第5話 異世界にも温泉あり!
「よーし、このチーム、名前をHENTAIヒーローズとしよう!」
「却下だ」
「少し、嫌です」
街の景観をまだ把握しきれていなかった私は視察がてら、街の観光をしていた。
「なら、頭文字をとってHH、2つのHを略称で呼ぶのはどうだ」
「ダブルHか?」
「ツーHとか」
「水素とか」
「「水素?」」
「ジHとか」
「「ジH?」」
私の出した提案の意味がいまいち理解出来ていないらしい。水素はH2からとり、ジHもギリシャ語で2を表すジをつけただけなのだが。まぁ前の世界での知識が通用しないこともあるだろう。
「ジ・H、意外とアリだと思うのだが」
「まともならな、名前なんてなんでも良い」
「チヒロさんがそれで良ければ」
街中を歩いていると、再びパンツ屋にたどり着いた。
「装備を買い揃えてくる、少し待っていてくれ」
とりあえず、全属性の男性用装備を一通り買う。
お値段18金貨、残りは20金貨か。少し痛手だが、これは必要投資だ。
全て水玉パンツと同レベルの物を選んんだつもりだが、女物に比べ1金貨安かった。
「よし! これで私は全属性を操ることが出来るようになったぞ!」
「女物も装備出来るお前が、なんで男物しか買わなかったんだ?」
「そんなの決まっている・・・・・・」
ゴクリ・・・・・・
「女物のパンツは、ぬぎたてに限るっ!」
ズコーッ!!
「筋金入りの変態さんです」
「もっと罵ってくれても構わんぞ!」
この返しには流石にノンも引いていた。
「ということで、この水玉パンツも、ノン、君にプレゼントだ。ぜひ履いてみてくれたまえ。安心しろ、履いてないから清潔だ」
そう言うと頭のパンツを外し、ノンに手渡す。履いてはない、かぶっていたのだから清潔だ!
「サイズがあいませんよ」
「それは想定外だな・・・・・・。だが、サイズが合わないパンツもまた素晴らしい! 受け取りたまえ!」
「黙れ変態、勿体ないから俺が受け取っておく」
「再び罵倒されたっ!」
エクスタシー!
「というわけで、エリーザのパンツを装備してと」
これでおそらく火を操れるようになった。
「一応言っておくが、お前の魔法が強力なのは能力増強のパンツの力が重なっているからだ、もし他のパンツにすればおそらく威力は落ちるだろうな」
「承知の上だ」
それでも、2属性を操れるようになれば必ず強力に違いない。
「時にベル、ノン。私は既に下のパンツを履き替えている。今からその能力を見せるので、ぜひ何を履いているか当てたまえ」
集中して、力をコントロールする。空気中でポンッと音を出して爆発させる。
といっても騒ぎになるといけないので小さい爆発だ。
「なんだこれは、虚仮威しにもならんぞ」
「威力を抑えてるからだ、その気になれば凄まじい攻撃にもなる」
「でも、なんの能力を組み合わせたかは分かりませんでした」
「ふっふっふ、正解はだな」
そう言うと、ズボンを下ろし、コートを広げて答え合わせをする。
履いてるのは青いボクサーパンツ、正解は。
「水属性でしたー!」
「そんなことができんのか」
「仕組みは分かりませんが、すごいですね」
まぁ、仕組みは説明するだけ無駄だろう。なんとなく水属性があれば水素も集められないかと思っていたら、まさか本当に出来てしまうとは。
危険な話、この力を使えば大規模な水素爆発だって可能なわけだが・・・・・・。周りに危害が及ぶので、出来るだけ避けたい。
「さて、秘密基地を作るには、アイデアも立地案も、1つの課題の前には無力だ」
「というと?」
「そう、金がなくてはな!」
「お金というと、少し前に100金貨貰ったばかりじゃないですか」
「いや、あれは匿名で街の復興のために募金してだな、なんやかんやで今は20金貨しか残っていない」
「どこかの空き家でも買うか?」
「いーや、私は地下に秘密基地を作りたい。空き家じゃ浪漫に欠ける」
理想を語るも、2人は呆れた様子だ。私は変態であり、ヒーローに憧れていた身でもある。ロマンを追い求めるのは、人の憧れの存在となりたい気持ち1割とただ単にかっこいいと思っている気持ち9割が理由だ。
「というわけで、もう一つの組織を潰す。組織を潰すための秘密基地を作るために組織を潰す、というのは若干不思議な感覚だな」
というわけで、早速情報収集に向かった。2組で手分けして、夜になるまで各自で情報を集め、夜には予め決めておいた宿に集合、というわけだ。
私とノンは、なんとか聖属性の組織の居場所を聞き出した。どうやら、怪しげな教会で教徒を増やしているらしい。
他の街の人たちに危害を及ぼすことはないらしいが、教徒は資産の全てを貢ぎ、やがて破産に追い込まれるとのことだ。
そして夜になり、集合場所へ向かう、少し街から外れた位置にある、何故か和風な宿。1人のベルクが逃げるのではないかと気がかりだったが、きちんと集合場所に来ていた。
「私が言うのもなんだが、ちゃんと私の仲間を務めようとするのはなぜだ? 逃げることだって容易いだろうに」
「俺は義理堅ぇんだ。親父にも散々躾けられたからな」
また親父か。そういえば、パンツを要求した時も親父の形見やらなんやら言っていた。
「ったく、細けえこたぁいいんだよ。俺は眠いんだよ」
「で、部屋は3人一緒でいいか?」
「良いわけねぇだろこのド変態野郎」
「私も、チヒロさんは悪い人ではないですが、なんだか怖いです・・・・・・」
「ベルはともかくノンまで!? 昨日は一緒に寝たじゃないか!」
「あっ、あれは! その、1人が怖かったからで、今はベルクさんがいます!」
ふーむ、となればベルクとノンのパジャマパーティーか? 男の介入しない空間、それはそれで覗きがいがある。
「まぁいい、とりあえず2部屋とろう、幸いにも、部屋代は1部屋1泊2銀貨の激安価格だ。風呂も大浴場があるらしい」
「そうか、なら俺とノンで同じ部屋ってわけだな」
「食べるなよ」
「俺をなんだと思ってる」
食べるなよ、ただし2つの意味で。
ふふ、同性愛、俗に言う百合カップルも世界に誇るジャパニーズのHENTAI文化だ。特に2次元の百合作品において、日本以上に美しい表現を出来る国はない!(個人の感想)
と、言うわけで私は自分の部屋に荷物を置く。
一息ついて、外をぶらりと歩いてみることにした。
久しぶりに1人になって、少し落ち着く、夜風が涼しくて、なんだかロマンチックな雰囲気だ。
目の前が少し曇ってくる。どうやら温泉の近くに来たらしい。
この柵の向こうにパラダイスが広がっているのか、うぐ、覗きたい衝動に駆られる。
だが、覗くのは外道のすることよ、この柵の向こうから上る湯気を見ていると、あぁ、柵の向こうの光景が浮かんでくる・・・・・・。
「貴様、なぜ空を見上げている」
「今いいところだから、静かにしてくれ」
「まさか、キエイル様を暗殺するつもりかっ!」
「だから、今良いところなんだと」
次の瞬間、背中に強い痛みを感じた。
「いって!」
背中を触ると、ぐっしょり濡れていた。これは、どうやら・・・・・・。
「死ねぇいっ!」
水で作った手裏剣のようなものを飛ばす。なんでファンタジー世界で日本チックな戦闘方法なんだと思いつつ、宿の雰囲気にあっているのでいいとしよう。
とにかく、戦闘だ。敵が出た! 敵は3人、なぜか巫女服を着ている
「ふっ、私に戦いを仕掛けたこと、後悔するなよ。さぁ、パンティータイムの始まりだ!」
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