十七杯目 好感度

「わぁ…レドさんの家、すっごく綺麗ですね…!」


「そうか?人並みにやっただけのつもりなんだが…」


部屋はとてもさっぱりしていて、きちんと整理されている感じだった。

ゴミの匂いもしないし、食器もめっちゃ綺麗。


とても一般男性が一人で住んでいるとは思えない様な部屋だった。


「俺は服乾かすのに一旦洗面所行くからな。」


「あ、これレドさんの読んでる小説…ん?」


サヤは机の上であるものを見つけた。

それは…


「綺麗な絵…」


レドの描いた絵だった。何枚も置いてあり、その中には…


「私…?」


サヤの似顔絵もあった。まだ会って日が浅い頃、レドが描いたものだった。

思わずその絵を手に取る。


「私って、こんな顔してるんだ…」


接客している時の顔、少し怒った時の顔、寂し気にしている時の顔…様々なシーンを、そのまま切り抜いたかのように美しく描かれていた。


「サヤ、服どうす…って…!?」


「……………………」


サヤは何も言わない。


「絵…見たのか…ごめん…勝手に描いて…」


「………なんで?」


「初めて会った時から、君に…その…惹かれてたんだ…」


「はぁ…レドさん…」


ピラッ…


机に絵を丁寧に戻し、レドの方へ近寄る。

俯くレドのサングラスを上げて、ぎゅっと抱きしめ…


「なんでレドさんってこんな好感度高いかな…ずるい。」


「どういうことだ…?」


「どういうこともなにも、そのままの意味ですよ!レドさん大好きですってこと…!あんなに綺麗な似顔絵描ける人いませんよ…」


(何で俺、褒められてるんだ?それに今大好きって…!?)


レドの頭の中はちんぷんかんぷんである。


「レドさん、家の中濡れちゃうので服脱ぎたいんですけど…どうすればいいですかね…?」


「あ…それなら、乾燥さしている間に風呂に入ればいい…」


「そうですね!では、お借りします。」


サヤは浴室に向かった…

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