第24話:お父さんのため息。

ジェラートは誘拐以前の記憶は飛んでいて気がついたらあいつらの組織に

運ばれていたんだそうだ。


ちょうどお父さんがシャーベットを家に連れて帰ったあと少し遅れてやつらが

来たらしい。

未知太郎がバッドピープルに人質として拉致された事件のあと、お父さんの

勤めていたロボットの製造会社は経営不振のため閉鎖された。


シャーベットはジェラートが同時期に生まれたとしたら弟と言うより

兄である可能性だってあるわけでジェラートが自分の弟だと言ったのは

たぶん見た目で判断してのことだろう。


ジェラートは未知太郎と体格がそう変わらなかったがジェラートのほうが

未知太郎より幼く見えた。

だから自然にジェラートは弟的位置に置かれた。


実際の所ロボットには年齢などないんだから・・・。


ジェラートは順応性に長けていてはすぐに此先家のみんなと仲良くなった。

そして自分に家族ができて味わったことのない幸せを感じていた。

ロボットだけど、そういう感情はちゃんと持っていた。


ロボットにもついに感情が芽生えた。

もはや人類とは違う新人類・・・ニュータイプと言えただろう。


未来において人類に変わってアンドロイドやロボットが地球を支配して

いるかもしれない。

もしそんなことがあったとしても、それはまだまだ遠い未来の話・・・。


今の話に戻そう・・・。


此先家にほんとの意味での平和が戻ってきた。

平和すぎて平和ボケしそうだった。

たぶん、おそらくシャーベトはもうどこからの狙われないと思う。


でも、まだ分からない。

だがもしまた誰かがシャーベットを狙って来ても今度はジェラートが

いるからね、頼もしい味方ができたわけだ。


お父さんは、みんなが乗って帰ってきた庭にいるデカブツを見て

ため息をついた。


ベリアルは庭の中を、独り言を言いながら行ったり来たり、せっかくの

芝生がボロボロになっていた。


「これをどうしたもんかね?」

「さすがに私はあれには乗れんな」

「これはシャーベットと未知太郎が空の夜のデートにしか使ってないし・・・

困ったもんだ」


気づかないうちにお父さんのそばに来ていた未知太郎が言った。


「一応AI搭載してるからナビも付いてるし・・・行き先を言うだけで

行ってくれるから便利だよ・・」


「いやいや・・私は普通に車があるから」

「それに、あんなので買い物に行ったら警察に通報されるよ」


「あ〜そうかもね」

「面倒なことになるかも〜・・・」

「じゃ〜ベリアルは庭のオブジェって言うことで・・・」


お父さんはまたため息をついた。

まあ、此先家になにかあったらベリアルが守ってくれるだろう。


でもこんなのがいたら宅配便のお兄さんもビビッて帰ってしまいそうだった。


とぅ〜び〜こんて乳。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る