第77話 お支払はカードで
「おはようございます。本日講師を勤める
俺が心技体の語源ってなんだろうと考えている間に、講師が入って来てたみたいだ。
「席にテキストがない人は手を上げて下さい」
テキストってこれだね。
パンフレットみたいな感じのカラー冊子だね。
パラパラ見てみると、ギルドとダンジョンについて説明してるようだ。
1人、2人なかった人が受け取ったのを確認したら、前方の照明が落とされて、ホワイトボードにテキストの表紙と同じ絵が映し出された。
プロジェクターが真ん中に設置されて、その前は机が置かれてなかったのは、このためだったんだな。
「では、まずはテキストの4ページを開いて下さい」
テキストを読み上げながら、ギルドのルールやダンジョンでの注意点などが説明される。
「…と、このようにダンジョン内では何があるかわかりません。事前に攻略するダンジョンについて調べるのも、探索者としての実力になります」
まぁ当たり前の事だな。
「さて、一旦ここで10分間休憩にします。手洗いに行きたい人は、エレベーターの隣かカフェにもありますので、ご利用下さい。それから、3階には絶対に行かないようにして下さい」
混みそうだから、カフェのトイレに行こうかな。
サッと立って、足早に出て行く。
名前のわからない元同クラ女子が、話かけたそうだったのを、うん俺は気付かなかったのだ。
スッキリしてから、カフェでお持ち帰り用のカフェオレを買う。
200円をギルドカードで払う。
カード払いをやると大人になった気分だな。
今のカード残高が100円だとしても。
ここのカフェはリーズナブルだよね。
利用者は中高生が多いからかな?
席に戻ると、周りがやけに騒めいている。
「…ホントに見たのか?」
「ホントだったら俺も見てみたい」
何だ?まぁ、俺には関係ないや。
カフェオレ旨い。
「僕も伝説のS級探索者を見たかった~」
ふごはぁっ!?
「ゲホッ、ゴホッ」
カフェオレを吹き出すのは堪えたが、逆流して気管に入ってしまった。
「八女君、大丈夫?」
ファッ!?余計な声をかけんなよ!
「八女?」
「え?まさかS級探索者の?」
「ゲホッ、大丈夫だから名前呼ぶなよ!」
小声で叫ぶ。
「あ、ゴメン。もしかして、お祖父さんも一緒に来てたの?」
コソッと聞いてるつもりだろうが、周りが静かになったから、聞こえるだろが!
「講師が入って来てるから、席についた方が良いよ」
ちょうど講師が見えたから、向こうへ行けと手を振る。
あ~思い出した。
同じクラスになった時に、爺ちゃんや父さんの事でゴチャゴチャ言われて無視してたヤツじゃん。
さっきは忘れてて返事したから、調子に乗ったみたいだな。
ホント空気読まないヤツは困るよな。
「え~講習を始める前に、残念なお知らせがあります。13番と14番は立って下さい」
何だ何だと皆が周りを見回す。
一部の人が同じ方向を見てるから、そいつらが呼ばれた番号の人だろう。
「ハイ!呼ばれた人は早く立って!」
講師がパンと手を叩くと、ノロノロと男子が2人立ち上がる。
「なんで呼ばれたか解りますか?」
「…わかりません」
1人が答えるが、もう1人は黙ったままだ。
「14番は返事がありませんが、どっちですか?」
「すみません」
「何に対しての"すみません"ですか?」
13番のヤツが14番を睨んでいる。
「わかりました。2人から先に言ってくれれば、今回は注意だけにするつもりでしたが、どうやら反省する意思がないようですね」
「では、お願いします」
さっきからドアの所にいた職員が2人に近付く。
「すみません!僕達は3階に上がりました!」
14番がいきなり叫んで頭を下げる。
「な、お前何言ってるんだよ!?俺は行ってないからな!」
「君、大人しくしないと余計に罰が重くなるよ?」
暴れる13番の腕を押さえて職員…いや早良さんが優しく諭す。
14番はもう1人の職員に大人しく付いて行った。
多分イケメンスマイルに何かを感じたんだろう、急に14番が大人しくなった。
「お騒がせしました。皆さん引き続き講習を頑張って下さいね」
ふんわり笑顔を残して去っていくイケメン。
こりゃ~惚れてまう人が続出するね!
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