第12話:天使は舞い降りたり。

「シャーベットが行っちゃった・・・」


未知太郎はただ核ミサイルを破壊しに行ったシャーベットの無事を祈る

しかなかった。


「シャーベットどうやってミサイルを壊すつもりなんだろう?」


シャーベットは発射されたミサイルに向かって飛んでいた。

飛びながら自分の体の中にある核爆弾を取り出した。

それは円筒形をしていてウォーターボトルくらいの大きさだった。

金属ならどこにでも磁石のようにくっつく仕組みになっていた。


シャーベットは核爆弾を持って発射されたミサイルのスピードに

合わせて減速した。

ミサイルとほぼ同じスピードになったシャーベットは・・・


「いかなる自由にもまして、良心の命じるままに知り、語り、論ずることの

できる自由をわれに与えたまえ」


そう言って自分の持っている核爆弾をミサイルにセットした。

そして、できるだけ急いで遠ざかった。


この模様はきっと某国も衛星を通じて映像で見ているはず。


「でもこれで日本の自衛隊が出動するだろうから、きっと二度目のミサイルは

発射することなく潜水艦は引き上げていくだろうとシャーベットは思った。

二度目を発射した時点で、あれは後発射だったと言い訳ができなくなるからだ。


シャーベットは遠隔操作でミサイルを破壊するつもりだった。

しかし早くしないとミサイルが地上に達してからでは遅すぎる。


「でもいま、遠隔のスイッチを押したら爆発の巻き添えを喰うよね・・・」

「でもミッチーやお父さんや街のみんなを守らないと・・・」

「間に合えばいいけど・・・」


そう思ってシャーベットは遠隔装置のスイッチを押した。


と同時にミサイルは眩しい光を放って爆発した。

その炎と爆風がシャーベットにも降り注いだ。


空気のない宇宙での爆発だったので光はすぐに消滅したがシャーベットは

無事だったのか?


未知太郎からもミサイルが爆発した模様が見えていた。

地上で祈るような気持ちで空を見上げていた未知太郎は気が気でなかった。


だがいつまで待ってもシャーベットは降りてこない・・・。

未知太郎の瞳から涙があふれた。


「シャーベットは僕らを守るために自分を犠牲にしたんだ」

「なんでこんなことになるんだよ?」

「誰も悪くないのに・・・みんな平和に暮らしてるのに・・・」


「帰ってきてよシャーベット・・・」

「帰ってきて・・・お願い」


空には太陽の日差しだけが変わらず眩しく輝いていた。

未知太郎は空を見上げて涙をぬぐった。


すると上空から太陽の光を背に真っ白に輝く人の姿が見えた・・・?


未知太郎にはそれが、まるで背中に羽が生えた天使に見えた。

その天使はゆっく未知太郎の前に降り立った。


「シャーベット」


「ただいま・・・ミッチー」


「生きてた・・・生きてたんだねシャーベット」


未知太郎は思わずシャーベットに抱きついていた。

シャーベットはどうやらミサイルの爆発から危機一髪まぬがれたようだった。


「自衛隊の無線によると某国の原潜は早々に引き上げて行ったって」

「だからもう大丈夫だよミッチー」


「大丈夫って?なんでそんなこと言えるの?」


「某国も利益のない無駄な行為は避けたいでしょうからね」

「私の体の中に核爆弾はなくなった以上もう脅威は去ったでしょうからね」


とぅ〜び〜こんて乳。

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