第22話 真実と勘違いが交差するある日の日常
「…やってるわね…」by凛夜
「…やってんだろな…」by茅野
「…やってない訳ない…」by麻音
「…まったく、あの娘ときたら…」byもちろん冴子
『『『『確実に華恋の方から襲ってる!!』』』』
それは冴子を含め全員の総意である。
華恋にとって休み開けになる日曜のHANAKOの店内…
わざとらしくそんな事を囁いている四人の目線の先には、何処か壊れた身体を庇う様な、そんな妙な動きをしながら業務に勤しむ彼女の姿があった(笑)
まぁ〜その原因は言わずと知れた昨夜の行為なのではあるが…(汗)
実際…
冴子から貰った年代物のウィスキーが
その上彼の追求から逃れたいからか、華恋がもう一本今度は赤ワインまで持ってきたら、さぁ〜大変!
そこまでアルコールに強くない太郎は、案の定途中で寝てしまったのだった。
しかもだ!
その横でツマミで出していたチョコレートが洋酒入りとは知らず口にしてしまった華恋…
始めて食べたその手のチョコレートで、なんとほろ酔い気分になった彼女は、寝ている太郎に広めのタオルケットを掛けつつ、善からぬ事を考えしまった。
その結果が今朝のあの状態である(笑)
つまり…
間近で見た太郎のアレを本人の了解無しで味見している途中、そのフィット感と凶悪性で何度も絶頂した挙げ句、最後は入れたまま気を失ってしまった次第なのであった(汗)
要は酔った勢いでのあの結末と言うわけだ。
そして…
いまだ何か身体に入っている違和感が取り除けず…
しかも一日経っても治まる気配の無い小さな頭痛…
かなり久しぶりの行為だった事による?筋肉痛…(笑)
等々それが今、彼女の身に降り掛かっている現状なのであった。
《困ったものである…》
と、大まかな予想(大当たり)を立てて呆れている冴子達なのだった。
「あ♪い、いらっしゃいませ〜〜(苦悶)」
…頑張れ華恋…
店のCLOSEまでの道のりは始まったばかりだ…
…一方…
無実の罪の太郎はというと…
そのまた次の日の月曜日…
「課長 《海城物産》《新命航空》《大岩食品》三社による合同イベントの企画書がまとまりましたので共有します」
早田主任のそんな言葉が皮切りとなって…
「了解、直ぐチェックにかかるから♪北都さん、諸星と剛の帰社時間は?」
「予定では十五時頃になってますよ」
「ヨシ、それじゃ〜帰ってきたら皆でひと休憩入れようか♪東 《松山機工》と《明日香動植物園》との打ち合わせはどうなってる?」
「ハイ、明後日の休園日に合わせて現地で最終的な打ち合わせをする事になってます」
「こちらからは?」
「自分と主任が立ち会います」
「主任、もしイレギュラー案件が発生した場合は速やかに自分が対応するからWebで回して」
「解りました、助かります」
こんな感じで表面上何事もなかったように精力的に業務に取り掛かっていた。
しかし…
「本部長…山田課長は大丈夫なのか?」
「あ、社長もお解りですか…」
何時もの様に社内を巡回してその職場の様子をチェックする猫丸社長と、専務の代わりにお供に付く鬼無里本部長は、そんな忙しく働く太郎の細かな異変に気が着いたらしい。
余談なのだが、この社長の巡回こそが猫丸産業全体の結束の固さに繋がっていた。
勿論それは決して威圧や威厳を示すものではない。
…ちょっとストーリーが横道に反れるのだが…
猫丸産業二代目社長:猫丸翔利…
その部署、職場で働く者達の何気ない変化や悩み事等にいち早く気付き、その変化が本人にとってプラスになる事なら一緒に喜び、悲しみ、時には叱咤激励し…
また例え新人社員であろうと自分が手を差し伸べる事で解決できる様な悩み事なら可能な限りこちらから声を掛け相談に乗る…
それが上に立つ者の《責務》であり《当たり前》だと彼…
猫丸社長は幹部社員に常々そう提言していた。
そして…
【どんなに忙しくてもだ、上に立つ者の取るべき姿とは、例えそれが《痩せ我慢》であっても、それすら己に与えられた《特権》であり《美得》だと認識しなければならない】
これが彼のポリシーであり信念なのである。
だからこそ父である現・会長 《猫丸パルプ》氏から総てを引き継ぎ、今では業界でもトップクラスまで登りつめた猫丸産業の強さにもなっているのである。
しかし本人曰く…
「ひとえに社員に恵まれたから結果が付いてきた」
といつも笑ってそう答えていた。
※ちなみに離職率も業界トップクラスの低さである。
以上、ではストーリーを戻そう…
「うむ…何となくではあるがな」
社長曰く、彼の目から見れば太郎が何かを考えない様に何時も以上に仕事をこなしている様に見えるらしい。
まぁ〜実際そうなのだが…
それは日曜の朝…
目が冷めた途端、徐々に蘇る酔いつぶれる前まで記憶とその後の空白の時間…
太郎は何となくではあるが、その空白の時間に何があったのか察しがついていた。
要は華恋が暴走した事をだ。
しかしその事自体さほど問題視してはいない太郎…
確かにあの場では咄嗟に驚きもしたが、冷静に考えれば、いずれ遅かれ早かれそういう行為に至るのは当然だし、どちらから求めてもそれはそれで自然な事だ。
只、彼が問題にしているのは…
行為の後の華恋の身体の事である。
実は大学卒業の数日前…
無事単位修得&卒業論文提出を終えたゼミの男連中と一緒に飲み会の後、その場の勢いもあってか風俗街まで引っ張られて行った太郎。
その際、相手をしてくれた風俗嬢からある事を指摘されたのだった。
風俗嬢曰く…
太郎のソレはある意味かなりヤバいものらしい(汗)
勿論大きさや長さの事では無い…
実はその形と反り型なのである。
本番行為が御法度なこの業界…
だから口頭で説明してくれたのだが、おそらく挿入した途端ピンポイントで女性の一番敏感な部分に当たり、そのまま押し上げた状態で奥まで
だから関係を持った女性は秒で逝くか、もしくはそのまま気を失う可能性が高いらしく、慣れるまで相当時間がかかるらしい。
だから今朝は、日曜の気まずい雰囲気よりも先に、二日経っても変な歩き方で出勤していった華恋の身体がとてつもなく心配になっていたのであった。
「おそらくですが、プライベートで何かとバタバタしているからかだと思いますよ社長♪」
…違うって…
「ん、もしや…れいのアレか?」
…だから違うってば…
「流石お察しが早い♡そう…れいのアレです♪近々社長に折りいって御相談すると思いますよ」
「おーーー!そうかそうか、ついに腹をくくったか♪よしよし、楽しみに待つとするかな♡」
…腹をくくったのは確かだけど微妙に違うってばさ…
「私も楽しみです♫」
「ハハハハ♪そうだな♡」
盛大な勘違いのオンパレードの中、満面の笑顔でその場を後にする社長と本部長(汗)
そんな事等露知らず、太郎は太郎で二人に勘違いをさせたまま業務に勤しむのであった。
…続く…
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