ココチュのフェイクニュース2

ココチュ

第1話 こたつに脱ぎ捨てられた靴下の精霊

 精霊。万物には精霊があり、それが現れた時、人々に小さな幸福を与える小さな姿の妖精だ。

 皆さんもよく使う鼻毛抜きの精霊は見たことは有るであろうし、会社の命運を祈るプロジェクトにはあみだくじの精霊に祷りを捧げるシーンを知っているだろうから、別段遠い存在ではないだろう。

 

 さて、ここにあまり人々から愛されていない精霊が居る。それこそが本日の主役『こたつに脱ぎ捨てられた靴下の精霊』である。

 この精霊はこたつに脱ぎ捨てられた靴下のかたわらに現れ、あの独特な臭いを付ける事が役目の精霊である。


「今日も臭いを付けに来たのよ~」

 精霊はこたつの中に現れ、靴下に臭いを付けた後、足先しかない人間に仕方無く臭いを付けて帰るだけだ。


フローラルや金木犀の香りなら喜ばれないかとも思うが、精霊は言う。

「それは小さな幸福ではなく素敵な幸福でしょ~」


 ……愛されないのは仕方無いのかも知れない。

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