第8話 我儘放題の駄目女、リリーに捕まる!
「え!? 隠しキャラでゲットできるのがライカ何ですか?」
「と、発売されたゲームでは言われていたな。妹がライカにハマって必死に攻略していたのを覚えている」
なんでも、私の死後発売された『リリーは何があっても諦めない!』のゲームでは、ライカは隠しキャラだったようだ。
ノザンと仲良くなって、フランドルフ伯爵家に遊びに行くというのを根気強く何度もしていると、低確率で俺が出てくるらしい。
そこでリリーはノザンの事で悩んでいるライカと仲良くなると、愛情の重いライカはノザンからリリーを奪い、ライカはノザンを廃嫡に追い込んでリリーと結ばれハッピーエンド。
――と言うモノがあるのだと、ローザンヌ様の家にお呼ばれして庭先でお茶をしているとそんな会話になって行ったのだけど……。
「でも、私リリーに対しては生理的嫌悪感の方が強いんですよね」
「うむ、だから俺としても安心はしているんだが……俺と君が婚約した話を聞いたリリーは大いに狼狽え一週間学園を休んでいると聞いている。注意に越したことはないだろう」
「でも、愚兄はリリーと手を切ったと聞いています。今日は必死に頼み込んでリリーが家に来ているそうなので思わずローザンヌに会いに来たんですが」
「こっちに来て正解だ。会えるのも低確率のキャラらしいからな」
「そうなんですね。でも毎回来られるとウザったいな」
「学園でも接触はしてこようとするだろう、油断はするな」
「油断はしたくないですが、あの女ならどこでにでも沸いてくるG並みに出てきそうです」
「はははは。昼ならば俺と一緒にAランクしか吐いてないサロンで食事が出来るが、それ以外だと難しいだろう。それでロディに護衛を頼んでいる。君は絶対に一人になるんじゃないぞ」
「はい!」
こうして美味しい紅茶を飲みつつも、俺は「あれ?」と口にする。
違和感を覚えたからだ。
「もしかして、リリーも転生者だったりしません?」
「恐らくな」
「最悪ですね。ゲームのシナリオ通りに動くと思っていたら動かないから焦ってるんでしょうが」
「そもそもローザンヌとライカは接点すら持たないからな。その上で婚約と言う形を取っている今は幸せだが、横やりを入れてくる可能性は否定出来ない」
「面倒くさいなぁ……でも、こっちも転生者であることは伏せたほうがいいですよね」
「そうだな……」
そう言ってお互い紅茶を飲み溜息を吐くと、それから日曜の度に毎回リリーが我が家に突撃して来ることになり、その度に私はローザンヌの元へと逃げた。
両親と祖父母もそれらを理解する頃、屋敷でノザンとリリーが大喧嘩したらしい。
「ライカ目当てで一々来るな!! ライカはお前の事を生理的嫌悪感から会いたくないとフォルデア公爵家に毎週行ってるんだぞ!」
「またローザンヌの所なの!? 何で私とは会ってくれないのよ!! 私の何がいけないのよ!!」
と、両親と祖父母の前で喧嘩になったらしく、リリーは我が家を出禁になったそうだ。
これにはホッと安堵したが、我が家を出禁になったのなら学園で何かを仕掛けて来る筈。
その事をローザンヌ様に伝えると、「俺達が如何にラブラブか見せつけてやるか?」と言われ赤面する。
「それは……良いんでしょうか?」
「ああ、俺は一向に構わない。君を膝に抱きイチャイチャするのも一興だと思ってる」
「もう、嬉しい申し出ですが、私は男の身体なので好きな女性にそうされるとその……自分の思いとは裏腹にモゾモゾするんです」
「下半身が? 愛らしいな」
「ローザンヌ様?」
「いっそ俺が卒業すると同時に結婚するか? 学園ではそういうのも多いだろう?」
「籍だけ先に入れちゃうって奴ですね」
「ああ、俺はそっちの方が安心する」
「ローザンヌがそれを望むのでしたら……はい、よろしくお願いしたいです」
「愛いな……そんなに顔を赤らめて。良かったら俺の部屋に来てベッドで続きでも……」
「は、破廉恥です!」
思わず股間を握りしめて伝えると絶対的王者の笑顔で私を見つめてくる。
くう……この体不便だわ!!
そう思っていると頭をポンポンとされて顔を上げると、「そそられるな」と言われて更に赤面する。
「まぁそういう続きはまた今度にでも。まずは俺が卒業した暁には籍だけでも入れる。これは両親に話しをして打診して貰おうかと思っている。この数か月毎回休みの度に会いに来ていたこともあり、ローザンヌの両親は是非にとなり、我が家も「そこまで愛し合っているのなら文句すらない」と、ローザンヌの卒業を待って入籍する事が決まった。
これもまた誰が話をしたのかあっと言う間に学園に広がり、余りにも熱烈に愛し合っているのだと周囲は驚きながらも祝福してくれる人、ローザンヌに嫉妬する人、涙を流す人と種類が居たが、概ね祝福された。
そんなある日――移動教室の際に肩を掴まれて転倒。
ロディは俺を倒した相手を睨みつけているが、一体誰が――と後ろを振り返ると、そこにはリリーが立っていた。
思わず「ヒッ」と悲鳴を上げたが、ロディが俺とリリーの間に入ってくれた。
「何か御用でしょうか?」
「アンタに用は無いわ。ライカに用があるの」
「すみませんが俺達は次の授業があるので」
「授業より私を優先しなさいよ!!」
うわ、うわ、うわ――!!
我儘放題の駄目女!!
その言葉がうっかり口から出そうになり、ロディの後ろに逃げた。
「すみませんが、俺達は【学業を優先したい】ので【貴方様のように男漁りしか能がない】人と話す時間すらも惜しいんです」
「何よ、こっちは先輩よ!?」
「ランクは? 無論Aですよね?」
「ランクなんて関係ないでしょう!?」
「関係ありますよ。俺とライカはAランク。底辺とは付き合わないようにしてるんです」
「て、底辺ですって!? 第一王子が聞いたら許さない侮辱罪だわ!!」
「それはどうでしょうか?」
ふっと優しい声が聞こえ、やってきたのは同じAクラスの第二王子――セシル・グレンダイザー様だった。
セシル様は俺に「怪我は無いかい?」と聞かれ、滅多に話をする事が無かった為「はい」と答えるとニッコリと笑顔を見せた。
「随分と好き勝手しているようですが、城でも貴女の噂を耳にしますよ。兄上をたぶらかした【毒婦】だと」
「なっ」
「そもそも婚約者のいる、ましてや結婚を約束している男性に対して執拗なまでの執着は~……貴方、脳の病気ですか? テリサバース教会で治して頂いたらどうです? その下半身の病気もついでに」
ニッコリ穏やかに語ったセシル様に対し、リリーは渾身の力でセシル様を殴り逃走。
口から血を流すセシル様に周囲は悲鳴を上げ、「ライカとロディ保健室に着いてきてくれる?」と言われバクバク心臓をさせながら着いてくこととなった――。
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