第100話 キラキラと人外魔境再び**

「さて、後は妖精の粉を使ってみてくれる?」


「うぇっマジで?」


「マジで!」


 妖精関連は危険を感じるんだけど。


『ガチャミ、妖精の粉はホントに変な効果はないよな?』


『だいじょぶだいじょぶ~』


 何かあったらオヤツ抜きだからな?

 コクコク頷くガチャミを信じるしかないか。


 妖精の粉を使うと意識する。

 キラキラっと俺の周囲に光の粒が降り注ぐ。


 ほわぁ~んと気持ちが緩む。

 しかし、それ以外は特に何もないような?


 コーチャンに妖精の粉の効果時間を聞かれた。


『今は15分くらいかな~?』


「なるほど。よし、このまま帰るか」


「え~このままは何かイヤだよ」


「この状態でモンスターを倒して欲しいから、行くよ」


「わかったよ」


 ガチャミは二次元にしておく。

 机等を片付けて安全地帯から出る。

 コーチャン、俺、父さんの順だ。


 すぐにビッグモールが現れた。


 軽く踏み込み、橫凪に払う。

 キラキラっと光が降り注ぐ。

 攻撃すると光るのか?


「どうだった?」


 ドロップは魔石で、リザルトはさっきより少し多いかな?


「キラキラでリザルトが良くなるのかな?」


 暫く進むとスライムが現れた。


 なるべく汚れないようにコアを確実に狙いながら、突きをしてみる。

 今度もキラキラするな。


 ドロップはスライムの欠片で、リザルトはやっぱり少し多かった。


 次もスライムでドロップは魔石だった。


「やっぱり少し、リザルトは良くなるみたいだね。ドロップ率も上がるのかな?毎回出るなんてさ」


「ドロップ率は強運のせいかもね」


「それもあったね」


 ここで妖精の粉の効果時間が切れた。

 木刀をティッシュで拭っておく。

 とりあえず検証は終わりらしい。


 まだ聞く事があるから、ギルドに寄って欲しいと言われる。

 もう4時だし、ちょっと途中で遊び過ぎたな。


 出口まではコーチャンのフッでスライムを瞬殺した。

 ドロップはなかったがDガチャチケット[E]をゲットした。


 カードを翳してドアを開けると、早良さんに戻ったコーチャンが受付で手続きをして外に出る。


 ここからは早良さんモードで行くそうな。


 ギルドに戻った頃には、日が沈む直前のグラデーションに空が染まっていた。


 専用駐車場から4階に上がり、左の通路の突き当たりのドアを開ける。


 10畳ほどの部屋はホテルのロビーのようで、お洒落なソファーとテーブルが置かれている。


 手前の受付カウンターに、秘書っぽい格好の美女が立っている。


「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」


 すっとお辞儀の見本のように、美しい礼をする。


 たゆん。

 いや、これは不可抗力なんだ。

 男は揺れる物を見る習性があるとかテレビでも言ってたし。


歴木くぬぎさん、お疲れ様です。2人は来ていますか?」


「はい。先ほど来られましたので、お茶をお出ししております」


「ありがとうございます。ではコーラとコーヒーをホットで2つお願いします」


「承知致しました」


 美女がカウンターの奥にあるドアへ消える。


 早良さんが正面のドアを開けて、入るように促される。


 そこは機能的でありながら重厚感のある内装の部屋だった。


 サブマスと爺ちゃんが先に座っている。


「お疲れ様です。巧乃さんもご足労をおかけします」


「ああ、可愛い孫のためじゃからな」


 ニヤニヤしながら言うなよ。


「早良君、お疲れ様。朱鷺君も今日はヒノリが迷惑をかけたね」


「いえ。俺の方こそすみません。言い過ぎました」


「朱鷺君は悪くありません。ヒノリさんの認識不足を把握していなかった、ギルド側の落ち度です」


「その事はもういいじゃろ。とりあえず皆も座って落ち着け」


 奥の席を勧められて座る。

 丸に近い楕円のテーブルは、迷宮桜の一枚板で、凄い高いヤツだよ。


 社長が座ってそうな、高い背もたれの椅子は、迷宮黒牛の革だそう。


 俺がキョロキョロしてたからか、早良さんが教えてくれた。


「ここは、重役会議に使われる部屋です」


「そんなとこに、俺が入っても良いんですか?」


「朱鷺君は最重要人物ですからね」


「え?いつの間に、そんな事になったんですか?」


「何せ特例中の特例と言うべきスキルの持ち主ですから」


 その時ドアがノックされ、早良さんが返事をすると、先ほどの美女が飲み物を運んで来た。


「失礼致します」


 早良さん並みの美しい所作で飲み物を配ると、静かに一礼して出ていった。


 素晴らしいたゆんだった。


「さて先に蓮さんの職業を、確認しておきましょうか」


 鍵をかけた上に、サブマスに結界を張ってもらった早良さんのセリフに思い出す。

 まだ父さんの職業チェックが残ってたっけ。


 ガチャミを呼び出してスタンバイだ。


 爺ちゃんのを見た後なら、何が来ても大丈夫だと思ってたけど、そんな事はなかった。


 ガチャミに聞いた、ヤバい職業の一部を出すよ。


 ベヒモス 疫病神 阿修羅 悪鬼

 ベルフェゴール アスモデウス


 悪魔とか邪神的なのが多い。

 ランクAダンジョンで倒した事があるモンスターなんだとか。

 やっぱりステ値が高いから1~2日くらいは大丈夫らしいけど、使わない方がいいよ。


 お勧め職業も聞いた。


 刀聖 持国天 暗黒龍 竜殺しドラゴンスレイヤー

 魔獣殺しモンスターバスター 不動明王 マルス


 竜殺しと魔獣殺しは爺ちゃんもあった職業だよね。

 やっぱり精神力が高くてデメリットがないから、効果が高いのがお勧めだって。


 父さんも今の職業で問題ないから、変更しないってさ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る