140字小説「来て。」

秋錆 融華

来て。

私はアイツの嘘を知っている


空っぽな自分に価値を与えるために私の父母を殺し、人間の親を演じていること

途中で情が芽生えたのか、布団の中で涙を流して謝っていたこと


私はアイツの愛を知っている

正体を知っている


相対する『母』が醜く歪む

涙を拭い、包丁を握る手に力を込めた


『来て。』

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140字小説「来て。」 秋錆 融華 @Qrulogy_who_ring

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