二十杯目 朝ごはん
「…朝か…?少し肌寒い。今日は厚着しよう…」
横を向くと、サヤが眠っていた。
二人はあの後、互いの愛を確かめ合いお疲れの様子。
「俺も初めて卒業…もう少し、欲を出してもいいのか?いや、迫りすぎて嫌われたら嫌だし…」
しかし、昨日のこともあるのでもう少し積極的に行こう…そう決めた。
タンスの上にあるサングラスを取り、サヤに声をかけた。
「サヤ…朝ごはん作るけど…」
「むにゃむにゃ…レドさん…」
「起こさない方がいいか。ぐっすり眠れてるんだし。」
起こさない様、そっとベッドから立ち上がりキッチンに向かおうとしたが…
あることに気がつく。
「あ…俺、服着てなかったのか…そりゃ寒いよな…」
上下一枚ずつだったので、着替えたあとサヤに布団をかけ、キッチンに向かった。
「今日はトーストにするか。マーガリンと…」
冷蔵庫から食材を取り出す。
ツルッ
マーガリンが手から滑り落ちた。
(ヤバい…サヤが起きないように受け止めないと!)
とっさにしゃがみこんだその時…
ガシャンッ
頭をカウンターに打ち付けてしまった。
かなり鈍い音が出て、おでこに激痛が走った。思わず手で押さえる。
「痛っっだ…!!サヤ、起きちゃったかな…」
ゆっくり立ち上がり、ベッドの方を見る。
「すやぁ…」
「良かった…起きてなくて…」
サヤは眠りに入るとまったく起きないタイプらしい。
トースターに食パンを入れて、タイマーをセットする。
「これでよし。コーヒーは…サヤに任せようかな。」
サヤとは対照的に、レドはコーヒーを煎れるのが得意ではない。
すぐに粉の分量を間違えたり、お湯を入れすぎたり…とにかく苦手なのだ。
「サヤ、そろそろご飯だぞ。起きろ。」
「ふぇっ…レドさん?」
寝ぼけている様で、目を擦っている。
「…あれ…私、昨日…」
昨日の事を思いだし、顔を赤くする。
「見ないでください!!恥ずかしくて死んじゃいます~!!」
レドに背を向けて、枕に顔を埋める。
「ちょっ…サヤ!?何して…」
すると、レドは急いで顔を反らした。
隠れることに精一杯なサヤ。
「見ての通りですよ!恥ずかしいので顔を…」
「じゃなくて!パンツ丸見え…」
「…え?」
自分の格好を見てみると、下着二枚しか着ておらず…レドにはお尻を向けている。
「やだ!!レドさんごめんなさい…コ…コーヒー煎れます?」
「あ…ああ、お願いするよ…」
「ワンピース着ちゃうので、ちょっと待ってください…」
なんとか話題を変えることに成功して、ワンピースを着てからキッチンに向かった。
「ブラックでいいですか?」
「それでも大丈夫か?」
「もちろんですよ~!今煎れますからね…」
サヤはお湯を沸かし、コーヒーを煎れた…
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