第20話 結構たまってますね
「ええと、とりあえず今起きていることについてはなんとなく理解しました。あっちの部屋は契約解除の手続きを進めることにしますので、これからどうぞよろしくお願いします。」
「家具付きのワンルームだったら、そんなに持ってくるものは多くないですよね。私がちまちま運んでもいいのですが、服とかはオジサンに触られたくないでしょうから面近さん達が手の空いてるときに協力していただきましょう。」
「私は全然構いませんよ。寧ろ下着とかも全部見てほしいくらいです。気に入ったのあったら言ってくださいね。着けてお見せしますから。うふ。」
「多田さん、こんな発情期の女の下着なんか見ちゃダメですからね。私が今日帰ってきてから運びますから多田さんは汚らわしいものに触っちゃダメですからね。」
「恵理ちゃん。私、今日非番だから手伝ってるわ。安心して大学行ってらっしゃい。」
「助かります、奈美さん。多田さんを魔の手から護ってくださいね。」
「はいはい。でも大学も普通じゃないと思うから気をつけてね。」
「そうですね。今のところは休講のお知らせは来てないんですけどね。多田さん、休講になったら私の下着姿をお見せするのでこんな女の下着姿で目を汚しちゃダメですよ。」
面近さんが可愛くウインクして部屋を出て行った。
はぁ、この疲労感はなんだろう。
「あの子、おもしろいです。ふふっ。」
「あんまり揶揄わないであげてね。結構本気みたいだから。」
「あら、私だって本気ですよ。いい勝負ができそうです。」
どっちがオジサンをうまく揶揄えるかの勝負なら止めていただきたい。
「それじゃあ着替えもしたいでしょうし、先に伴さんの部屋に行きましょうか。樋渡さん、必要な情報聞いておいていただけますか。」
とりあえず必要になりそうなものの場所を聞き出してもらい、伴さんの部屋に取りに行くことにした。
伴さんはあちらの契約の解除手続きをするにはまだ時間が早かったので営業時間になるのを待ってる間に自分のスキルの検証をしてもらうことにした。
というのも彼女のスキルは「息吹」というよく分からないものだったから。
そして私と樋渡さんは獣人賃貸へとやって来た。
部屋の鍵は昨晩みたいに自動で開くかもしれないが、入り口のオートロックを開ける用に伴さんから抜かりなく鍵を預かってきた。
「ふーん、もうここの住人は人じゃなくなったんですね。私の「治癒」で治せればよかったのに。」
「レベルが上がれば治せるかもしれませんが、今のところは無理でしょうね。まず、大人しく触らせてくれないですからね。」
「お気の毒ですが仕方ないですね。」
オートロックを解除して中に入るが昨晩のようにそこに獣人はいない。
階段を使うような知能がないのかもしれない。
それなら二階の無限ループは結構続くかも。
この時点で既にポイントは一万を軽く超えていた。
昨晩と同じように階段で二階に上がると絶賛無限ループが繰り返されていた。
ガーゴイルはうまくタイミングを調節しながら一体ずつ止めを刺している。
お主、やるな。
ガーゴイルの邪魔をしないようにタイミングを見計らって伴さんの部屋に滑り込む。
「獣人、迫力ありましたね。あれは元気な状態ではとても触れないです。爪や牙の餌食になるのが関の山ですね。」
「ですね。部屋の中には今のところ危険はなさそうですが油断しないでくださいね。」
樋渡さんが、伴さんから聞いてきたものをクローゼットの中にあったバッグに手早く詰め始める。
私は念のために周りを警戒する。
女性の部屋をじろじろ見るのは問題がありそうだが仕方ない。
壁にはアイドルではなくて、平成ライダー初期の作品に出ていた俳優さんとかのポスターが貼られている。
こういうのが好きなんだとか思っていると、樋渡さんが声をかけてくる。
「多田さんはちなみにどっちが好みですか。」
伴さんのブラジャーを二つほど服の上から自分の胸にあてながら訊いてくるので反射的に目をそらしてしまった。
全く何してるんですか。
「新しい子には言わないから大丈夫ですよ。個人的に知っておきたいだけなので。(恵理ちゃんにこっそり教えるだけですとは言えません)」
「樋渡さんが私の好み知ってどうするんですか。オジサン揶揄うのがそんなに流行ってるんですか?」
「いいじゃないですか。じゃあせめて色は?黒?赤?やっぱり白?」
「答えませんよ。」
「あーあ、残念。(恵理ちゃん、申し訳ない。聞き出せなかったよ)」
なんとかいくつかのバッグに服や生活用品を詰め込むことができたのでそれを持って部屋を後にしようとする。
さすがに手に持てるだけのものだとそんなに多くは運べないよね。
ゲームとかよくあるアニメのように異次元収納とか使えたらいいんだけどね。
『ポイントの累計が一万を超えたのでポイント交換の一覧に異次元収納が追加されています。』
「はい?」
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