第65話 現状維持でも過剰戦力

 ちょっと甘い空気になったけども、コホンと爺ちゃんが咳払いして戻った。


「ワシも他にも色々あるが、今の職業の、師範のままで良いと思っとる」


 今のままでも鬼強いからね!

 やっぱり色々な職業があるんだろうなぁ。


「俺も今のままでいい」


 父さんも現状維持を宣言する。


「パパの職業もカッコいいよね!」


 そうそう、父さんの将軍もカッコいいよね。


 前にパーティーメンバーからふざけて将軍って呼ばれてたら、いつの間にか職業になったとか言ってたけど。


 モンブラン~とかブツブツ言ってるガチャミに、ダメ元で将軍の条件とかを聞いてみた。


 どうやら判明している職業なら、ガチャミは説明出来るようだ。


 将軍の条件は、同系統の部下がいる事と指揮系スキルがある事の他は言えない、指揮をするとお互いの能力が上がる、部下に下位職がいたら更にアップする。


 周りの認識で出たんじゃないんだ?

 その他の条件が気になるが…


 下位職って何だよと聞いたら、侍とか足軽とか~?って疑問系かよ。


 爺ちゃんの師範については実際の肩書きのようなので、特別な条件なんかはないみたい。


 早良さんが質問した時より少し情報が多いから、ガチャミにその辺を聞いてみた。


『だって~朱鷺以外の人はアーカイブに関わる権利がないから~聞いたら記憶が消えちゃうよ~』


 なんですと?!

 職業の条件とかもアーカイブ関連なのか…


「ちょっと朱鷺!またボーッとして聞いてなかったの?!」


「あぁゴメン。職業について考えてたから、聞いてなかった」


 嘘じゃないよ。


「もう!朱鷺の職業は何にしたのかって話よ!」


 どう答えるか…


「勝負師だよ」


 まぁ、幸運があるなら不自然じゃないよね。


「ププッ何それ~」


 人の職業を笑うなよ!

 俺も姉ちゃんの職業を笑わなかっただろ。


「なんだよ!姉ちゃんだって言わなかったけど、けん玉士とか出てるんじゃないのかよ?」


 ピキッと固まった姉を見て、図星かよと思わず呟く。


「な、な、な、何言ってるのよ!違うよ!そんなのないからね!」


 その態度でバレてるよ。


 勝負師とか博打でもするのとか、けん玉先生になればとか言い合ってワチャワチャしてたら、母さんのストップが入りました。


「もういい加減にしなさい。光も人の職業を笑うとかダメだし、朱鷺もお姉ちゃんが気にしてる事を言わないの」


「「は~い」」


 よい子の返事で休戦する。

 じゃれてただけだし。


「そうだ、父さん。今日サブマスに連絡してくれたんだって?」


「ああ、ギルドに連絡する時に、アイツにもしておいた方が良い気がしてな」


 やっぱり直感だけで、連絡してたんだ。


「そうなんだ。俺あの人の事をすっかり忘れてたんだけど、前に父さんのパーティーにいたんだよね?」


「何々?パパってサブマスと知り合いなの?朱鷺も知ってるの?」


「ああ、9年くらい前に父さんのパーティーにいた大牟田って人だよ。光も知ってるんじゃないか?」


 あ、そうそう。

 サブマスは大牟田さんて名前だった。


「姉ちゃんは覚えてる?あのツルピーだよ」


「ツルピー?……何だっけ?ツルツル頭の?ええ!?ツルピーがサブマスなの?」


 メッチャ驚いてるな。

 まぁ、きっと本人を見てもサブマスとは思わないだろうなぁ…


「朱鷺は大牟田君の事を思い出したのか?」


 父さんに聞かれて、顔を見て話してる内に、思い出したんだよと伝える。


 ちょっと考えてるような様子に気になったけど、姉ちゃんに話しかけられて、ツルピーの事を教える。


 ツルピーの髪がフサフサで、もはやツルピーじゃなかったとか、でも八の字眉毛は健在だったとか、姉ちゃんと2人で盛り上がる。


「ほら2人とも、そろそろギルドの記者会見が始まるわよ」


 いつの間にか8時になってた。


 テレビには、ギルドの広報担当らしき人がお辞儀をしながら、マイクの前に座るところが映っている。


 それから両隣にお偉いさんっぽい人と、弁護士っぽい雰囲気の人が座った。


 いよいよギルドの記者会見が始まる。

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