二十一杯目 何時

カチャカチャ…


「はい!ブラックコーヒー、お待たせしました~。」


「ありがとう…そういえば、仕事は大丈夫なのか?」


飲んでいたコーヒーを吹き出しそうな勢いで、サヤは慌て出す。


「え!?い…今何時ですか…?」


「まだ7時だが…」


「ふぅ…危なかった…これ飲んだら、家戻りますね。」


二人でソファーに腰かけて、一緒にコーヒーを飲む…束の間の休息タイムだ。

ほっと一息吐いた時、なにかを思い出したサヤ。


「あ…言ってませんでしたが…お風呂、ありがとうございました!」


「いや、当然のことだよ。それより、このコーヒーの方が断然価値がある…うん、美味い…」


そう言うと、少し恥ずかしそうにサヤは微笑んだ。


「えへへ…レドさんがそう言ってくれるなら、毎日コーヒー煎れちゃいますよ!」


「…一緒に住むか?」


再び、コーヒーを吹き出しそうになった。

少し怒った顔で、サヤは仕度を始める。


「ん…もう行くのか?」


「レドさんのせいです!またドキドキさせて…」


「???」


「じゃあ行ってきます~!」


パタンッ…


レドは何のことだか、全然わかっていない。

飲み終わったコーヒーカップを洗い、執筆作業に入る。

カフェのオープン時間まで、あと一時間半。それまでお仕事という訳だ。


「ここの伏線回収を、この章で済ませて…そうしたらここで辻褄が合うな。」


サヤのコーヒーを飲んだからか、今日は頭が冴えている様だ。

仕事もサクサク進み、気づいたら八時半に。


「よし、カフェに行くか。それにしても…何で怒ってたんだ…?」


レドも仕度を始めたのだった…

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