第1話

狭い廊下を歩き、階段を登る。

階段を登った先の廊下の一番奥の部屋に入る。

ひと十人程の小さな部屋。

部屋の隅のベットに少女が寝転んでいた。

少女は私の義姉のシデラ姉様だ。

シデラは私に気づくと、小さなかすれた声を出す。

「テ、ラー…?見舞いに…来て…っくれたの…ね…。嬉しいわ……。…もうっ体が…限界…みたいなの。」

私の名前はアメリア・グレ二ーでシデラの

言っているテラーというのはシデラの婚約者だ。

間違われるなんて…悲しいな、と思いながらシデラに歩み寄る。

シデラは、三年前から謎の病にかかっている。

いくら薬を飲んでも治らないし、かといって

魔力持ちの魔法使いに治してもらうのも

大金が必要になる。(魔力持ちでも必ず魔法使いとは限らない。)

とてもじゃないが、払えない。


──母が死んで、義母と義姉ができた。

二人共、良くしてくれたし大切にしてくれた。

シデラに、死んで欲しくない…。

そう思う私は自分の道をシデラに伝える。

「シデラ姉様…。私、魔法使いになろうと思う。」

丁寧にそう言うと、シデラは驚いた顔になる。

「テラー…、は 魔力持ち…、…だった、か しらっ…。それに…、っ姉様って、…。ふふ。」

そうだ。私のことをテラーと勘違いしているんだ。

「間違えちゃった…。アメリアが、魔法使いになるんだ。」

「アメリアが…?」

シデラが驚くのも無理はないと思う。

私は今まで魔法使いになるのを拒んできた。

それがいきなり魔法使いになるというのだ。

「そう。魔法使いになって、治癒を専門にしてシデラの病気を治すんだって…。」

理由を述べると、シデラは少し顔を傾け呟いた。

「……そう。…」

そこから会話はなくなった…。


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