【GM用】シナリオ

《オープニングフェイズ》

・シーン1:Half a year ago PC②

半年前

その日、あなたは実家に帰省していた。蝉の声が響く、真夏の昼下がりだった。

実家には離れがあり、その先は蔵だった。涼を求めて蔵に入ったあなたの行動がその後の運命を決めた。


ロンギヌス「来たね、私の新たな使い手が。」


あなたが蔵に立ち入るとそんな声が聞こえた。暑さのための幻聴かと思ったが、そうではなかった。その声を聞いた瞬間、あなたの体の中に何かが流れ込んできた。脂汗が盛り上がり、冷や汗となって背中を流れていく。あなたの手は自然と蔵の片隅に置かれていた、白い布包みへと向かっていた。包みを剥ぐと、そこには白い槍が立っていた。


ロンギヌス「主よ、あなたが私を見つけてくれた。共に戦ってくれ。」


控えめな男性の声でそう囁かれたときには、あなたは意識を失っていた。

目を覚ますとそこにはUGNの霧谷雄吾と名乗る男と、槍を興味深げに眺める女、千城寺薫がいた。彼女の提案に霧谷雄吾は頷いた。


霧谷「あなたとロンギヌスをUGN研究組織、アールラボの預かりといたします。EXレネゲイドとその使い手は、まだUGNの中でも珍しい。千城寺さんやPC①などその道の専門家につくのが一番でしょう。」


あれよあれよという間に転校の手続きは済み、あなた大都会東京へとやってきた。あなたの新しい生活はおかしな上司、不思議な同僚、そして奇妙な槍とともに始まった。

シーンをカットする。

・シーン2:One month ago PC③

1か月前

あなたは太古の昔から存在するレネゲイドビーイングだが、最近のトレンドの変化には敏感だ。それは千城寺薫率いるアールラボの一員としてUGNの構成員となっていることも無関係ではないだろうが、あなたの卓越したセンスによるところが大きい。

あなたは最近のレネゲイドウイルスの動向に敏感に反応していた。

近頃レネゲイドビーイングへの進化に失敗した者、意思の薄弱なレネゲイド、EXレネゲイドの動きが活発になっている。なぜかは解らないが、かつて物言わぬ石に戻った同胞の反応が戻りつつあるのだ。

近いものを上げると嘆きの弓―フェイルノート―が顕著だ。これまで移動していなかったのに、まるで人間に持ち運ばれるかのように全国各地を移動している。あなたが懸念を千城寺薫に報告すると、「いいんじゃない、別に。まだ実害は出てないようだし。」と取り付く島もなかった。人間界に他のレネゲイドが関わろうというのなら、あなたも動き出すべきかもしれない。

シーンをカットする。 

・シーン3:Yesterday PC④

昨日

あなたが守護の任に当たっていた強力なEXレネゲイドの遺物「円卓の欠片」が盗まれた。どうやったのかはわからないが、警備システムの隙を搔い潜ってケースが割られていた。あなたはすぐに日本支部に連絡すると、EXレネゲイドの専門家を派遣するとの連絡があった。おそらく派遣されるのは千城寺薫をリーダーにするアールラボの小隊だろう。あなたはアールラボと協力して遺物を取り返そうと、今のうちに情報をまとめておくのだった。

その日、境内に出入りした者は数多い。地元の高校の弓道部による御備射が行われていた。特に全国大会上位の射手、石巻康介の人気はすさまじく、彼を見に来たものが多かったためだ。この混雑と遺物の盗難には何か関係があるのではないだろうか。あなたにはそう思えてならなかった。

シーンをカットする。


・シーン4:始まりの日 PC①

現在

あなたはUGNアールラボ、EXレネゲイド班、班長千城寺薫に呼び出されていた。


千城寺「やー、待っていたよPC①君。」

千城寺「うんうん、今日も元気そうで何よりだ。」

千城寺「早速だが君に、いや君たちに頼みがある。」

千城寺「港区にある国松神社からヤバい遺物が盗まれた。我々アールラボでもその真価を研究しきれていない特級の遺物「円卓の欠片」だよ。」

千城寺「君たちは現地に入り次第、現場のエージェントPC④君と協力して犯人確保へと動いてくれたまえ。」

千城寺「私?嫌だな。冗談だろう。私は荒事、苦手なんだ。君たちチームに一任する以上。」


PC①が否応なく部屋を追い出されたところでシーンをカットする。

《ミドルフェイズ》

・シーン5:現場検証 PC④

全PC登場。

国松神社境内、宝物殿。

一般公開はされていない倉庫の奥に、対オーヴァードの高耐久ガラスを用いたケースがあったがその一角が無残に壊されている。

昨日ここから「円卓の欠片」が持ち出されていた。監視カメラには何も映っておらず、破壊音と壊れたケースのみが残されていた。

各PCの自己紹介(PC①、PC②とロンギヌス、PC③は同じチームなので顔見知り)を行っておくことが望ましい。


ロンギヌス「主よ。私にはこの傷は何か尖ったものを用いて、一撃でつけられたように感じる。例えば私のような長柄の武器ならこのようなケースも一撃だろう。それ相応の威力がないと無理なので、今の私にはできないが。」


現場から得られる情報は少なく、それぞれのコネクションを用いて事件を探っていくこととなる。シーンをカットし情報収集シーンへと移行する。


《情報収集フェイズ》

・a-1「円卓の欠片」について

情報UGN:9

特級遺物。紀元前後の太古のレネゲイドを宿しており、世界各地に存在する元は円形の遺物だったため、こう呼ばれている。一説には本当にアーサー王伝説の円卓に由来するものだという説もある。そのままでは利用できない高純度のレネゲイドウイルスを内包している。そのため、状態が安定している場合脅威はないが、何か呼び水が加われば決壊したようにレネゲイドを暴走させる危険性がある。FHやゼノスに奪われないために、専属のエージェントをつけて守護していた。→イベントシーン7発生

・a-2分離実験について

情報WEB:11(イベントシーン7の後実行可能)

難解なロックを抜けると、これまた難解な報告書に行きついた。

基本はPC①が進めているEXレネゲイドからレネゲイドを分離する実験と同じ手法であるが、PC①の実験は、分離した後のレネゲイドの再利用を前提としておらず、消失することが許容されているのに対し。「円卓の欠片」に対して行われた実験では、レネゲイドの保護が目的に含まれており、難易度が天文学的に上昇している。どちらの実験もまだ実現していないが、PC①の理論の方が実現可能性は高そうである。

・b-1「ロンギヌス」について

情報UGN:9

PC②の槍。EXレネゲイドで意志を持っているが、PC②に対してしか話しかけることはできない(これまでロンギヌスはPC②にしか話しかけていない)。今のところPC②の意識に影響を及ぼしているような素振りはない。いつからPC②の実家にあったのかは不明。UGNも今回PC②が覚醒するまで存在を把握していなかった。B級監視対象として登録されている。→イベントシーン8発生

・b-2「ロンギヌス」のレネゲイド反応について

知識レネゲイド:11(イベントシーン8の判定成功後実行可能)

徐々にレネゲイドの反応が強まっている、具体的に言うと自我が強まり、このままいくとEXレネゲイドの枠を超えレネゲイドビーイングと呼称するにふさわしいものとなっていくだろう。その場合は協力型レネゲイドビーイングになることが予想される。A級監視対象相当。

・c-1EXレネゲイドの活発化について

情報裏社会:7

PC③風に言うと、EXレネゲイドとはレネゲイドビーイングへの進化に失敗したモノである。レネゲイドビーイングとは地続きの間柄ではあるが、その間には程度の差があるのだ。レネゲイドの活性化とは、すなわちEXレネゲイドの一部がレネゲイドビーイングに進化しようとしていることを指す。半年前から各地でそのような動きがみられる。

・c-2嘆きの弓―フェイルノート―について

情報裏社会:9

紀元前後の遺物の1つ。姿形を変える魔弓で各時代に溶け込んできた。姿なき弓とも言われる射撃武器で、EXレネゲイドのひとつ。しかし、最近のEXレネゲイドの活性化でレネゲイドビーイングへと進化したようだ。支配型のレネゲイドビーイングへと変化し、宿主を探して行動を開始したようだ。弓道の全国大会でフェイルノートを見たという情報もある。

・c-3フェイルノートの在り方

情報裏社会:11(c-2、b-1も開示済みの必要あり)

石巻康介が所持している。彼は約半年前に進化したフェイルノートに憑依され、支配型レネゲイドビーイングに支配された状態となった。弓の腕前は上達したが、他のことに関しては、内向的、排他的になって行ったという。→トリガーシーンへ

・d-1石巻康介について

情報UGN:7

東都高校3年生の弓道部員。先の全国大会では無名から、4位に躍進した。国松神社の御備射にも参加していたが、控室で彼の姿を見た者がいない。

・e-1高耐久ガラスケースの傷について

情報軍事:7

ケースの傷の形状を見るに、高度に研ぎ澄まされた弓矢による一撃によってつけられたものだと推測される。技も品も一流でなければこのケースに傷はつけられないが、その両方を兼ね備えた一撃だったことが分かる。


《イベントシーン》

・シーン7:治療者 PC①

a-1解放時発生。

PC④登場。

特級遺物「円卓の欠片」だが、過去には物質内のレネゲイドを分離し、無力化する計画も存在した。


UGN研究員「そのような研究は確かにありましたが、技術が未成熟で失敗しております。この研究はいわば、無機物とはいえ一度オーヴァードとなったモノを非オーヴァ―ドに戻す試み、実現すればレネゲイドの世界がひっくり返ります。」

UGN研究員「その後、現状の維持が最善と判断され、PC④さんに管理が任されています。その後は状態も安定しており、今日の事態に至るまでは安全に保管されてきました。」

UGN研究員「現在、先の研究のデータはアールラボに引き継がれています。ロックを解除しておきましたので、EXレネゲイド班の皆さんも閲覧できると思いますよ。」


シーンをカットする。a-2の情報項目を調べられるようになる。

・シーン8:奇妙な隣人 PC②

b-1解放時発生。

PC③登場。

B級の監視対象に指定されているロンギヌスの槍に対して、PC③が興味を持つシーン。

EXレネゲイドであるロンギヌスの槍はPC③風に言うと進化に失敗した部類だが……。


ロンギヌス「主よ。確かに私はレネゲイドビーイングではないが、私はこうして主と通い合うことができればそれで満足だ。余人に何かを言われても気にしない。」


判定

知覚:9にて判定を行う。


判定に成功したPCはロンギヌスの槍の力が強まっていることを感じ取ることができる。確実にレネゲイドとしての力が上がっている。

シーンをカットする。

判定に成功したPCがいた場合のみ情報項目b-2の判定が可能になる。

《トリガーシーン》

・シーン9:決闘前の夕暮れ PC③

全PC登場。

夕暮れ時の東都高校。弓道場には石巻康介ただ一人が佇んでいる。

半月が浮かび夜の闇が迫てくる中、弓胴着姿の石巻は、的ではなくあなたたちに向かって弓を引く。


フェイルノート「悲しい。私は悲しいよ。」

フェイルノート「こうも早く追手がかかるとは、実に悲しい。」

フェイルノート「居心地がよかったのだが、この体ともどうやらお別れらしい。」

フェイルノート「ところでPC③、こちらに来る気はないかな。」

フェイルノート「[我々]は仲間を募っている。あなたでは仲間にはなれないだろうが、小間使いくらいにはなるだろう。同じレネゲイドビーイング同士仲良くやろうじゃないか。」

フェイルノート「む。なぜ君が……われらが同胞ロンギヌスがそちらにいるのだ。」

ロンギヌス「なぜって言われても。私は主と共にあるものだからだ。」

フェイルノート「君は我々と共にあるべき存在。そう定められているにもかかわらず。裏切ったか、ロンギヌス。」

フェイルノート「よろしい。その槍をかけて勝負と行こう。私が勝てばその槍を貰っていく、私が負ければ君たちの探し物について情報を渡そう。」

フェイルノート「それでは殺し合うとしよう。君たちの得意技だろう。」


日が完全に沈んだ時、シーンをカットする。


《クライマックスフェイズ》

・シーン10:嘆きの騎士トリスタン PC①

全PC登場。

場所は東都高校弓道場。

時刻は夜、光る弓を持った石巻康介は自らをトリスタンと名乗った。

悲しいと繰り返す彼の声は、意識を失った宿主のものか、それとも千年もの長きにわたって希薄な自我のもとに存在し続けたEXレネゲイドフェイルノートのものなのか。彼は騎士としての決闘を求めてきたが、その相手UGNアールラボは壊すものではなく、治すことを信条とする組織であった。いびつな対立が今幕を開ける。


トリスタン「悲しい。千年もの時を経て出会った相手が、こんなにも脆弱であるとは。私は涙を禁じ得ない。」

トリスタン「せめて安らかに眠れ。掻き鳴らせフェイルノート!」


戦闘開始。

衝動判定を行う。

衝動判定

意思:9

衝動判定に失敗した場合、バッドステータースの暴走を得る。その後全PCは浸食率を2D10上昇させる。

戦闘配置はPCをひとまとまりにし、そこから10m離れた地点にトリスタン(石巻康介&フェイルノート)をおく。

勝利条件はエネミーの全滅であり、エネミーとはNPCとしてのトリスタンのデータを指す。


トリスタン「今の私は人弓一体。私を打ち倒せるのなら、やってみるがいい。」

攻撃時

トリスタン「私の弓の音は音楽に通じる。掻き鳴らせ、フェイルノート!」

被弾時

トリスタン「私とて、騎士として最低限の身のこなし位、身につけていますとも。」

加速する刻、加速する刻Ⅱ時

トリスタン「私の弓はまだまだ早くなる。」

蘇生復活時

トリスタン「王の帰還まで。私は倒れるわけにはいけないのです。」

敗北時

トリスタン「私が……負けると。仕方がない、体を変えてもう一度……」


バックトラックを行い、シーンをカットする。

《エンディングフェイズ》

・シーン11:獣の災厄 PC④

PC全員登場。


フェイルノート「私が負けても[我々]には同志がいる。「円卓の欠片」は決してあなた方の手には戻らない。2度とね。それが私がお渡しする情報です。」


トリスタンが膝をつき、フェイルノートがその手から離れる。石巻康介は意識を取り戻し、うめき声をあげる。

その時、全身真っ黒の獣が駆け込んでくる。獣はフェイルノートを口にくわえるとそのまま走り去っていく。

唖然とするあなたたちに陽気な声で通信が入る。


千城寺「ご苦労様。どうやら悪いニュースといいニュースがあるようね。」

千城寺「とりあえずそちらに事後処理班を向かわせたわ、あなたたちの様子を見るに連戦は難しそうだから、一度仕切り直しましょう。ジャーム化とか勘弁だわ。」

千城寺「あの弓、フェイルノートとか言ったかしら?かなり強力ね。おそらくうちに来たらA級監視対象の品よ。確保できなかったのは残念だけれど、あの獣を追えば、いずれまた研究できる……いえいえ、捕獲できる日も来るでしょう。」

千城寺「それじゃ皆さん、一旦撤収!」


千城寺薫からの指示で、一時撤収をする。シーンカット。


・シーン12:受け入れ準備 PC④

千城寺薫からあなたに辞令が下るシーン。

盗まれた「円卓の欠片」は戻っていない。しかし、UGNはあなたを新たな研究施設へと招いた。国松神社では、「円卓の欠片」を保管するには不十分と判断し、あなたにこれまでの経験を参考にして、新たな保管場所を作って欲しいという辞令が下ったのである。

あなたが引き受けたところでシーンをカットする。

・シーン13:新たな脅威 PC③

あなたは危機感を抱いていた。先ほどの戦闘でフェイルノートと同じように、力が増大したレネゲイドがいたからである。PC②が持つ槍ロンギヌスがそれである。

あなたが新たな脅威を感じ始めたところで、シーンをカットする。


・シーン14:黙して槍は語らない PC②

あの戦いからあなたの槍は言葉を話さなくなった。

あなたはロンギヌスに聞きたいことがたくさんあるはずだ。なぜ敵はロンギヌスを同志と呼んだのか。それなのになぜ、ロンギヌスは自分たちの味方をしたのか。聞きたいことは多くあるのに、ロンギヌスは一向に話そうとしない。

納得できない思いをあなたは抱きながら、シーンをカットする。


・シーン15:誇りにかけて PC①

あなたの目標はモノに宿ったレネゲイドを物質から分離する研究で、ジャームの治療をおこなうことである。今回の事件はジャームが罪のない少年に寄生し、オーヴァ―ドにしてしまうかもしれないという、あなたの主義とは真逆のことだった。

力あるレネゲイドは人を不幸にもする。あなたは悲劇の連鎖を止めるために、「聖杯の欠片」もフェイルノートも見つけ出そうと決意するのだった。

シーンをカットする。


獲得経験点:シナリオをクリアした…10点

以上

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