十八杯目 聞き間違い

「レドさんには、改めて感謝しないとな…」


サヤは洗面所で服を脱いで、お風呂に入る準備中。

レドはリビングで一人、『大好き』の言葉にデレデレしていた。


「洗濯ネットに入れて…これでよし!」


服を脱ぎ終え、浴室に入る。


「わ…広い…!聞いちゃいけないけど、家賃いくらなんだろう…?」


サヤがゆっくりお風呂に浸かっている間、レドは…


「………………………」


シャッシャッ…シャッシャッ…


黙々と、絵を描いていた。

というより、さっきの言葉のことをずっと考えてしまうので、気を紛らわすために描いているという感じだ。


「サヤの瞳は…澄んでいて、美しくて…そう、うまく描けないんだよ…」


独り言を呟きながら、着々と描いていく…


「口元…そのあとは首すじ…って待てよ。何かやってること、変態チックじゃないか…?」


実際の人を描くのは、何だか照れるものだ。

それに、今回は見られる可能性が高いのでなおさら。

そんなこんなで30分…


「ふぅ…気持ちよかった~!」


サヤがお風呂からあがり、出てきたのだ。


「っと…バスタオル置いてあるぞ?レドさ~ん!これ、私のですか?」


「……………うん、まあまあ描けてるかな…」


サヤはこれをうまく聞き取れず…


「うんって言ったよね?大丈夫なのか。まだ乾燥終わってないし、バスタオル巻いて出よう…恥ずかしいけど…仕方ない。」


そのまま、レドのバスタオルで拭いて出てしまったのだ。


「レドさん、バスタオルありがとうございました~!」


「ん?俺用意してないよな…」


サヤのバスタオルを用意してないことに気づき、急いで用意して向かったが…

一歩遅かった。


「サヤ…それ…」


「あ、すみません…乾燥終わってなかったので、バスタオルのままで…」


「俺のタオル…」


「え…?」


お互い顔を赤くする。

まさかレドのものだとは思っていなかったサヤは驚いた拍子に…


ぽろっ…


タオルを落としてしまった。


「ひゃあっ…!?」


すぐに隠したものの、レドはそれを直視。必死に目を反らす。


「レドさんのだったんですか…?ご…ごめんなさい!」


「いや…いや…俺はいいんだが…サヤは嫌だろ?」


また卑屈になってしまい…


「出た…卑屈モード…!レドさん、私さっき頑張って大好きって言いましたよ。まだ疑ってるんですか…?」


サヤは少し拗ねてしまった。慌ててそれを否定する。


「疑いなんてしないよ…ただ事実を言っただけで…って、何してる!?」


「レドさんに証明するんですよ!私が大好きってこと…」


レドにどんどん迫っていく。

遂には…


「サヤ!ここベッドの上…」


「だから何ですか…好きならしますよね?えっちなこと…」


「待ってくれって!バスタオル取らないで…きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!」


レドは情けない声をあげた後、意識がふっ飛んだ。


「え…レドさん…!?嘘、意識飛んでる。やり過ぎたか…」


サヤはちょっとだけ反省したが、起きたら続きを…と思っているのであった…

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