第11話:私の無事を祈ってて。

ある日、シャーベットと未知太郎は話をしながら仲良く洗濯物を干していた。

雲ひとつないいい天気・・・洗濯日和

暖かい日差し、心地いい風・・・。


未知太郎はシャーベットと過ごすこんな日が好きだった。


「こう言う平和な毎日がずっと続くといいな・・・」


未知太郎はそう言いながらシャーベットを見た・・・が・・・さっきまで

穏やかな表情だったシャーベットの顔から笑顔が消えていた。

洗濯物を持ったまま動きを止めて目をつぶったまま立っていた。


「シャーベトどうした?」


「恐ろしいことが起ころうとしてるみたい・・・」


最初にアジア人のふたり組が来た時からシャーベットは自衛隊の無線を

ずっと傍受していた。


「なに恐ろしいことって?・・・」


「某国の潜水艦が日本の領海近郊に現れたそうよ」

「当然ミサイルを搭載してるでしょう」


「それってどういうことなの?」


「私はこれを恐れていたの」

「もしかしたらだけどミサイルが発射されるかもしれない・・・」


「なんだって?」


「私がどこかの国に奪われることを恐れて抹消しようと某国が最後の手段に

でたのかもしれない・・・」

「私もろとも、すべてを消し去ろうという魂胆かも・・・」


「私がどこかの国に奪われるか雇われたとしたら世界にとっての驚異でしか

ないでしょ? 」

「それなら抹消すべきよね・・・それも、どこかの国の正義だとしたら」


「え?どう言うこと?・・・シャーベットこれから何が起きるって言うんだ?」


「ミッチー例のふたり組の言葉を思い出して?」


《できるなら、すみやかにここを避難したほうがいいです、とだけ申し上げて

おきましょう》

《では、ごきげんよう・・・もう2度とお目にかかることはないと思いますから

安心してください》


「って彼らは言ったのよ」

「分かるわよねこの意味・・・よく聞いてミッチー、某国はこの地域一帯を

私ごとミサイルで消し去ろうとしてるの・・・」


「ま、まじで?」


「いまから逃げても、たぶん間に合わないね・・・」

「潜水艦がそこまで来てるって言うことはミサイルの打ち上げはもう秒読み

段階だって思うの」


「彼らの目標は私ひとり」

「卑怯にも私ひとりのために多くの日本人を犠牲にしようとしてる 」

「一蓮托生ってことね・・・愚かな愚行なのに・・・」


「なんとかならないの?」

「日本政府は、そんな暴挙止められないのか?」

「そうだミサイルが発射されても今の日本なら打ち落とせるんだよね」


「それは発射する時間が分かっていればの話よ」

「発射されたあとで慌ててミサイルを狙って撃っても間に合わないと思うんだ」

「予告なく潜水艦からミサイルが発射されたらどうしようもないの 」

「ただ発射されるミサイルが一発なら私でもなんとかなると思う」


「私でもって・・・どうしようっての?シャーベット?」


「ミッチー・・・私、ミッチーやお父さんさんやそれに市民のみなさんを

守るため行ってくる」


「行って来るって?・・・どこへ?」

「ミサイルが発射されたら、すぐにぶっ壊しに行っちゃう」


「うそ・・・まじで?、そんなこと・・・でもさ某国がむやみに核ミサイル

なんか発射したら国際問題になっちゃうだろ?」


「きっと核ミサイルを発射しておいてから、あれは誤作動だったって

言うでしょ?」

「一発だけなら、なんとでも理由を作って誤魔化してくるよ」

「まあ、それが問題になったとしても私を抹消するためだったって言えば、

ミサイルを発射したことへの言い訳にはなるでしょ」


「もしミサイルが発射されたら現段階では私しかミサイルを止めることは

できないんだよ、ミッチー」


「止めるってどうやって?」


「きっともう秒読み段階だと思うから、いつ発射されてもおかしくない・・・」

「ただ私の速さならミサイルを阻止できると思うんだ」


「シャーベットの速さ?・・・空を飛べるって言ってた、あれ?」


「私はパトリオットなんかより早く飛べるんだよ」


「ミッチー・・・」


「どうやら今、ミサイルが発射されたみたい・・・」

「万が一にも間に合わないといけないから私、行って来るね」


そう言うとシャーベットはミッチーに駆け寄って枯れのほほにキスをした。


「ミッチー、そこから動かないでね」


シャーベットはそう言って未知太郎から離れると・・・いきなりスーツが

現れて最初に未知太郎の家に来た時に姿になると、もう一段階変身した。

見たことにないめちゃカッコいいスーツ。


「ああ、これがシャーベットの言ってたバトルスーツ?」


「じゃ〜行ってくる」

「私の無事を祈ってて・・・ミッチー」


するとシャーベットの背中の噴射口のようなものが伸びてカタパルトのような

ものが現れた・・・そして足も縦に割れたかと思うと背中と同じようなカタパルト

が現れて肩と足からジェット機みたいな炎を噴射したかと思うと、一気に空に

舞い上がって行った。


未知太郎はあっけにとられて、ただただその信じられない光景を見ている

しかなかった。


「シャーベット・・・・」


いつもの穏やかで優しいシャーベットからは想像すらできない行動だった。


つう〜び〜こんて乳。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る