第73話 勝手にレベリング
おはようございます、ただいま6時です。
昨日は疲れてたからグッスリだったよ。
一応、例の時計を使ってみた。
爽快かは兎も角、目が覚めるのは間違いない。
しかも音量設定で、登録した人にしか聞こえない様に出来る、ハイテク技術だったし。
カッコー、カッコーってリズムが、ノスタルジックな感じだね。
さて着替えて顔を洗うか。
ステータスでGPを確認しながら、洗面所へ向かう。
10連チャン1回出来るな。
とりあえずアイテムガチャに全部つぎ込む。
デイリーボーナスも回しておく。
結果は後でガチャミに聞くか。
冷たくなってきた水に、ブルッと身体を震わせながら、バシャバシャと洗う。
タオルで顔を拭いて、鏡の中の寝癖を見つけて手で撫で付ける。
ピョコリと跳ねておさまらない寝癖に諦める。
どうせ後でシャワーを浴びるから、いいか。
タオルを首にかけたまま道場に向かうと、既に爺ちゃん達は素振りをしていた。
「おはよう。爺ちゃん、父さん」
「「おはよう」」
軽く身体を解してから、ベルトに模造刀を提げて庭を走る。
身体が温まったら、素振りに入る。
レベルアップしたからか、昨日より身体が軽いな~。
丁寧に型をなぞっていく。
「朱鷺、何かスキル使っとるか?」
「え?何かって?」
ドキッとしたけど、自然な切り返しが出来たな。
「いや昨夜の素振りより、明らかに早くなっとるじゃろ」
「え~ホントに?」
レベルアップがバレたらヤバい。
「ああ、身体強化でもしとるか?」
「あ、そう言えば爺ちゃんとの打ち込みの後で、体術が生えたんだよ!それじゃないかな?」
そうだ体術も生えたんだった。
色々ありすぎて忘れてたわ~。
「そうか、体術なら力や速さが上がるからな」
「そうなんだ?自分じゃそこまで差があるように、思わなかったよ」
どうやら誤魔化せたみたい。
「親父、手合わせしてくれ」
そこに、高速素振りを終えた父さんがやってきた。
お、2人の手合わせは久々じゃない?
「いいぞ。久しぶりにやるか」
板張りの方へ行く2人を見送る。
とりあえず型の続きをしながら、見学するために向きを変える。
「こい」
「ああ」
一言だけで静かに向かい、ジリジリと密やかな攻防が始まる。
フッと微かな息の音を皮切りに、一転してギンギンと金属音が鳴り出す。
手元が全く見えない。
キシキシと床を踏みしめる音と、刀を合わせる金属音だけが、2人の手合わせの激しさを現している。
フッと父さんが後ろに下がって、刀を下ろす。
「有り難うございました」
刀を納めて一礼したから、手合わせは終わりみたいだ。
レベルアップしたし、体術もあるしで、ちょっとくらい見えるかもとか思った、自分が恥ずかしい。
残像の様な影がチラチラするだけで、何にもわからなかったよ。
でも、これでも制限をかけてるんだよね。
2人が本気を出したら、この辺一帯が廃墟になっちゃうもんね。
「まだ力が入っとる所があったな。昨日のダンジョンでレベルアップでもしたか?」
「やはり、親父には判るか。半年振りに上がったから、まだ調整が足りんかったな」
「父さんレベルアップしたの?おめでとう!」
「ああ、偶々イレギュラーに出くわしてな。モンブランを3個も落としたし、58階にして正解だったよ」
「へぇ~イレギュラーがモンブラン落としたんだ?ちなみにモンスターは何だったの?」
「エルダートレントだ」
それってトレントの上位種だよね?
普通は、モンブランより他のドロップの方が高く売れるから、そっちを目当てに倒すモンスターなのに、目的がぶれない父さんは凄いね。
「トレントの枝って柱にいいって言うよね」
「ああ、燃えにくいから火事にも強いし、しなやかなのに鉄骨より固いからな。道場にもエルダートレントを使っているぞ」
そうじゃなきゃ、2人の手合わせで床が抜けちゃうからね。
コンクリートも粉々になるから、土間もギガントゴーレムの土にドラゴンの骨粉を混ぜて固めてるもんね。
でも柔らかい足場で力を込めれないと、足場が壊れたら隙が出来るし、無駄な力がかかっている証拠なんだって。
庭や山で鍛練をするのは、そっちは普通の土や岩だから壊さずに技を出せるようにする為だってさ。
ブンブンと素振りを続けながら話をしてると、爺ちゃんから手合わせの指示が来た。
板張りの方へ行くと、模造刀じゃなく木刀を構えた爺ちゃんと向かい合う。
「こい」
「お願いします」
ウインドウが勝負するか聞いて来たから、Yesを意識する。
勝負を開始します。
さて、レベルアップと体術の効果はどんなものかな。
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作者よりお知らせ
ストックが少なくなってきたので、ここからは1日1話のペースになります。
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