　この日、とあるダンジョンの深奥でオーク･ロードが復活した。

　オーク･ロードの呼びかけにより、各地のダンジョンを拠点としていたオークの一団は、ダンジョン最奥に潜んでいたオーク･キングに率いられ、一斉に蜂起し、街を強襲する。

　中でも目覚ましい活躍をしたのは、「D-6679」のオーク・キングであった。

　彼に命じられていたのは、集結拠点の確保。

　彼の活躍により各地のダンジョンから這い出たオークの一団は集結し、一大勢力となる。

　完全に後手に回った冒険者ギルドは足並みを揃えることができず、散発的にこれに対処するが、各地で敗戦を繰り返し、戦力を摩耗するだけに終わる。

　かくして、街はオークの一大勢力によって占拠され、オークの帝国が今ここに樹立する。

　支配地域の人々はオークの家畜となり、彼らの腹と性欲を満たすためだけに消耗される。

「うわ～い、見つけちゃったよ……」

　……ただし。

　すべては、カボチャの被り物をした変人が、「D-6679」ダンジョンを根城とするオーク･キングの背後に現れなかったら、の話だ。

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