二十三杯目 引っ越し

「レドさん、ココアお待たせいたしました!」


「ありがとう。ここのココアは初めてだな…」


そう言って、ココアを啜った。

サヤは固唾を飲みながら、レドの感想を聞くため待機。


「うん…サヤの淹れる飲み物は、全部美味い…ココアも格別だ。」


「ありがとうございます!お代わりの時、呼んでくださいね!」


笑顔で返すサヤに、レドも微笑んだ。


「サヤちゃん!注文頼むよ!」


「はい、今行きま~す!ではレドさん、また後で!」


サヤが行ったところで、レドは執筆活動に勤しむ。

カフェも、だんだん混んでくる時間帯に。


厨房を行き来するサヤを、少し遠くから眺める。


「サヤがいるとモチベーションになるな…よし、俺も頑張らないと!」


それから何時間か経ち、カフェも少し落ち着く時間になると…


「サヤ、ココアのお代わり。」


「レドさん、お代わり五杯目ですよ?ちょっと飲み過ぎじゃ…」


もう五杯目のお代わりをするレドと、それを心配するサヤの姿が。


「あいたた…腰が痛くなってきた。」


ずっと座っていたレドは、腰を痛めた様だ。

レドの腰をさすり、少しでも痛みが緩和されるよう促す。


「今日はもう帰って、体を休めてください。仕事し過ぎですよ。」


「申し訳ないが、そうさせてもらうよ…」


そう言うと、レドは立ち上がり会計をする。


「はい、お金受け取りました!」


「悪いな…今日は自分の家に?」


「そうですね…レドさん、メールやってます?それなら連絡取れますよ!」


二人は連絡先を交換して、その日は解散した。

サヤは自分のマンションに帰る途中。


「ふぅ…今日も何とか終わった~。本当はレドさんと一緒にいたいけど…」


少し寂しい胸の内。

そこで、サヤは一緒に住むことを考えてみる。


「私はすごい幸せだけど、レドさんはどうなんだろ?」


家に着いてから、自分が同棲に前向きなことを伝えた。


「レドさん、同棲の件です。私は前向きに考えているのですが、レドさんはどうですか?」


そう送ると、すぐに返信が来た。


「本当か?俺はいつでも大丈夫だから、引っ越しの準備を進めよう。」


「ありがとうございます!家にはものがほとんどないので、準備というほどのことはしないかもです。」


サヤの家には、電子レンジとベッド、コーヒーの粉などしかないため、準備はほとんど必要ない。


ご飯はコンビニで済ませているので、それでも生活可能という訳だ。

その分、料理の腕は小学生にも劣るが…


「なら、近いうちに引っ越しできそうですね!」


「明日でもいいんだぞ?」


レドは軽く冗談を言ったつもりだったのだが…


「いいですね!近々、大家さんに退去のこと話してみます。では寝ます!」


そのまま、サヤは眠りについてしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る