆ぜる
刹那に影を貫く、総て見透かしてしまうような、鈍く妖しい朱。
そこで目を覚ました。部屋を包む静寂の中で、蝉の声が鼓膜を揺らしている。
Fic Esc. Garm @Garm
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